紙の本
けして忘れません。
2012/03/30 00:08
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投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
震災から1年。まだまだその地に暮らす人は苦しんでいます。でも、必死で生きています。そんな気持ちが伝わってきました。あの出来事を忘れるはずはない、と自分では思っていますが、被災者の方々との温度差はやっぱりあるんだろうと思う。
本書は、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が、電化製品や生活用品といった支援をする中で、被災地以外の方から預かった「手紙」を被災者に渡して心のつながりを作ってもらおうとする「おたより班」の活動。実際に被災者の方と支援者の方(そもそも双方会ったこともない間柄)でやり取りされた手紙が掲載されている。
正直、苦しんでいる被災者の方の「手紙」は、支援者やプロジェクトに対するものであるから、それを本を自分のような立場の者が読むのもなあ、と多少の違和感はあった。でも、このプロジェクトの方は物資の支援だけではなくて、手紙という心のやり取りもされていることを「知らなかった」自分がいたわけで、自分では何もできていないけれども、こういう現状、こういう支援の仕方が現実に行われている、ということを知っただけでもプラスなんだ、と思うことにする。そしてそのプラスの気持ちが自分の中で行動に移すきっかけになる、する。
一番胸が熱くなったのは、被災地の子どもさんが支援者に対して送った手紙のコピー。そこには「被災地のこども」ではなく、「日本の元気なこども」がいた。苦しい経験をしてしまっているけれども、これから先、きっと優しい、痛みの分かる人になる子どもがいた。その手紙でも励まされたし、明るくなれる。
避難所、仮設住宅ではなく、なんとか一部残った自宅などで暮らす方々の苦労も、身にしみるものが。メディアで耳にしたことはあったが、当然だけど、テレビで流れてくるものを受け取るのと、実際の方の発言(手紙)によるものは、現実感が違う。国や行政の支援が、一人ひとりに対する支援がまさしく必要であり、それを実現できるように、被災地以外の我々ができること、これを実行していくべきだと思う。
実際には先行きへの不安で苦しんでいる方々ですが、手紙の文面からは前を向いて顔をあげて生きている力強い姿が垣間見れました。プロジェクトの方が、手紙を直接手渡しする、つまり被災地に何度も足を運んでいることが、新しい絆を作り上げたのだと思う。
苦しい中で生きている方々のことを思うと、被災していない自分たちの、瑣末な悩みなどちっぽけなものだと思った。これは本当にそう思ったのだ。あれほどの被害を受けても立ち直ろうと起き上がる人たちに負けられないよ。
忘れることはないです。みんなが元気になるまでは、けして忘れません。
【ことば】毎日がれきの山を見つめながら、生活しています。がれきと呼ばれても、本来は家や皆の財産であったものです。
被災地とそれ以外の地域の「温度差」を感じてしまいました。最初から「がれき」だったわけではない。ひとつひとつにそれぞれの家族の愛や思い出、それがちりばめられているものなのだ。「がれき処理」なんて、もう言えない。聞くこともできないよ。
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2012年3月11日―あの東日本大震災から一年の今日本書を読んだ。
我々の暮らす首都圏では、変わらない日常を過ごし、311が過去のものとなりつつある。原発の問題も現在進行形のはずなのに、「よくわからないから知らない」と決め込んでいるように見える。
一方で、大切な人たちを多く失った被災地では、日常の生活を取り戻すために必死で生きている人たちがいる。
彼らは、「忘れられるのが怖い」と言う。
地震の活動きである今日、被災地以外で生活する我々も明日は自分の生
活する地域で震災が起こらないとは言えない。
スーパーマンがスーパーなことをやるのではなく、一人ひとりができる範囲のお手伝いを、継続的にしていきましょう。
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すべてにまんべんなく援助をすることはできないけれど、支援がされていない空白地帯があることを、こちらで紹介されている手紙が教えてくれる。
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東日本大震災と原発事故で避難を余儀なくされている人たちに、家電を
はじめとした物資支援を行っているボランティア団体が、物資と一緒に
届けた全国からの手紙や、被災した方たちが心境を綴った手紙を集めた
1冊である。
同じ経験は出来ないけれど、被災した方たちの心情がひしひしと伝わって
来て胸に痛い。話すことでは遠慮があっても、手紙という手段では口にしない・
出来ないことでも吐き出せるのかもしれない。
痛みと共に感じたのは、ある種の憤りである。様々な事情で避難所へ
入れず自宅避難を選んだ人たちに行政の支援や情報がまったくない
ことだ。
本書に掲載されている手紙の中でも触れられているが、同じように被災
したのに何故、こんな差が出てしまうのだろうか。この問題に関しては
ボランティアではなく行政が考えを改める必要があるのではないか。
巻末のプロジェクトからのお知らせを読んで少々後悔。本書の印税と
売り上げの一部は復興支援活動に寄付されるそうだ。だったら、自分で
買えばよかった。
もらっておいてこんなこと言うのも悪いんだけど…。自分で買って誰かに
プレゼントしようかな…。
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被災地から離れていると、テレビやインターネットで情報が流れていなければ、実際に被災されている方々の声も届かないし、被災地の実情も本当のところよく分かりません。震災から1年以上経って、特にテレビでは被災地の現状どころか福島第一原発の状況を報道することさえ、少なくなっているように感じます。
この本はふんばろうチャリティーブックプロジェクトの2冊目の本であり、ふんばろうが出すこういう内容の本なら、きっと被災者の方々の本当の想いが綴られているだろうという信頼もあり、購入するに至りました。被災地からの手紙ということだったので、どんなに辛いことや悲しいことが書かれているのだろう…と、ある意味覚悟して読み始めました。
1年という時間は経ちましたが、なお癒えない悲しみや改善されない状況、少し時間が経ったからこそ見えてきた支援の格差や被災者の方々の空虚感、そういうものがあったように思えます。
私自身の、被災者の方々がどういう気持ちでいるのか、と想像する力が足りないのだと思うのですが、改めて私が想像するに至らなかった、被災者の方々の想いも多く綴られていました。
ただ、また印象に残ったのは、強い決意や笑顔が想像できるような明るさ、そして逆にこちらが励まされるような多くの感謝の言葉があったことでした。
被災地から離れている私たちは、毎日の仕事や子育て、そういった生活に追われているうちに、自分達の周りにそういう状況がなければ、あの時の恐怖の記憶や被災者の方々のことを想う気持ちも薄れて、少しずつ忘れていってしまうかもしれません。忘れたくないと思っていてもです。それでももし、忘れそうになってしまったら…必ずこの本を読み返したいと思います。
本の中で、被災者の方々の多くは「忘れられるのが怖い」と思っていると書かれていました。これは当たり前のことで、もちろんその想いを察することもできます。ですが、私たちからすると、もしかしたら、「忘れない」というのは「思い出すの繰り返し」かもしれません。それを続けていくためにも良い本に出会えたなと思いました。この本はずっと手元に残しておきたいと思います。
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ふんばろう東日本大震災支援プロジェクトのひとつ「おてがみプロジェクト」の活動は物資でも情報でもない、思いを伝えあう支援。しかしなんとコトバにするのが難しい「思い」なのだろう。相手(被災者)を前にしてコトバは無力で何もいえない・・と思ってしまうのに、コトバがなぐさめや勇気や愛や連帯など思いを伝える力があることを逆説的に知らしめる。
「生きていてよかったね、私たちは忘れないよ」
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(2012.06.10読了)(2012.06.08借入)
【東日本大震災関連・その92】
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の活動は、下記の本に紹介されています。
「人を助けるすんごい仕組み」西條剛央著、ダイヤモンド社、2012.02.16
この本は、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の「おたより班」の活動を紹介するとともにその中で行われた、「被災者への手紙」と「被災者からの手紙」も紹介されています。
掲載を了承していただいた方々だけの分ですので、実際には、もっとたくさんのいろいろな手紙があったのだろうと思います。あまりたくさんあっても読み切れなくなるので、このくらいでよかったのかと思います。
被災地には、そこに住んでいた一人一人の物語があることは、会う人ごとに、あの日の話を始めると分かります。東日本大震災関連の多くの本を読みましたが、本に収められているのは、ほんの一部ということです。
もちろん、被災地以外でも、例えば、首都圏にいた人は、電車が止まり、車も渋滞で動かず、電話も通じない中でどうしたかという、一人一人のあの日の物語はあります。
いくつかのおたよりは、涙でかすむ目で読ませてもらいました。
被災地の人からの願いは、「私たちのことを忘れないでほしい」ということであり「おたより班」の人たちの役割は、被災地の方たちに「忘れない。」というメッセージを届け続けることです。
【目次】
はじめに 僕たちが届けたかったもの
1章 往復書簡―心をつないだ手紙
2章 被災地からの手紙―失った哀しみ、再生の決意
3章 被災地への手紙―「忘れない」を届けたい
あとがき 手紙は誰かを想う気持ちからはじまった
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」活動記録
●瓦礫と呼ばれて(79頁)
毎日、がれきの山を見つめながら、生活しています。がれきと呼ばれても、本来は家や皆の財産であったものです。
●アイロン(137頁)
アイロンは生活必需品という認識がなかったため、支援の届きやすい仮設住宅でも、9月時点でアイロンを持っている家庭はほとんどありませんでした。私たちは1500家庭以上にアイロンを届けたところ、お礼のハガキをたくさんいただきました。
アイロンやミシンといった家電は、日本赤十字社でも支援の対象にはなっていません。
●「おたより班」の活動(155頁)
・被災地への手紙を募集する
・全国から送られてきた手紙に目を通す
・年配者向け、子どもを持つお母さん向け、子ども向けなど、届ける相手を想定しながら「仕分け」をする
・被災地に行き、状況に合わせて声をおかけし、話をするなかでその方にお渡しできる手紙を選んでお渡しする
●思いは3つ(158頁)
大変でしたね。お辛いでしょう。頑張ってください。
思いは言葉にするとこの3つでした。
●忘れられることが一番怖い(169頁)
被災地から届く手紙には、私たちの心の深くに突き刺さって抜けない言葉があります。「忘れられることが一番怖い」という言葉です。
「忘れない」という言葉には存在を支える力がある。私たちはそう考えるようになりました。
●直接聞かな��れば(173頁)
ひとことで被災地といっても地域によって被災状況は違い、同じ地域であってもそれぞれの仮設住宅で事情は大きく違います。不足しているものも不安に感じていることも、そこで生活している人から直接聞かなければわからないのです。
●「忘れない」(188頁)
「忘れない」ということは、おそらく、いつもそのことを意識している、ということではなく、何かの拍子に、青い空を見上げながら誰かのことを想う、そういったことなのではないでしょうか。
☆関連図書(既読)
「奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」」中原一歩著、朝日新書、2011.10.30
「できることをしよう。」糸井重里・ほぼ日刊イトイ新聞著、新潮社、2011.12.15
「市民の力で東北復興」ボランティア山形、ほんの木、2012.01.15
「笑う、避難所」頓所直人著・名越啓介写真、集英社新書、2012.01.22
「ボランティアナースが綴る東日本大震災」キャンナス編、三省堂、2012.02.15
「人を助けるすんごい仕組み」西條剛央著、ダイヤモンド社、2012.02.16
「学生のパワーを被災地へ!」岩井雪乃著、早稲田大学ブックレット、2012.02.25
(2012年6月11日・記)
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB09305121