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本書の上巻にあたる『マクロ経済学Ⅰ<入門編>』に比べると難度はやや高くなるが、とても分かり易く書かれている。
応用編は成長理論からスタートする。ソローモデルを中心に成長の源泉である資本ストック、人口成長、技術進歩に順次焦点を当てて議論が展開される。
次にマクロ経済政策論争として、安定化政策と政府負債・財政赤字についての考察がなされる。経済政策においてしばしば議論になるテーマであるので、基礎的な考え方を理解することは有用だろう。
続いて、マクロ経済学のミクロ的基礎として、消費、投資、貨幣の需要と供給が扱われる。入門編で単純化されていたモデルの背後にあったこれらの諸変数について、より発展的な議論が展開される。
最後は本書の目玉ともいえる動学的ADーASモデル。本書で扱われる動学モデルは、より発展的なDSGEモデルの簡略モデルであるが、図表による分かりやすい解説のおかげでエッセンスを知ることができる。
終章の「わかっていること,いないこと」では、本書で得られた知見や課題を整理することができる。
本書とほぼ同レベルの優れた教科書として、有斐閣の『マクロ経済学(齊藤他)』がある。どちらもお勧めだが、ボリューム的には(2分冊ではあるが)「マンキュー・マクロ」の方が少な目なので一気に読める。