紙の本
強い訴えを持つ作品。タフな気持ちをもって読んだほうがいい。
2015/09/17 17:04
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察小説としては、おもしろいと思う。追う犯人は比較的早い段階でもう決まって、そこから彼の過去を追う…という展開になる。ただ、その過去があまりにも陰惨でやりきれないものなので、読んでいて鬱々としてくる。中国残留孤児、という要素がからんだ時点で、いじめや貧困といった問題が出てくるだろうとは予想できたが、ここまでの内容とは…。
犯人を追いつめる刑事のひとりが「達成感はあるが高揚感はない。やりきれない」と言うところがある。読者としても、まさにそんな気持ちになった。
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この本の著者の著作は以前にデビュー作「霧のソレア」を読んだ事があります。
それもあって本書を読んでみました。
さて、前置きはこの位にして簡単に内容紹介を。
スナックの女性従業員の他殺体が、彼女の自室で発見される。
状況から被害者と親しい人間による犯行と見られ、事件解決もすぐだと思われたが、巧妙にその痕跡を消した犯人の前に捜査は難航する。
犯人を追う倉沢警部補は中国残留日本人社会に接触していくが・・・
中国残留日本人孤児の苦痛を描いた描写が多く記載されている小説で、世間の関心を失いつつある彼らの現状に思い起こさせてくれます。
しかし読んでいて読者の感情を意図的に刺激しようとする著者のあざとさめいた物を感じ、その点ではあまりいい印象は受けませんでした。
とは言え、娯楽作品としては普通に楽しめるストーリーとなっており、その点では十分なものとなっています。
アマゾンで調べてみると著者の新刊「冤罪死刑」が発行されている様です。
冤罪は現在の日本で大きな関心を集めている話題の一つ。
今回本書を読んだ様に一歩引いて読んで見る場合と、そうでない場合の読後の印象の違いがどの様なものになるのか、興味を感じる所です。
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単行本の広告では、「平成版『砂の器』」と紹介されていたのを記憶していた。
中国残留孤児二世の辛い生涯をベースに、愛するものと守るべきもののため、そして自らの成功のため罪を犯す男が描かれているが、多分に詰め込みすぎたきらいがある。
結局は、男の個性が薄められてしまって、憎悪にも同情にもはまらない中途半端な存在になってしまったのが残念。でも、この著者の書きっぷりは力強い。しばらく追ってみたくなる。
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久し振りに読んだ社会派ミステリー。
今は忘れつつある、中国残留孤児の苦悩と、現代の社会の闇が描かれています。
殺人の容疑者は残留孤児2世。戸籍を買って他人になりすまして暮らしている。
それを追う刑事二人。
容疑者を追っていくうちに次々と新しい事実が判明していって…。
最後まで気が抜けずに読めました。この作者の他の作品も読みたくなったわ。
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重くておもしろい。「砂の器」「オリンピックの身代金」と同様、「育ち」が犯罪の根っこにあり、楽しくはない。
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読み応えあり。
中国残留孤児の問題や児童虐待、更にはうつ病までさまざまな問題をはらみながら、殺人事件の犯人を追っていく刑事たちの姿が又いいんです。