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需要と供給、匿名性、単純に取り締まれない現実。そしていつも犠牲にされる弱い人々。読んでいて恐ろしくなり、何も出来ない自分が哀しい。
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世界の人身売買マーケット=レッドマーケットの現実を垣間見せる一冊。
人身売買のサプライチェーン・利権構造に関して新たな知見を与えてくれる。
印象的な点でいうと、難民等の貧困層が短期的利益を得るために腎臓を売ったり、詐欺にあい健康を奪われるという事が多発しているということ。また、新興国の発展とともに現地の医大の人骨ニーズが高まることが、人骨マーケットの拡大に拍車をかける現実があるという点は、開発・発展の光と影を考えさせられた。
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遺体に対するさまざまな権益の主張、そして、その「製品」の材料である遺体を「つくる」仕事…。
かなり気分の悪くなる事柄が集まっています。臓器移植をはじめ、肉体の提供は、提供者と受益者の縁を断つことが原則的に行われていて、自然と不透明なものになる。この不透明さがあるかぎり、このマーケットはますます気分の悪い事を、仕事として行い続ける、のでしょう。
臓器が販売できなくても、臓器移植の手術は、その「材料」とセットで提供出来てしまう。
移植で助かる生命がある、のだろうけど、移植のために助からなくなる生命もある、のである…。
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臓器売買から卵子・血液の売買・養子縁組などの人体部品産業について幅広く解説している本
ゲイのカップルがそれぞれの精子を人工授精(胚は2つ)させ、代理母を使って出産するというビジネスがあるそうな
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医療行為に金銭が発生するかぎり、骨や臓器、皮膚や血液、あまつさえ「健康」でさえ商品になりえるのだろうな。
だからといって無償にしていいわけもなく、難しい問題である。
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腎臓を売らないと生きていけないほどの窮状にある人がいるという事実。彼らにとっては今後の人生を左右すると思えるほどの大金。けれど、それは大抵の場合その場しのぎにしかならない。残念だけど、今の世の中、命は金で買えるようだ。
レッドマーケットで何かを買い入れるとき、そこには、一生のあいだに私たちが行う他のどんな商取引とも異なる点がある。多くの場合、部品の出どころから最終的な結果にいたるすべての段階で、私たちは借りを作ることになるのだ。P29
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私が以前扱ったあれも…今まで全く気づいていなかった自分に驚く。生殖医療とか臓器移植とかの本を読むたびに思うけど、一体どこに落とし所があるんだろう。
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人骨、臓器売買、幼児誘拐、生殖医療の経済。
「人間」か「肉」か。
どんなものでもビジネスにしてしまい、耳ざわりのよい言葉を使い真実を隠す。
うわべだけを見ていると高尚なものと勘違いしてしまいそうになる。
色々な切り口から物事を見て自分で考えるためにもこの本は必要。正直、読むのは辛い部分もあるのだけれど読む。
いずれも根底には貧困問題が横たわっているのだと思う。どうすればいいのだろう。
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「人体の不思議展」という展覧会があった。展示されていたのは
樹脂加工された本物の遺体だった。
どういう経緯か分からないが、主催者の一部が中国の団体に
変わった。その頃から中国政府によって死刑に処せられた
人の人体が使用されているのではないかとの噂が蔓延した。
人間の体は利用価値がある。「肉体」と見るか、単なる「部品」
として見るか。部品として見るのであれば、これを利用しない
手はない。
墓から掘り返された遺体は綺麗に肉をそぎ落とされ、骨格標本
として世界各国の医科大学へ売り払われる。親族や親しい人
の遺体が、いつの間にかどこかの大学の教室に骨格標本と
して展示されてたら嫌だ~。
1日を1ドル以下で生活する人々は、いくばくかの現金を手に
する為に自身の臓器を売る。術後のケアがきちんとしいれば
いいが、貧しい人々の足元を見る商売。臓器を売って、必要
な現金を手に入れたはいいが、健康は損なわれたままだ。
国際養子縁組の為に、施設に預けられた子供がいつの間にか
海外の富裕な人の養子として送りだされる。それだけならまだ
いい。街角から幼い子供がさらわれ、虚偽の経歴を付けられて
海外へと送り出される。
設備も整っていない小屋に監禁され、繰り返し血液を抜かれる
男たち。売血は海外だけの話ではない。1960年代までは輸血
に用いる血液は売血で賄われていた。
キプロスで行われてる卵子売買。日本でも著名人夫妻が海外
で行った代理母の問題。
人間の体の部品は、余すところなく売買できる。需要があるのは
先進国、そしてそれを供給するのは貧しい地域の貧しい人々。
髪の毛だって溶かしてアミノ酸のしてパンの発酵剤って…ギャー。
おぞましいけれど、これが現実なんだよね。お金さえ出せば、
何でも手に入るんだ。
さて、私の体、まるごとハウ・マッチ?
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2012年出版。2000年代くらいの海外レッドマーケット事情についてまとめられた本。
『テスカトリポカ』の参考文献にあげられていて興味本位で読み始めたけどホラーより普通に怖。
臓器売買の闇ブローカー、刑務所の臓器工場、誘拐した子供を養子縁組する等、こんな腐敗した世界があるなど想像は及びもしなかった。ブラックなニュースが噂や話のネタになることはあっても、どんな人が何の目的でやっているのかみたいな知識は曖昧だったから参考になったしリアリティーをもって受け止められた。
金で何でも買えるという「希望」を売り込む資本主義下では人体にも値段が付く。
脳死した身体が(極端すぎる言い方をすれば)死後金儲けの道具として扱われるという方向性で考えていくとちょっと純粋な気持ちで臓器移植を捉えられなくなるというか。特にアメリカの医療費バカ高いしな。
金に困って仕方なく代理出産する人がいる現状も善意という言葉の前に有耶無耶になる。人体の組織をあげたり貸したり治験に使わせることは危険が伴うが、見合った報酬が得られるとは言い難い。しかしこういう身体を提供することを「自発的」で「慈善的」で「良いこと」として報じる媒体はたくさんある。医療のプライバシー保護を名目に覆い隠されるものも沢山ある。医療技術がもっともっと発達すればこのギャップは埋まるのだろうが、科学の発展が犠牲の上に成り立ってきたとも言えるし扱いが難しい。金銭のやり取りが発生する以上、弱者から順に搾取されていくシステムがはっきりしている。
ただ、上記のような問題はもちろんあるんだけれど、科学発展途上の倫理問題は全世界共通なんですけど、気になるのは挙げられた多くの事例と犯罪が特定の国に偏っていること。これってその国の体制に問題が…とは大っぴらに言えないからああいう書き方になっているんだろう。読みやすくて問題点を的確に伝えるスマートな報道のしかたがジャーナリストの鏡や。