紙の本
長崎奉行
2021/09/27 15:23
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠国奉行の一つであり、長崎と言う天領の管理、貿易の監督、キリシタン対策、吸収大名の監視などを担った。本書はその長崎奉行という職について学術的に解析するというより、代表的な人物や、長崎奉行という職の役割を変えるような人物を取り上げている。
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江戸時代を通じて125人程になるという長崎奉行から7人を選び、彼らの物語を紐解きながら、幕府の長崎統治の変遷を説いている。なかなかに面白かった!!続篇登場にも期待したくなった…
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江戸から遠く離れた九州の最西端に位置し、唯一、海外に開かれていた長崎。この地を統べる長崎奉行は、行政・司法に加え、貿易の支配、キリシタン取締、そして経済官僚的な役割を担った。この要職の実態とはいかなるものであったのか。本書では、江戸期一二五人の奉行の中から特に興味深い人びとを取り上げ、その人物像、業績、評価などを、多くの史料をもとに描き出す。今も昔も変わらない官僚人生の悲喜交々とは―。
能吏か、人格者か、はたまた悪の黒幕か。豊富な史料をもとに、その実態を描き出す歴史読み物。(2012年刊)
・序章 等身大の長崎奉行
・第1章 女性スキャンダルが招いた結末―竹中采女正重義(一六二九〜三三)
・第2章 仏と閻魔の顔を持つ男―河野権右衛門通定(一六六六〜七二)
・第3章 長崎奉行の位階を上げた男―川口摂津守(源左衛門)宗恒(一六八〇〜九三)
・第4章 長崎市民人気ナンバーワンの長崎奉行―大森山城守時長(一七三二〜三四)
・第5章 将軍四代に仕えた経済官僚―萩原伯耆守美雅(一七三六〜四三)
・第6章 大岡越前に取られた名裁き―松浦河内守信正(一七四八〜五二)
・第7章 田沼意次の右腕になった紀州藩士二世―石谷備後守清昌(一七六二〜七〇)
・終章 職掌の変遷と江戸後期の長崎奉行
著者は近世史が専門。日蘭貿易史を研究しているという事なので期待が高かったが、本書は肩透かしを喰らった感じがした。もう少し学術的なものを期待していたが、帯にある歴史読み物という方が実態を表していると言える。
巻末の参考史料・参考文献はなかなかの充実ぶりで、期待感を高めるのだが、これらの資料がどこに生かされているのかと言ったら言い過ぎであろうか。
第1章では、竹中半兵衛(重義は半兵衛の別家)を軍師として紹介している。重義にも軍師としての才能が脈打っていたと推定しているのには、脱力してしまった。(話の例えなのだろうか)
第2章では、三河3奉行の本多重次を、一旦、秀吉の家臣となったとしていたり、文録の役、碧蹄館の戦いで三奉行(増田、石田、大谷)が戦いの禁止を厳命したとの解説があったりする。どうにも、専門外の分野については、疑問な記述が多い。河野通定の大目付罷免を熊沢蕃山の蟄居と結びつけているが、根拠は何であろうか。
第3章以降は、まあまあ楽しめた。
全体的に論証が甘い。推定に推定が重なる部分があるのが残念。果たして著者の推測が正しいのか、類書も読んでみることとしたい。