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紙の本
働き方を考えるには、まず「足元」から!『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(木暮太一著)
2012/06/17 21:56
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなたけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
目標とする売り上げや利益を達成しているにも関わらず、それに見合うだけの昇給が得られない。日本でも「成果主義」か給与体系に組み込まれて久しいにも関わらず、このような現実に対して「なぜ給料が上がらないのか?」と疑問に思っているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?私も、その一人でした。それは「どのように給料が決まるのか」を知らないことにより生じる疑問だからです。
しかし、多くの読者は本書を読んで「給料が決まる論理」が分かったと同時にショックを受けたのではないでしょうか?それは、日本の多くの企業が採用している「必要経費方式」は「労働力の価値」(明日も同じ仕事をするために必要なものの価値)を基準として決められているため、「どんなに成果をあげても、価値が変わらなければ給料は変わらない」という内容だからです。
となると、「成果をあげても給料に反映されないのであれば、成果をあげる必要はないのではないか?」という疑問が出て来るかもしれません。しかしながら、そんなことは決してありません。「給料が上がるかどうか?」は経済学ではお馴染みの「需要と供給のバランス」が存在します。
では、「成果を出すために身体も精神もボロボロになってしまう働き方がよいのか?」というと決してそんなことはありません。本書では「自己内利益」という表現で表しておりますが、「働き方も自己内利益をプラスにすることが重要」と説いております。
この「自己内利益を増やす働き方「として『「働き方」のポイント』に記載した7つのポイントが本書から提示されております。これは第5章~第6章に書かれておりますが、一言でまとめると「時間や労力だけを消費するだけで何も残らない働き方をするのではなく、自分の資産として残る働き方を考えよう!」ということです。
「自分の知識や経験を生かせる仕事は苦痛を感じずに行なうことができるし、高いパフォーマンスを得ることができる!」これは多くのビジネスパーソンが感じていることではないでしょうか?このように自分の労働力を「消費」するのではなく「投資」し、「使用価値」の高い知識や経験という「自己資産」をコツコツと積み上げ、形成していく....これこそが、本書で提案している目指すべき働き方だと思います。
ところで、「自己資産」を積み上げていくためにはどうすればよいのでしょうか?本書には「考えるヒント」を書いてあっても、そこまで書いてはおりません。なぜなら、「資産はそれぞれ個人によって違うから」です。私が本書を読んで思ったことは、「やはり自分を知ること」つまり「棚卸しが必要」ということです。「棚卸し」を行うことで、自分の現在の「土台」や「力を入れるべき所」が見え、「自己資産を積み上げるには、どうすればよいのか?」を考えることができ、人生の戦略も立てることができるのではないかと思います。つまり、「自分の足元を見つめるところから始める」ということです。
最後に、最近は「ノマド」、「フリーエージェントスタイル」など、新しい働き方に関する本が多く出版されるようになりました。しかし、「働き方」について書かれている本でも「自分の現在の足元を見つめさせてくれる契機となる本」は、なかなかありません。「自分の現在の足元を見つめ、そこからどのような人生戦略を描くか」によって、「ノマド」や「フリーエージェントスタイル」に通じる道だと思います。
そういう意味で本書は、自分の足元を見つめること、そして「その足元には何があるのか?」を考えさせてくれる契機になる本だと思います。
紙の本
穏健な自己啓発
2012/09/29 20:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くままる - この投稿者のレビュー一覧を見る
資本主義、新自由主義社会の中で、自己投資の必要性を穏健な語り口で、わかりやすく書いていると思います。私には参考になりました。
紙の本
「資産をつくる仕事を、今日はどれだけやったか?」
2018/07/12 15:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tomoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
給料の決まり方と資本主義の構造を、マルクス『資本論』を通して分析した後、しんどい働き方から抜け出るために、給料を増やすのではなく、「自己内利益」を増やすことを目指そうという内容だ。
「自己内利益」=年収・昇進から得られる満足感ー必要経費(肉体的・時間的労力や精神的苦痛)、と定義づけている。
この「自己内利益」を増やすには、(1)満足感を変えずに必要経費を下げる、(2)必要経費を変えずに満足感を上げる、のどちらかになる。
(1)を可能にする働き方としては、まずストレスのない仕事を選ぶことだが、これは気持ちの持ちようの部分が大きい。
(2)は自分の労働力を「消費」せずに「投資」し、知識・経験・スキルなど「自分が積み上げてきた土台」をつくること。その土台の上でジャンプすることで、土台がないジャンプより少ない労力で目標に達することができる。
…というのが、この本の主要な考えだ。
今の日本で働くと、国内資本だろうが外資だろうが、給料を上げるのはとても大変なことのように思える。目の前の仕事を多少「カイゼン」しても、空いた時間にまた別の仕事が割り振られてくる。
ヨーロッパ人のように休日遊ぶのではなく、疲れを取り戻したり体力を温存するために使うのが日本人、と著者はいう。そこには、日本ではナァナァで済まされる「雇用契約」があるのではないだろうか。
どの職能、どの業務内容について、いくら支払われるのか。
雇われる側も自分をいくらで「売るか」という考えもないし、雇う側も何をしてほしいからいくらで「買うか」という考えがない。
”一日働かせる権利”が時給・日当・月給に相当するもので、勤務時間は契約書に書かれているが、業務内容は数行程度。「会社が求めるもの」という漠然とした記載がまかりとおる契約書がほとんどではないだろうか。
自らの労働力を上げ、それが給与に反映されるには、日本でもしっかりした「雇用契約」文化が必要だろう。
また、自分の労働力がコモディティ化しないよう、変化が遅い業界での仕事を選ぶこと。これは意外と聞かないが正しい指摘だ。IT化だ、グローバル化だ、と「変わること」を要求され続けるが、これだといつまでたっても土台ができない。流行りではないが、廃れもしない存在になろう、は新鮮な意見だった。