投稿元:
レビューを見る
本書によれば、意識とは、「自分の頭のなかで自ら上演するマジックショー」である。ようするに、意識なるものは実在的ななにかでもなければ、客体に直接つながる主体(一般的な意味での主-客)というわけでもない。外部刺激が勝手に世界化され、その世界化された空間で暮らす存在が意識、という感じである。 続きはブログ→
http://hiderot.blogspot.jp/2012/07/blog-post.html
投稿元:
レビューを見る
意識はいかにして成立したかを還元主義により説明し、
その存在理由を進化論の立場から擁護する。言わんと
していることは面白いし興味深いのだが。
「詳しくは後述する」「前述した通り」という類いの
表現が頻出すること、そして比喩と引用が多いことも
あいまって、今ひとつ響いてこない気がする。何となく
核心部分のまわりをぐるぐる回ってばかりでなかなか
到達しない、そんな印象だった。
「ユーザーイリュージョン」や「神々の沈黙」で言う
「意識」とこの本で言う「意識」とは微妙に違う気も
したな。
投稿元:
レビューを見る
先に読んだ「内なる目」より遥かに読みごたえがある。
”意識”が何故あるのか、その存在意義は?という”意識”に関わる難問を、進化論だけではなくあらゆるジャンルの書作、実験等を引き合いに出しながら、徐々に解明していく展開は引き付けられる。
一方で、とても噛み応えのある文章の連続で、一読では意味が分からず読み返すこともしばしば。
内容も十分に理解したかは怪しい部分もあったが、この結論はなかなかに興味深い。
投稿元:
レビューを見る
「目が覚めるとはどういうことか」という鋭い命題を立て、意識や魂といった長年の疑問に回答を試みた一冊。
1章あたりは『赤を見る』の続きのような内容だが、我々はゾンビのように、自身の存在や自身の意識がない状態になりたくない、という点から意識の起源や存在について語る6章あたりから一気におもしろくなる。意識について記述することはできない(証明することはできない)ことを前提としているところが清くて良い。
我々はゾンビのように意識がない「状態」に耐えられない、そして自分が存在しない「世界」に耐えられない。その不安がデカルト的「我思うゆえに我あり」や「永遠の魂」に帰結する、と感じる鋭い指摘をページ毎に繰り出す。
「なぜ自然を美しいと感じるのか?」という問いの答えもここにある。「存在するとはどういうことか?」を「目が覚める」ことと同列にして、本物の心理学者が問い詰め、ヒュームを超える(であろう)思想が学べる一冊。文字通り「生きててよかった」と思える。
ただし、死ぬ前にやりたいことでは「これまで経験したことないこと」を挙げるのに、死ぬ前に食べたいものでは「これまで食べたことのあるもの」を挙げるのはなぜか?の答えはややはっきりしない点と、動物たちの死への認識についての記述に疑問を感じる点だけは残念。
https://twitter.com/prigt23/status/1046743842521636864