投稿元:
レビューを見る
第二次世界大戦時代という壮大な舞台で、それなりに面白く読めましたが、
軽いとか、浅いとまでは行かないけれど、やや重厚さに欠ける点がとても惜しいです。
登場人物が多く、群像劇という体制をとっていますが、場面が変わらないのに視点となる人物が変わることは多々あり、時々、何を読んでるのかよくわからなくなりました。
主人公である、不破に対しても、その他の過去が語られるどの登場人物に対しても、、情報が少なすぎてあまり魅力を感じないというか、個性がなく、フラットな目線で見すぎて、まるでかき混ぜ足りない味噌汁を飲むような物足りなさを感じます。
主要な視点を持つ人物を三人くらいに絞って、もっと個々の人物造形に深みを与えればさらに面白くなる話なんじゃないかと思えてなりません。
もうひとつ気になった点は、タイトルにもなっている、ユーディットⅩⅢの、いったいどの辺が絵描きの魂を揺さぶるのかがあまり伝わってこないので、不破が命をかけてまで追いすがって固執するのかよくわからないし、その執念さえもあまり伝わってきませんでした。
折角の物語の軸がボヤけてしまっているように感じて残念です。