紙の本
猫又ならばなれるのか?
2015/09/17 11:19
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
祖母の藤里春子を亡くし、その遺産を狙う親族を追い払い、仏壇の前に座る藤里桜子は、未だ祖母の死を心から受け入れることは出来ていなかった。そんな彼女を心配そうに見つめるのは、祖母の代から彼女の家にすむタマ、猫又だ。
藤里桜子が未だ学校に登校出来ていないのを心配してやって来たのは、春子が存命中からよく遊びに来ていた神波命だ。そんな神波命が帰った藤里家の天井裏で、猫又のタマと狢のヤクモが語り会うのは、これから桜子を襲う予定の災難についてだった。
代々、陰陽師の家系であった藤里家は、祖母の春子も当代随一の陰陽師であり、数々の怨霊を祓い、あるいは封印して来た。そのうちでも最悪のひとつ、八尾の天狐が霊力の粋である桜子を喰らうべく、今にも封印を破りそうになっている。
かつては春子と共に、「犬神」清十郎を使って八尾を撃退した猫又陰陽師のタマではあるが、いまやただ一匹の力でそれを討つことは難しい。加えて、桜子自身は、藤里家が陰陽師の家系であることも、祖母が陰陽師であったことも知らない。全ては春子の方針だ。そこで、春子のもう一人の孫とも言うべき神波命に協力を求めるべく、神波御琴名義で製作したBL全集をネタに脅しをかけるのだが…。
前半はツッコミどころ満載で、春子の死後に命を狙われると分かっていた桜子にどうして自衛手段を教えておかなかったのかとか、春子の生前、災厄の源を断てば良かったのではないかとか、数々の疑問が浮かび上がり、読むのがかなり嫌になったのだが、その疑問に対する答えは後半できっちりとほどかれる。その重要な要素が犬神の清十郎というわけだ。
しかし、“お姫様”とも言うべき桜子自身が、最後の最後まで物語の中心に来ることがなく、結局、命がヒロインの様なポジションに収まっているところにアンバランス感がある。桜子の危うさをその理由にしたいのならば、もっと危うさを強調する演出をしても良かっただろう。
第6回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作品。
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『売れないラノベ5大ジャンル』というのを思い出した。
ロボットSF、魔法少女、時代劇、百合、〝女主人公〟
——らしい。
本作は、霊感はいいけどずぶの素人の神波命と、陰陽師な猫又のタマが交互に視点を担当します。ようは〝女主人公〟です。笑いあり、涙あり、アクションあり、それでいてよくまとまっているのに、私の中に滞留する微妙感。
たぶん、女性が可愛く思えないからなんだと思います。主人公は腐女子だし。さらにヒロインの桜子はお子様過ぎる。サービスシーンもサービスにならないし、感情の起伏にもついていけない。あざとく登場した妹キャラは、なんだか滑ってるし。
……イケメンが出るとか、女性の機微を描いているとか、そんなことはないのだけど、女性向けなんだろうなと思います。私はすごくモヤモヤする。変な感じです。容量用法を間違えて薬を飲んじゃったような胸焼け感。しっくりこなかったのに、その理由を理路整然と言えない。なんだろなー。
※追記:なんでしっくり来ないのか分かった。
ライトノベルとしてあまりに王道な展開で進むため、どうしても私の中では、男性主人公の姿を幻視してしまうのだ。あられもないヒロインの姿に赤面したり、敵妖怪に立ち向かったり。正規の主人公である命は、私の中では主人公をからかったりする賑やかしポジションにしか見えない。その幻視が違和感になって、物足りなさにつながっていたのだ。タマは猫だから男性じゃ、ないもの。
お約束としてありそうな視点が、ない。だからモヤモヤしたんだ。
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すごく面白かった…!
語り手は陰陽師の家系である藤里家の猫又陰陽師、タマ。
家族が皆亡くなり孤独の身となった藤里家の末裔、桜子を暖かく見守っている存在です。
タマの桜子の可愛がりようといったらw
桜子の祖母である春子の相方であったタマにとって、桜子は孫同然の存在なんだよね。
もう一人の語り手、桜子の友人である命もいいキャラw
一言で言うと、腐ってます←
桜子やタマとの掛け合いは面白いし、情にも熱い。
ただ、腐ってます←
これら主要キャラはもちろん、サブキャラも敵キャラも存在感は相当なもの。
どのキャラも魅力溢れる、素敵なキャラたちです。
キャラのみならず、ストーリーも面白いです。
バトルシーンは臨場感あるし、そこに至る展開も見事。
シリアスなシーンの中にふと入るコメディも面白い。
熱さ、笑い、涙、どれも高水準で織り込まれた名作です。
ぜひ多くの人に読んでもらいたい!
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カラーページの印象が面白くなそうでこわれたを先に読んでたんだけど、
こっちのが当たりだった!
イラレが残念だよねえー。
もっと良くなると思うんだけどイラストで。
内容は、恋愛要素なしの異能バトル物って言うと、
なんか硬そうな印象かもしれませんが、
登場”人物”が基本アホなので退屈しません。
なんかもっとかわいいイラレで読みたかったよー!
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1巻読了。
猫又の陰陽師が主人公。
彼が下手な人間より熱血でイカス。
若干饒舌に過ぎる気もするけど…かっこいーじゃないか(笑
ストーリ的にはこれからが楽しみ。続き出るのかな?
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酒と煙草を愛するオッサン猫又が主人公の退魔モノ。同じ退魔モノでは、雰囲気とかは全く違うけど、藤田和日郎さんの漫画『うしおととら』に近いモノを感じた。遠回りして、泥だらけになりながら、走り回る、あの感じ。みっともなくても足掻き回って前を向く姿勢は心打たれる。
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割とガチの陰陽バトルものだった。…腐ってる以外は(笑)設定も背負ってる過去も重めだったし。…腐ってる以外は(笑)そんな感じで緩急はシリアス寄りながらバランスとれてたと思います。清十郎の話は壮絶ながら引き継がれる家族の温かみのある話で。P235のタマの決意の一言がすごく痺れました。王道な流れだけど、それだけに響くセリフでよかった。
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吾輩は猫又である.名前はあるけどヒミツである.
というわけで猫又陰陽師と少女二人による妖怪退治.
あと狢が一匹.
この狢って謎だよな.
と思って調べてみましたら
ムジナって動物が居るわけじゃなくて
タヌキとかアナグマとかハクビシンとか
そういう感じのを纏めてムジナと呼ぶのだとか.
ナルホド.
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少し固めの文体であるが読みやすくまたキャラクターの設定もストーリーにうまく噛ませていて好印象。メインの人物である桜子があまり印象に残らないことからラストに少し違和感を覚えたか。とはいえ非常に面白い作品である。
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おお、GAGAGA文庫だ。小学館の少年向けノヴェルという設定らしいが、なかなか面白い。俺も少年だからね。
祖母が亡くなり、陰陽師の家系の女子高校生の桜子と猫のタマが残され、八尾の狐や呪術で死期が身になった犬神(このいきさつが結構えぐい)と対決することになるが、桜子は前面に出ることはなく、桜子の親友の命(みこと)と陰陽師でもある猫又の猫が活躍する。ヤクモという穴熊の妖怪も出てきて、三者のやり取りがなかなか楽しい。実は命は腐女子という設定で、この命の描写がくすぐりとなっている。八尾の狐と犬神との対決はなかなか迫力あり。