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「水金地火木土天海冥」から『冥』が抜けたその裏側で、第10惑星候補の発見があったとは恥ずかしながら知らなかった。
この本では、その第10惑星候補が発見されるまでの道のりから、その発見が引き金となって巻き起こされる新しい惑星の定義決定までが描かれている。
「存命する唯一の惑星発見者」という名誉を捨ててでも、厳密な惑星の定義にこだわり、自分が発見した天体とともに冥王星を惑星の座から引きずりおろしていく著者の姿勢には心打たれる。
広大な宇宙を相手にしながら新天体発見に至る過程は、実に地味で根気の要る作業の連続だ。こういう自分の知らない世界を知るのはおもしろい。天文学に明るくない自分でも読みやすくわかりやすかった。
やはり科学にはロマンが詰まっているなぁ。
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2006年に太陽系の第九惑星であった冥王星が惑星から準惑星へと格下げされたことは記憶に新しいと思います。
その原因ともなった第十惑星と騒がれたエリスの発見者本人が書いた本です。
冥王星格下げの裏話、天文学者という職業の生活、新しい天体の発見とそのために費やした労力、といったものが面白く書いてあります。
一般人からしたら冥王星が惑星じゃなくなった、ふーん。
程度の認識ですが、そこには色々な出来事があり、事件や陰謀(?)もあったんですね。
勘違いで大騒ぎしたり、発見を横取りされそうになったり・・・
発見を精密に検査してから確実な論文にして発表するのと、第一発見者が命名権を得ることから横取りされる前にいち早く発表しようというジレンマがあったり。
命名の仕方とかもすごく運命めいたものを感じずにはいられません。
そんな科学者としての一面だけじゃなく、一父親としての私生活も興味深く書いてあって面白いです。
育児日記のところとか最高ですねw
話自体が興味深く、それをユーモアたっぷりに書いてあって面白かったです。
映画になりそうな感じでした。
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最近、図鑑を読んで仕入れた知識をひけらかしてくる息子が『冥王星は惑星じゃなくて準惑星』なんて話しかけてきた。確かにそんなニュース合ったなぁとか思っていた矢先に出会った本。
冥王星が太陽系の惑星から外れることになる経緯が、天文学者である筆者の私生活と共に語られている。詳細な説明よりも、基本は物語として書かれており、数式がたくさん出てきて投げ出したくなる、なんて事がないのが良い。
この本に出てきたエリスを始めとする星星を正直知らなかったのだが、驚くことに息子の図鑑には載っていた!
息子が大人になる頃には、この図鑑の内容が変わるような発見があるのかなぁ。
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2006年、冥王星は惑星から準惑星へと格下げにあいました。
その際、本書の著者、カリフォルニア工科大学マイク・ブラウン教授は自らの「第10惑星発見」の功績を犠牲に、冥王星(と¨第10惑星¨)は惑星とは言えないと主張しました。
そしてその結果、今ではこの冥王星格下げの立役者と見なされ、gizmodoの記事(信念を貫き、冥王星を惑星から外した天文学者へのインタビュー。)によれば、愛娘に
娘は、私が冥王星killerであるということとkilerは悪い人であるということから、私のことを悪い人だと思って腹を立てているよ。
と言った扱いを受けている有様です。
本書は、世間の冥王星ファンに激しくクレームをつけられるのを危惧しつつも、また何より太陽系の新惑星発見と言う天文史に確実に名を残す業績を犠牲にしてまでも、冥王星は惑星ではないと主張した当人による、自らの研究キャリアや私生活、そして冥王星格下げに結びついた一連の流れを解説した本です。
本書のテーマは天文学関連のものですが、本文中の随所でその時折の著者の私生活についても触れており(特に第8章は全て、生後間もない愛娘の育児について記述)、決して固い本ではなく生き生きとしたストーリーとなっています。
では前置きはこの位にして簡単に内容紹介を。
アポロ計画時代、ロケット産業の街、アラバマ州のハンツヴィルで生まれ育った著者。
その後、星に魅了されて天文学の道へ。
天文学者としてのキャリアを、(少なくとも当時の)学会の常識に反して太陽系の新惑星発見に賭け、戸惑い迷いながらもクワオアー、セドア、ハウメア、エリスの4つのカイパーベルト天体を発見する。
また私生活でも結婚、愛娘の誕生と吉報が続くも、セドア命名時のトラブルを切っ掛けにインターネット上で著者に対して徹底的な批判を加えたグループの一部メンバーによって、著者のハウメア発見の業績が奪われかけると言った災難にも見舞われる。
そして2006年、著者は筋を通して自らが発見したエリスは惑星ではないと主張し、冥王星もろともこの天体も惑星では無いと決定される。
この他にも、(上でも触れた)第8章まるまる使った生後間もない愛娘の育児記録では、育児に夢中になるあまり、
妻がミルクをあげると黒、著者の時は青。娘がむずかっている時は赤、ご機嫌の時は緑と言った風にグラフに色を塗ったり、
睡眠の回数、ミルクの回数、泣き出す回数、一日の睡眠時間、一日のミルクの量と言ったデータをとってまとめ、統計的な相関関係を求めようとした。
"
#これらの情報はインターネット(www.lilahbrown.com)で公開中"
冷凍保存していた妻から搾乳した母乳の管理が高じて、母乳供給量データーベースまで作成。
妻に「頭おかしいんじゃない? ほかにやることないの?」と言われる。
と言った様子が書かれています。
"この様な文章を読むと、「まったく科学者ときたら・・・」と呆れられるかもしれませんが、本書の記載によると、あるイギリス人から「子供の夜泣き等���悩まされ、先行きが見えない育児生活に疲れた時、子育ての詳細なデータが載っているこのサイトを見て助かった」と言った趣旨の感謝のメールが届いたとの事で、この種の厳密な育児データは役に立つ様です。
"
この様に著者のキャラクターが全面に出ている本書。
(上記しましたが)生き生きとした文章でつづられていますので、科学と聞くと頭が痛くなると言う方でも楽しめるのではないかと思います。
興味をお感じになれば、お時間のある時にでも一読をしてみては如何がでしょうか?
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著者の科学的にフェアな態度に感服。自分が「発見した」星が惑星でないのなら、冥王星も惑星ではない、と道連れにしてしまった記録。
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「水金地火木土天海冥」から冥王星が消えてしまった2006年。
太陽系の惑星から外れて準惑星へと格下げになった裏側には、
冥王星発見以来1世紀以上も果たせなかった「第十惑星」となるかも知れない天体を発見した著者。
彼こそが『冥王星を殺した男』なのだ。世紀の大発見をした功績や名誉よりも天文学的に冥王星は惑星ではない、と自分の発見と刺し違えて引きずりおろすことに成功した。
初めて天体望遠鏡で天空を眺め目をキラキラ輝かせた少年の日。
そのキラキラした目のまま大人になったような著者。
冥王星と同等もしくはそれより大きいかも知れない天体を発見したとほぼ同時に進行した初めての我が子の誕生を、同じレベルで尊重し慈しみ、
少年のような科学的好奇心でもって生命・宇宙の神秘を語る。
科学ノンフィクションだが科学者当人の人柄そのままでフレンドリーな語り口、非常に読みやすく天文学への入門書にもなっている。
また日本の「すいきんちかもく・・・」に相当するアメリカでの惑星順列語呂合わせが「My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas(私の教養溢れるお母さんがたった今私たちにピザを9枚出してくれた)」であるとか、新惑星が発見された後発見された新元素には惑星の名前が由来となること。(冥王星(プルートー)発見後の元素は悪名高き名前(プルトニウム)になったことなど、一般人にも分かりやすいプチ知識も。
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第10の惑星の発見者という立場を捨て、惑星の定義を見直すことで冥王星を惑星から外した筆者の科学者としての真摯さには敬服。
また、結婚や子供の誕生などプライベートな出来事も織り交ぜて語られているので、かた過ぎず読みやすい。
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【レビュー】
ビジネス誌の書評で紹介されていたゆえ読んだが、確かに面白かった。子育てのあたりなどは飛ばし読みしたが、本書を一言で描写するとすれば「事実は小説よりも奇なり」であろう。
【特記事項】
・赤ん坊は言葉を話せないうちから意思を伝える準備はできているのだが、ただ発声器官が発達していないゆえ意志疎通できないだけ。手話を教えるとコミュニケートできる。
・定義なんてどうてもいい、という人もいるが、そうではない。科学は、発見物を分類していく営みがあるが、それには定義が必要。しかし、言葉尻を重視する定義ではなく、初めに「概念」あり、次いでそれを言語化する「定義」がある。
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一流の天文学者が、惑星の魅力を分かりやすく、伝えてくれた。たまには、星空を見てみようと思いました(^-^)
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太陽系第10惑星になれたかもしれない惑星の発見者が、その惑星が冥王星とともに惑星ではないとされるまでの経緯を記したもの。
新惑星発見に関わるデータ盗用、科学的ではない冥王星支持派の行動も書かれており、科学読み物としては大いに楽しめる。
本人が書いているものなので仕方ないが、ドキュメンタリーに徹して、私生活に関わる部分は割愛した方が良かったと思う。
後半、この私生活部分はほとんど飛ばし読みしてしまった。
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著者の天文学者は、出産予定日がどの程度の信頼性があるのか、実際の出産日との差の分布を調べたいと提案し、妻にあきれられる。自分が娘にミルクを飲ませた時と妻が飲ませた場合で、寝る時間がどれくらい違うか克明に調べ、t-検定で差をチェックする。さあ、身に覚えのある人は手を上げてみよう ^^
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ついに容疑者が自白した。検察のシナリオ通りに事が運ぶ。やはりかつ丼が効いたか。そういう話ではなく、数年前、「第10惑星」を発見して、冥王星を天文の世界のトリプルA
から格下げさせた本人の著書。
惑星を探すのは並大抵のことではない。準備した人のみ恩恵にあずかることのできる「セレンディピティ」の矢に当たった運も味方した「持っている人」と言える。この人も刑事コロンボ並みの執念深さを持っているな。
天空の空を相手にしているが、やはり足を引っ張る器の狭いナノレベルの人がいて、著者の研究成果が妨害したという部分を読んで、宇宙空間を研究していても心のほうまでは、広くなれないのだなあと思った。
月はわが宿敵という内容を見てびっくりした。あの月の明るさが暗い天体探しの邪魔になるからだとある。モクモク羊の場合、帰りに歩いていてきれいな月が出るといいなあと思うくらいだ。
技術が発達していけば、今まで常識と思われていたことが覆されることはいくらでもある。天文学の世界も例外ではない。これからどんな発見があり,修正があるか楽しみだな。
それにしても、今年は、天文の当たり年だ。おかげで「目の保養」をさせてもらっていい気分だ。
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時間が無くてちゃんと読めてないんですが、本当に面白かったです。 また惑星あらわれるかもしれないし~わくわくしますね。 やぁ~天文学者は大変ですね。
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太陽系「第10の惑星」を発見したことで、冥王星を惑星の座から引きずり下ろすことになった天文学者のドキュメンタリー。どんな社会も、人が集まると感情や利害が絡まり合って、面倒くさくなるもんなのね。
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コペルニクスがもたらした世界の改変が、一体どれほどのものだったか……今じゃ想像もできないけれど、たしかにこの瞬間もそれは続いている。
といっても、宇宙はこれまで通り、法則に従って粛々と運動を続けるだけだ。なんにも変わってない。
世界が変わるというのは、私たちのものの見方、捉え方が変わるからだ。
第2章「惑星、その発見と修正の歴史」を読むと、それが実感できる。
闇の中を進む私たちは、何かを発見するたびに手持ちの地図を描き直していく。
新たな目的地へ、まっすぐ船が漕ぎ出せるように。
「惑星」ってなんなんだ?という議論と、それにともなう冥王星の運命も、その「地図の更新作業」にあたる出来事だったようだ。
つづき:
http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2013/05/blog-post_22.html