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うーん。身勝手とか自己中心的とか極悪非道とか自意識過剰とか言葉で言い表せない女の存在。怪物、得体の知れない存在、底の見えない沼…。うーん…。後味わるいぃぃぃ…。
本自体はタイトルや帯がうたうほどの衝撃はなく。著者は木嶋が「なぜ凶悪な毒婦もしくは女モンスターに変身したのか」に関心があったとのことだけど、解明できないと思う。朝日新聞の木嶋の手記読んでますます混乱した。この「なぜ」が解明されない不安感、真実が見えてこない得体の知れない感がこの事件の核心なんだろうな。
地方と都市の格差とか、ネットの普及とか、事件の背景と社会の結び付け方に少し違和感。ジャーナリズムという男性社会で生きてきたおじさんぽいというか、ステレオタイプでちょい物足りない。
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ネットの普及が生んだ大きな出来事の一つがこの事件である、という、取材当初の筆者の見解から抜け来れなかった為に、木嶋佳苗という、実在の人物の本質に迫り来れていなかったように感じる。筆者の見解が前提としてあるからこそ、ネット外で木嶋佳苗が繋がっていた人物、、、例えば料理学校の生徒など、へのインタビューをして欲しかった。
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前に同じ著者の『東電OL』を読んでいた。
けれど読後感は「何が言いたいのか、何を発見し、何を表現したいのか分からなかった」だった。
(後に中村うさぎが東電OL事件について書いたものを読んだが、そちらは著者の感情が生々しく揺さぶられた様が描写されていて、事件について新たな事実の発見や発掘はなかったが、東電OL事件が人々の興味を集めた理由が事件に対する興味の薄かった私にも理解できた気がする)
余談にそれるようだが、ルポルタージュというものは難しいと思ったのは、著者の『東電OL』を読んだときだった。
ようはこの人(著者の佐野さん)は事件を追ってみたものの、東電OLについて理解出来なかったのだろうということ。死者の気持ちを理解することは私にも出来ないし、多くの人にも容易なはずがないのでそれについて文句を言いたいのではない。
ただ『東電OL』のとき著者は「自分が認識できない」ことについて、ぼんやりした感覚しか持ってなかったような気がする。
それが今回の『別海』の方では、そういう事件についても木嶋被告についても理解できない観察者としての自分を理解して、観察者である自分自身も含め、前より大きな視野で事件も、被告も、被害者や遺族のことも観察出来てるんじゃないかなと感じた。
『別海』とは直接関係ないことばかり書いてるが、『東電OL』とこの『別海』を読んだことがルポについて、またルポを読む意義について考える契機になったのでこれがこのレビューの本題である。
『東電OL』を読んでも内容がさっぱりピンと来なかったのに、同じ著者がまた女性(著者にとって異物である異性)について書くものをまた手にとって読んでみようと思ったのは、著者が事件に大して毎度毎度タイムリーに書くからだ。ようはそれだけである。
テレビも新聞も見ない私には、事件のあらましを知るにはちょうど良い、その程度の意義だ。
だけど事件というものは言ってしまえば、何月何日何時に誰々が何をどうしたという箇条書きの連続でしかない。その間に複数の人間の入り組んだ感情がなかったら、どんな大きな出来事も「事件」という名称では呼ばれない。
言ってしまえばそれは雪崩は冬の雪山なら頻繁に起こっているのに、誰かがそれに飲まれる惨事がなければ、ニュースに取り上げられないのと一緒だ。人の感情が伴って始めて事件は事件になる。
『東電OL』も『別海』の事件も、私が本を手にした動機は、現代社会の一面として、いわばある種の教養(こういう言い方が適切なのかどうか分からない)として知っていたほうがいいと思ったに過ぎない。
東電OLの事件も、この事件もニュースだけで何か感性にピンと来て、怒強い感情がゆさぶられ・・・という人は、私に比べはるかに想像力が旺盛か、マスコミに踊らされ易い、感化され易いタイプなのかもしれないと思ってしまう。
日常を生きてるだけの平々凡々たる人間なら、両事件の被害者、加害者を情報としてどれだけ知っていっても、それほど興奮出来ないのが普通ではないか?それともできるのだろうか?
AKBの総選挙(私は一度も見たことがない)で興奮する人、嫌悪感を表すひとがいると耳目にはするけれど、私の周囲でそういう会話が交わされているのを聞いたことがない。
最後に『別海』を読んでの感想・・・・
「木を隠すのに森に如くはなし」という諺の使い方が間違っているのが最初に気になった。(重箱の隅をつつくような些細なことだが、些細なことではないかもしれない。考え込むと分からなくなる)
この事件の判決が感情的で陳腐だと著者は書いている。私もそう思う。
常識で言えば被告の死刑判決は妥当だ。だけど直接証拠がない。
最後に被告は、自分のこれまでの価値観が間違っていたことを認めつつ、自分は殺していないと述べたとある。実際和歌山カレー事件より今回の事件の方が直接証拠に乏しい。被告は直接証拠がないことに揺るがない自信を持っている。司法が世間がいくら騒いでも、たとえ自分が死刑にされても、直接証拠がない、そのことを被告は自分の無罪の証拠、無罪の自分を死刑にするこの国の制度は間違っていて、自分はその犠牲者として死ぬとでも考えていそうに思った。
それは被告がこの後に及んでも自分が死ぬという実感を得られていないということかもしれない。
しかし、彼女の出身地は酪農地域なのである。他のどの産業より動物を扱う牧畜や酪農は、生きる、死ぬが日常のそばにある。彼女の生家が、別海では一頭地抜いた中流家庭であっても。
生きる死ぬが遠く、老いることが忌み嫌われる世界=東京
生き死にが身近にあり、老い(地方では祖父、曽祖父が何をしていたか、特に被告は曽祖父、祖父ともに名士として知られていた)が忌み嫌われることではない世界=地方
後者がリアリティの世界で、前者はバーチャルリアリティの世界のように、田舎者である私には思われる。というか、多分そうなのだろう。
被告は東京と地方(物理的にではなく感情で)、リアリティとバーチャルリアリティ、インターネットとセックス(それも避妊不要、妊娠を望むと相手に伝えつつの)の間をどっちつかずで行ったり来たりしていたんじゃないだろうか?
そして今もその世界に住んでるんじゃないだろうか?
話は一巡して元に戻るが、『東電OL』を読んでもなんのイメージもわかなかった私だが、今回の『別海』ではぼんやりとしたものだが、上記のような感想とも言えない感想が自然にわいてきた。
これは、私と東電OL、私と木嶋被告の距離の問題ではなく、著者の事件への見方と表現が変化したことが原因ではないかと思うのだが。
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「犯罪者してのレベルが違うのである」と佐野眞一は言う。犯した事件の数、その連続性(同時性)、そして何より心のぶれを見せないところが恐ろしい。死刑になっても本当の意味で木嶋佳苗のことは裁けないような気がする。彼女の怪物性はビクともしていない。佐野眞一の本は好きで良く読むが今回はやや消化不良。佐野の経験を持ってしても木嶋佳苗を呑み込むことが出来なかったということか。
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すごいタイトル・・・。
でも「毒婦」よりわかりやすかったかもしれないです。
そして、そこまで調べる!?てくらい一族を調べている
著書はすごい・・・。
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佐野眞一先生も、衰えたというのが印象の一冊。
お得意の現地ルポから始まるのはいい。しかしそれも、余談というか、新事実が見つからないのにもかかわらず、いかにも重大なファクトのようにでっち上げている様が哀愁を誘う。さぞや多数の取材スタッフを引き連れているのではと邪推してしまう。
百日裁判も、余談満載。本質に切り込まず、だらだら傍聴。男たちの無様な群像劇を書きたかったらしいので、そこはなかば成功しているのか。いずれにしても、原稿料稼ぎとしか思えず。印象に頼った決めつけが目立つ。木嶋佳苗を評して「史上最強の女犯罪者」と書いたのには笑った。百日見てそれかよ、という感じ。編集がしっかりしてないからこんなんで本にしてしまう。
数々の名作評伝を残してきたが、もはやこれまでか。
このまま無様な作品を量産していくなら、「誰が本を殺すのか」のタイトル通り、本離れを助長するだろう。読まなければいいんだけど。
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佐野眞一のルポにしては内容が薄いような。
「旬」を逃すまいとして書き綴ったような気がしてならない。
しかし、木嶋佳苗の悪女っぷりは十分感じられる。
「仕事のように」続ける犯罪には空恐ろしいものを覚える。
なにせ、殺人で三件、詐欺及び未遂で六件。
これは立件可能とした数であり、おそらくはこれ以上の詐欺行為、または
殺人すらも行われていた可能性大なのである。
稀代の「毒婦」と称されても致し方ないところであるが、佐野は私以上に
木嶋を「悪女」呼ばわり(笑)決めつけっぷりが半端ではないのである。
それでいながら、裁判員には首をかしげてるという何故か不思議な感想を抱いているのには、同意しかねた。
概ね裁判の内容は把握できたが、やはり木嶋の心の闇は謎のままである。
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佐野眞一だから手に取った。けれど、佐野眞一の衰えを感じた一冊。木嶋一家のルーツまで遡り、実家のある別海町まで取り上げた週刊誌は確かに皆無だった。しかし、木嶋家のルーツ福井県でも、実家のある別海町でも特段の新事実は見つかっていないものの、この事件の深い闇をかなり誇張した表現を繰り返しているように感じた。
正直、帯には「東電OL事件を超える事件」と書かれているが全くそのようには感じられなかった。出版社が、去年の福島原発事故に絡めて、また最近の東電OL事件の再審開始に合わせてこのような文句を帯に付けたのなら理解できる。しかし、佐野さんまで本書内で東電OL事件以上であることを、言い続ける内容を書き綴っていたのは少し残念であった。
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木嶋香苗容疑者を追ったルポ。彼女の家が福井から北海道の別海に移住してきた歴史から紐解いて犯罪の原点を探る。
週刊誌で性的な表現が大きく取り上げられた印象があるが、犯罪者である一人の女性を表からも裏からも描いた名作。
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佐野眞一らしいテーマの選択である。しかし、突貫工事感がしてしょうがない。
木嶋容疑者がつかみどころのない人物なのは分かったのだが、いつもの佐野さんなら迂回路を見つけ、そこで新たな物を見つけてくるのだが。今回は何も見つからなかったみたいだ。
ではもし迂回路をしたならどんな道があっただろうか、私は2つの物が思い浮かぶ。1つは「ネットでの性(出会い系)」、2つ目は「老人の現代」である。まず佐野さんは性のついて多くの著書を残してきた。しかしネットで求めあう性については書いてないだろう。何年かかろうが尽きる事のない人間の性。さらに貪欲になっていく日本の性について触れてほしかった。
次に「老人の現代」。家族から離れ1人寂しく暮らす老人達。高齢化社会になり、年金も含め老人が社会問題となっている。家族がたまに来るのならいいが、誰とも関係を持たない老人はどうなるのだろうか。老いて漂流する老人、就職できない若者よりも将来は悲惨。佐野さん自体が歳をとって来ている、今の世をどうみているのか。
などなど佐野さんに任せればどうにか広がると思うのだが今回はそうはいかなかった様だ。でも理由も分かる。『3.11』『化城の人』も同時にやっていたのだから、100日傍聴が限界だったのではないか。これからも無理せずがんばってください。
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1部別海から来た女、2部裁判記録で構成。1部の別海での調査は木嶋が子どもの頃から大金を盗むなどの問題行動があったことを知らせる点では良かったかもしれないけれど、別海の地域性とはあまり関係ないように思う。
それにしても、被害者の嗜好まで暴かれてしまう点が悲しい。
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趣味の悪い本を読んだ。「睡眠薬と練炭を使った首都圏連続不審死事件は、『東電OL殺人事件』以来、久々にアドレナリンが噴出する事件だった。」(p.284)と書く著者って…正直と言うか,何というか。今までにない殺人事件に,魂が揺さぶられたらしい。お,お爺ちゃん…。
東電OLの被害者を「大堕落した”聖女”」,木嶋佳苗を「悪魔に魂を売り渡したとしか思えない”毒婦”」と対比的に評してる。
二部構成で,第一部は木嶋佳苗の故郷での聞き込み,第二部は裁判。 「第二部の傍聴記は、徹底的に散文精神にこだわって、裁判で明らかになった事実だけを冷静に伝えるようにした。」(p.285)と言ってるけど,ど・こ・が??って感じ。全然冷静でない,偏見に満ち満ちた,いつもの佐野節。
冷静に書いたという「第二部 百日裁判」は初公判ののっけからこんな感じの記述が続く。 「どこにでもいそうなおばさんに不釣り合いな化粧を施した顔には、昭和の香りが濃厚に漂っていた。時代からひとり浮いたそのずれが、木嶋の異常さを一層際立たせていた。」(p.71)
「付き合った男の死体の写真を見せられても、眉一つ動かさない。木嶋佳苗はやはりとんでもない”モンスター”だとあらためて思った。」(p.76) 「木嶋の陳述はことごとく、できそこないの”ハーレクイン・ロマンス”を読まされているようで、鼻白むほかなかった。」(p.85) こんな調子。
いったいどこが「裁判で明らかになった事実だけを冷静に伝えるようにし」ているんだろうか? そして木嶋佳苗への嫌悪感を蜿蜒と書き連ねてきた挙句に,死刑判決に対してもネチネチ苦言を呈する。なんだこの全能感は…。判決の量刑理由の記述をつかまえて,「あまりにも感情的に過ぎる」はないだろう。
「被告人は、当公判廷において独自の価値観を前提に不合理な弁解に終始するばかりか、各被害者を貶める発言を繰り返すなど、真摯な反省や悔悛の情は一切うかがえないことも併せ考慮すると、被告人の刑事責任は誠に重大である」という文章のどこが「感情的に過ぎる」のか意味不明。
「こんな文章テンプレだ」というなら分かるんだけど。 あと裁判員が記者会見で,「達成感がありました」と言うのを聞いて,それに対する反感を表明しているが,その口が言うかという感じだなぁ。著者のは「達成感」ではなくて「重苦しい徒労感だけ」だったそうだが。
佐野眞一って盗用・盗作でだいぶ批判があるらしいね。 盗用された溝口敦氏の文章→ http://t.co/FlpYhIxE 謝罪のはがきもアップされてる。
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法廷モノのルポ。
事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、この被告人のしてきたことは想像を絶する。
ので、他の木嶋佳苗本を読んでみようという気にはなれず・・・
別海と町名をあげつらっては降りますが、不快に思われる方もいらっしゃるのでは?
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match.comで知り合った男性を次々とだまし、貢がせ、挙げ句の果てには睡眠薬と練炭で3人を殺害。殺害までには至らなくても詐欺の被害に遭った人も数名。どうしてこんなモンスターができたのだろう。また、世の中には免疫力のない寂しい男性が増えてきてとも言えるのかな...
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2012/08/22 知人からの頂き物
なんと評価するのが適切なのか、すごく難しい。
木嶋佳苗が異常すぎて、既知の外であることを笑うべきなのか、この文章の書き方、佐野真一の表現方法を笑うべきなのか。
ただ、裁判所が、あそこまで個人のプライバシーが明かされてしまう場所であることを知れたのは良かった。