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マイケル・ガーデナ『トマス・グラバーの生涯 大英帝国の周縁にて』岩波書店、読了。本書は幕末~維新期に活躍した武器商人グラバーの生涯を描く評伝。筆者はグラバーと同じくスコットランド出身。スコットランドは大英帝国の「周縁」。日本も「周縁」。制度や技術を積極的に学ぶが、距離も置く。
本書は浩瀚な評伝。半世紀近く日本で暮らしたグラバーの豊富なエピソードで溢れている。維新後の没落と度重なる事業の失敗等々。最後の事業は日英同盟の締結。麒麟麦酒の図案はグラバーの発案とか。http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0258480/top.html
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トマス・グラバー邸には高校の修学旅行で行ったけど、幕末の武器商人位しか知らなかった。その後江戸の勉強で坂本竜馬と関係があったことくらいしか分かっていなかったけど、それは彼の人生のごく前半だけのことで、この本でも全体の半分以下のことでしかなく、その後、船の修理所(造船所)を故郷のスコットランドから輸入したり、炭鉱経営して破綻したり、三菱の経営相談役になったり、ポルトガル領事を務めたり、麒麟ビールの全身である「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」を設立したり、ラベルにある麒麟は娘のハナの考案で、そのヒゲはグラバーのヒゲをマネしたものだったり、鹿鳴館の名誉書記だったり、晩年は三菱から麻布に広い屋敷を与えられ、伊藤博文からは純和風の離れ家を寄贈されたり、日英同盟に関係したり、外人として初めて明治政府から勲二等旭日章を受勲したり、幕末だけではなく、明治時代にも色々な事に関係した人であったと驚きを持ってこの本を読みました。ダイアナ妃の祖先のスペンサー卿が日本びいきだったのも「へ〜」でした。
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幕末に日本に来たグラバーの伝記。
著者は英国人の大学教授か何か。
スコットランドの幼少時代から始まり、上海を経て日本へ商人としてやってくる。
グラバーは討幕派を支えた重要な人物だが、彼の討幕の理由は鎖国を解き、自由に貿易をしたい為らしい。
本書ではグラバーをスパイとは言っておらず、多少の諜報活動をしたと述べるにとどまっている。
また、フリーメーソンについても言及していない。
維新後、石炭に目をつけて大失敗したが、キリンビールの基礎を築いたり、三菱で働いたり相談役になったりする。
討幕派に武器を売ったり支えたりしたので、後年外国人として初めて叙勲された。
上海時代に身に着けたといわれる買春の癖が生涯抜けなかったらしく、蝶々夫人のモデルになったとか。
その部分もかなり掘り下げて書かれている。
日本の近代化に重要な役割を果たし、日本の発展に貢献したという意味でグラバーに感謝したい。
本書はとても読みにくい。
その理由は、
・物語と歴史の教科書の中間みないな感じで割と読みにくい。
・親戚縁者が多数登場し把握が難しい。
・章ごとにテーマがあり、時代が前後することもあり混乱する。
・翻訳が下手なのか否定文が酷い。延々と長文を読まされて、最後に「ではない。」とやられると読む気を無くす。
・誰の意見なのかよく分からない文章が多い。
・スコットランドについての知識がないと意味が分からない部分も散見される。
グラバーについて知りたい人におススメです。