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最初の「失敗の本質」を読んだのは何時だろう。手許にある本の奥付には"昭和60年2月15日 20版発行"とある。おそらく大学時代に紛争論か何かのつながりで落手したのだろう。
あれから幾度読み返しただろうか。少し難解だか、戦史に基づいた論証は、その後の様々な局面で、幾度勇気付けられただろうか。
今回の新版は、随分読み易くなったなぁ、というのが第一印象だ。このシリーズに触れていない人は、まずこの新版を読んでから、「戦略の本質」、そして「失敗の本質(初版)」を読まれることをお勧めする。
ともかく、初学者にとっても勇気付けられる一冊だ。
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日本軍の敗戦と、3.11における東電/政府の失敗が見事に重なる。
悲しいくらいに、この国のリーダーは歴史から何も学んでいない。
名著「失敗の本質」の筆者陣による組織のリーダーの人間力、判断力、マネジメントに注目した続編だが、史実を知らないと今一つピンとこないかも。
『ノモンハンの夏』はじめ半藤一利の戦争関連の著作、猪瀬直樹の『昭和十六年の敗戦』などを読んでからの方がハラに落ちるかもしれない。
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ロングセラーとなった前作から二十数年振りの続編である。前作が日本軍の戦闘のおける失敗の要因を戦略論的に解明しようと試みているのに対し、本書は副題の通り、リーダーシップに焦点を当てて、リーダーが本質的に備えるべき能力の解明を試みている。
日本軍の敗北の原因は総じて、軍部を支配していた官僚主義(無責任主義)にあったことは明確だが、この状況は現在の日本の政治状況と酷似しているといえる。まさにリーダー不在である。
本書に挙げられている「リーダーの備えるべき6つの能力」を兼ね備えた人材は稀有だと思うが、人を動かしていくには「品格」が最低限必要であり、その基礎となるのが「教養」(特にリベラルアーツと呼ばれる分野)であることを本書は改めて気づかせてくれる。
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既読感のある章がいくつかあると思ったら、DIAMOND HARVARD BUSINESS REVIEWに掲載されたときに読んでいたのですね。
そんな訳で、名著『失敗の本質』の続編と銘打っていますが、あちらが共同研究の成果であるのに対し、こちらは各著者の論文の寄せ集め的であり、前著のような全体としての完成度はありませんが、いくつかの論文は大変興味深く読みました。
山口多聞少将の評伝は、いくらなんでも絶賛し過ぎでは?という感も無きにしも非ずですが泣けます。
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第二次世界大戦における日本の敗戦と現代の日本の状況を重ねて分析した同名シリーズ第二弾。今回はリーダーシップについての内容だが、正直、読む価値なし。
結論への持って行き方が強引、何だか急いでこの夏に間に合わせたような拙速さに、読みながら疲れだけが残った感じ。
早めにブックオフへGO!
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「失敗の本質」が面白かったので、期待して読んだが、期待したほどではなかった。焼き直しの感が強かったし、情緒的な章もあって、教訓となるところが少なかったように思う。
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前作があり、しかも良書として認知されているため、どうしても前作との相対評価となってしまうのがつらいところであるが、前作が組織論書として、ガツンと頭に入って来たのに比べ、今回は戦史評価書との読後感が強く、リーダーシップ論の部分が希薄に感じられた。
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名作『失敗の本質』スピンオフ。
他のレビューにもある通りリーダーシップという共通テーマのもとに各人の論稿をまとめたもので、学際的共同作業が行われた『失敗の本質』には深み、厚みとも及ばないのが正直なところ。
個別具体的な事象から普遍化一般化を導き現代の組織にフィードバックする意図ならば、いきなりリーダーシップ不在を嘆くのではなく、「なぜ不合理な失敗を繰り返したのか」をまず組織自身の中に求めるべきでしょう。
実は第11章「戦艦大和特攻作戦で再現する合理的に失敗する組織」にその視点が見られますが、上述の通り論稿集であるため他の章に同じ視座が共有されていないのが残念。
同章の取引コストを使っての分析は有用なアプローチと思いつつ個人的には同意できませんが、山本七平「空気」悪者論への反論については同意なのであります。
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リーダーに求められる能力は、現場感覚、大局観、それらを踏まえた判断力だという。そして哲学、歴史、文学などの教養も重要であると。
組織にとって不都合な真実を隠蔽し、硬直的な組織体制を続け、科学技術への先見性も欠如していた日本帝国軍の失敗。
リーダーも組織も悲しいくらい反省する点が多いが、果たして現代の日本は歴史の失敗に十分学べているのか?
名著「失敗の本質」を近い内にまた読み直してみよう!
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28年前に刊行され、いまだに売れ続ける名著「失敗の本質」の、”正統な”続編と位置づけられているのがこの本。前作の著者6名のうち、3名が引き続き続編でも執筆している。(新たに4人の著者も加わって、計7名の共同執筆となっている)
「続編」と言う位置づけではあるが、前作の知識を持っていることは前提にしておらず、この続編から読み始めても問題は無い。むしろ前作が、軍事的にマニアックで、かつ文語的な表現を多様していたために、一般人にとってかなり難解な書物だったのに対し、続編は時代を反映してか相当に読み易くなっていることが第一印象。名著と言われる一方で難解だった前作に対しては、読み解くための入門書まで出版されていたが、そのような”非公式な”関連書籍に対する対抗する意図もあったのだろう。
平易で分かり易くなった一方で、前作ほどの重厚さは期待してはいけない。前作では、個別の戦闘のケーススタディを、一般人には難解なほどに突き詰めたうえで「一般論としての教訓」を導きだしたことに対し、続編は個別事例の深堀が徹底できていないため、どうしても薄っぺらな印象を受けてしまう。私にとってこの本を読んだことの最大の成果は、「もう一度前作の『失敗の本質』をじっくり読み直してみよう。」と思わせたことだろうか。
もっとも、名著と言われる前作と比較されるのも酷な話で、一般的なビジネス書としてみれば、読むのに十分な有益な本と言って良い。前作と同様に、この本を読むと、「過去の失敗事例を分析して、同じ轍を踏まないようにする。」と言う、一見簡単に思えることが、現代でも十分になされていないことに愕然としてしまう。
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ベストセラーとなった「失敗の本質」の続編。今回は、単に戦闘場面の分析のみでなく、国内での「総力戦体制の構築」や「日独伊三国同盟を舞台にした情報戦」「統制派と皇道派の派閥抗争」なども分析対象としている。
冒頭で著者が、原子力事故をめぐる管首相の対応を、激しく非難している。終戦から67年経っているが、極限の状態では日本の指導者は全く変われていないのだろうか。
内容は、「特攻作戦をめぐる空気の研究」とか「特異な人物(石原莞爾とか辻政信)の研究」が面白かった。
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「ところで、あるべきリーダー像、あるべきリーダーシップってなんだろう?」というのが、読了直後の感想。
戦争というイベントを通して、経営学的な見地からリーダー像、リーダーシップを再考するという試みは面白いのですが、残念ながら、分析後に得られる示唆がまとまっていないような気がします。
そういう意味で、惜しい本、という印象です。
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『失敗の本質』は難解な専門書、『戦略の本質』は少し砕けたビジネス本、そして本書は魅力的な語り口で紡ぐ読み物だ。面白い。前2作とくらべものにならないくらい、組織と人間について、熱を込めて語っている。それは、本書が日本の敗戦についての分析を主眼にしているわけではなく、敗北という現実をまえに組織があるいは人間がどのように振舞ったのか。運命というか所与というか、ある意味避けられなかったのではないか。「そうとしか生きようがなかった」という事実を感情を織り交ぜて語るさまは僕らの日常と近しい。日本は負けた。たしかにとんでもないやつもたくさんいたし、組織も腐敗してた。でも、がんばってるひとだっていたんだよ、と誇らしげに語ってもいいと思える。「昭和の軍隊」について好意的に評価するのを心情的に躊躇っていたのだが、山内昌之さんが描写する山口多聞の人物像を知ったら、どんな腐敗した状況でも、良心というものが残り、自分の存在を未来に向けて力いっぱい投げつける生き方は素晴らしいと思えた。また、菊澤研宗さんの「取引コスト理論」を駆使して「大和特攻」や「陸軍の派閥」を説明する下りは、肩がほぐれる感じで良かった。いまのところ今年一番です。
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うちの社長の本で紹介されていたので読んでみた。
敗戦の原因をリーダーシップの観点から考えた内容だった。
当時の日米の組織のあり方からも物資、兵力の差以外でも敗戦は必然であったと思ってしまう。
歴史の本ではなく歴史から現代に求められるリーダーシップを考えたものなのでとても参考になった。
リーダーシップには下記の6つの能力が必要。
・「善い」目的をつくる能力
・場をタイムリーにつくる能力
・ありのままの現実を直観する能力
・直観の本質を概念化する能力
・概念を実現化する政治力
・実践知を組織化する能力
過去はともかく現代にもこれらをすべて併せ持つリーダーは少ない。
最後は折れが責任を持つと言って任せるではなく大丈夫かと聞くだけで自分の部下がどういった状況に陥っているのかが判断できないリーダーがあまりにも多い。
人間力を上げるには仕事のスキルだけではなく哲学をはじめとしたリベラルアーツを学習して人間としての能力を上げることが必要。
誰よりも大局観をもって目的のために今何をするべきかを考えることで目的に近づくことができる。
状況は常に変わるので昨日の成功も今日では疑ってかからなければならない。
歴史の面白さと仕事でのスタンスの持ち方を考えさせてくれた良書だった。
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創造の世界を開くのは、自分たちの思い(暗黙知)を言葉(形式知)にし、言葉を形(実践)していくダイナミックなプロセスである
リーダーシップの検討 現場感覚、大局観、判断力
実践知を形成するための基盤の一つは経験である。とりわけ重要なのは修羅場経験、そして成功と失敗の経験だ。文脈は常に動いている。この文脈においては、この選択肢が最適だというジャストライトな判断をするためには、論理を超えた多様な経験が欠かせない
教養も重要な要素 哲学、歴史、文学
日本は零戦、大和、武蔵といった既存の兵器体系の精緻化には努めたが、それを組み合わせてどう戦うかという発想を生み出せなかった
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド イギリスの哲学者 世界とは連関したプロセスそのものであり、常に動き続けるイベントの連続体であるととらえた。目を向けるべきはモノではなく、コトeventの生成消滅するプロセスにある。
人間は万物についての真実を知ることはできない。組織にとって都合の悪い真実は頬かむりしたくなるのが人間だが、それでは新たな知は生まれない。あらゆる場面でなぜを5回繰り返すトヨタのように、絶対の真実があると信じて、何度も執拗に問を発し、試行錯誤を続けられる組織が最後には勝つ。
アリストテレス 知を5つに分類 直感的に原理を把握するヌース知性、真理を見極めるソフィア智慧、客観的知識としてのエピステーメ、物を作り出す実践的知識としてのテクネ、そして豊かな思慮分別を持ち、一刻ごとに変わるその都度の文脈に応じた最適な判断や行為を行うことことを可能にする実践的知恵としてのフロネシス
フロネシスをもつリーダー
善い目的を作る能力 場をタイムリーにつくる能力 ありのままの現実を直感する能力 直感の本質を概念化する能力 概念を実現する政治力 実践知を組織化する能力
本田宗一郎 口癖 試す人になろう
人生は見たり、聞いたり、試したりの3つの知恵でまとまっているが、多くの人は見たり聞いたりばかりで、一番重要な試したりをほとんどしない。ありふれたことだが失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を恐れるから成功のチャンスも少ない。やってみもせんで
クラウゼビッツ 戦争論
研究と観察、理論と経験は、相互に決して排除しあってなならない