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紙の本
平成の細雪
2012/09/03 23:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:世界遺産甲子園球場 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国際結婚を仕掛けとした、異文化論なのではとの先入観を持ってしまいますが、実際は現代日本の生活や庶民感覚を綴った絵巻物のような文学作品です。年功序列、終身雇用、社外活動、育児休暇、受験戦争、住宅ローン、夫婦喧嘩、家族旅行、など身近すぎて誰も記録に残さないようなことを、静かな筆致で留めています。時代や対象とする階層も違い、華やかな4姉妹も出てきませんが、日々の生活文化の記録としては、平成の細雪と言えるのかもしれません。何十年か後に読むと、平成はこういう時代だったのか、と感慨深く読めるのではないでしょうか。
私の好きな堀田善衛氏が絶賛していたことがきっかけで氏の作品はすべて読んできましたが、母国でない場所、人物設定、言語で物語る客観性・中立性は、時代や地域を超越して人間を見つめ続けた堀田善衛氏の視点に重なるところがあるのかな、と思いました。大袈裟に言うと無意味な国境を取っ払った地球人作家ということかもしれません。
氏は大の阪神ファンということなので、『博士の愛した数式』のようにタイガースが織り込まれているかな、との期待はあったのですが、その点に関しては、少々あっさりとしたものでした。
最後に書店にお願い。私が買った書店では、なんとヨーロッパ文学の本棚に置かれていましたが、これは日本文学に置くべきではないでしょうか。少なくとも日本語文学です。著者の国籍とするのか、書かれた言語とするのか悩ましいことですが、こうした概念がいつの日か無意味なものになっていくのかもしれません。
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