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ブロードウェーの演劇プロデューサー、ピーター・ダルースは、再起をかけて舞台劇『洪水』をプロデュースするはずが、いわくつきの役者達、おまけに忌まわしい劇場をあてがわれて、死者まで出てしまう騒ぎに。無事に事件を解決し、初日を迎えられるのか?
中盤ちょいとダレぎみかなと思いつつ読んでましたが、ラスト近くの、舞台初日へ向けた怒濤の展開はさすが。ミステリの話としての展開もありますが、それとダルース復帰へのドラマを上手く絡めた演出でしたね。
あと最初から最後までアイリスの行動力にはびっくり。
解説で、この作者さん(の片割れ)が、ソンドハイムの「スウィーニー・トッド」の脚本家であることを知りました。なるほど!(こういう、作者の来歴や裏話系の解説は、そこをトリガに世界が広がったり、次はこれ読もうと思わせたりしてくれるので大好きです)
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パズルシリーズ第2弾。
前作でアルコール依存から脱却したピーター・ダルースが、今度はブロードウェイで演出家としての再起をかけた舞台に取り組みます。
いわくつきの劇場、問題を抱えた役者たち、そして次々に起こる事件、事件、事件。
再起をかけた重要な舞台を前に起こる、奇妙な出来事の数々に神経を弱らせ、ともすればアルコールに逃げそうになる自分を必死に抑えるピーターが不憫すぎてちょっと笑えます。
幽霊騒ぎのある劇場の不気味な雰囲気や問題を抱えた役者たちの不穏な空気の中で、溌溂としたアイリスとなんとか頑張っているピーターのユーモラスさが楽しいです。
幾人もの思惑や事情が絡み合って複雑な事件になってしまっていましたが、役者たちの役者魂を垣間見れるエピソードもふんだんでした。
無事に開演できるのか!?と気を揉む中での事件の挿入がうまいです。盛り上がります。
アイリスはなんてかっこいいんだろう!
そして演劇の進行とともにレンツ博士の口から語られる事件の真相、という最後の演出は素晴らしいです。
これまでの出来事から真犯人の正体までの語りが、演劇と同時進行で相乗効果を上げクライマックスまで一気に駆け上りました。
舞台袖と舞台上でそれぞれサプライズと感動があり、裏でも表でもドラマが進行しているようです。
高揚したままきれいに幕が下り大満足なラストとなりました。
ちょっとネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピーターが自分のことでいっぱいいっぱいなので、探偵役であるレンツ博士が地味な存在でしたし、クラーク警部の出番もあまりありませんでしたが、最後のクラーク警部とレンツ博士の会話が良いです。
二人とも、特にピーターが開演の妨げになると恐れていたクラーク警部も、ピーターの成功を願い尽力していたのだと思うと感動です。
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パズルシリーズの第2作。いわくつきの劇場、問題だらけの出演陣と、舞台初日にむけてのサスペンスフルな展開から目が離せない。終盤のカーテンコールと鮮やかなフーダニットの同時進行もお見事。
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パズルシリーズ第二作。舞台が閉鎖空間ではなくなり、いわゆる普通のミステリーになってしまった感じだが、レンツ博士が登場しなくなる第三作以降もちょっと気になる。
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プロデューサーとしての復帰作を準備中のピーター・ダルース。新人脚本家ヘンリー・プリンスの持ち込んだ脚本。いわくのある劇場でのリハーサル。楽屋の鏡に幽霊がうつったと騒ぐ女優セオ。劇場の過去の事件に怯える老俳優カムストック。カムストックのショック死。カムストックの死後、ヘンリーの叔父クレイマーが代役に入り込む。ヘンリーをゆすっているクレイマー。過去の事故で精神を病むウェラー。ウェラーの弟の入院。劇場のネズミを退治するためにたかれた青酸ガス。棺桶の中で 発見されたクレイマーの遺体。劇の出演者たちを恐喝していたクレイマー。ウェスラーを襲う犯人。ウェスラーの弟フォン・ブライトが書いたもの。
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前作の舞台である精神病院から一転して、主人公がプロデューサーとして復帰した劇場が舞台となる。アルコール依存症を克服して仕事に復帰したが、そこで怪死、殺人が連続して起きる。主人公は、プロデューサーとして舞台を存続させるため事件を捜査する。前作でも登場した療養所長レンツ博士の力を借りて事件を解決する。
初日舞台までに事件を解決しなければならないというタイムリミットを課された中で病み上がりの主人公が奮闘する。過去の因縁、幽霊話、人物の入れ替えなど古風な設定で話が進む。
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診療所を晴れて退院し、プロデューサーに舞い戻った途端、事件に見舞われるシリーズ第2作。
序盤から、あからさまな悪意が蔓延っており、恋人同士となったアイリスに支えられ、なんとか仕事を続けようとするダールズには、感情移入を禁じ得ません。
やがてその悪意は、1人2人と人を殺し、舞台の練習を続けられないまでに追い詰める。
そこに現れたのが、前作でも探偵を務めたレンツ博士。
精神科医らしい着眼点で、確実に真相に迫っていきます。
本書はシリーズ最高傑作との呼び声が高いようですが、それも納得。
意外な犯人もさることながら、ほとんどの読者の予想を裏切ってくるであろう事件の構図が素晴らしい。
まさに逆転の発想。
このシリーズを追うのがさらに楽しみになりました。