紙の本
揺籃期の終わり
2015/09/28 11:24
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
笠木兼亮の友人である煮雪瞑が、二人きりで暮らす妹で女子中学生の煮雪日和を残し姿を消してから一週間と五日が過ぎた。そんな現実から目をそらすように、通学途中のバスの中で他愛もない会話をしていた兼亮と日和は、危なげな男子高校生に絡まれる。その少年、村瀬一郎は、瞑に対して散々な悪態をつくと、彼らが「絵本」を持っていないかと尋ねてきた。
何のことやら分からず呆然とする二人を引き離し、日和を人質にした村瀬は、日和の口を指でこじ開けて手を突っ込むと、そこから取り出した拳銃を兼亮に向けてぶっ放す。
にわかにバスジャックの様相を呈してきた車内にいた女子高生の一人、生駒千鳥は、兼亮にスマホのイヤホンを差し出し、耳にはめる様に言ってきた。そのイヤホンから聞こえる声に従った彼の前に現れたのは、電話先の少女、蒼い目の女子高生である帯刀月夜だった。
彼女に助けられた兼亮は、瞑が「絵本」の悪役【ヴィランズ】に魅せられ、その悪役の能力を利用して女子中学生誘拐事件を起こしている可能性が高いと告げる。友人を助けるため、彼女から情報を引き出すことにした兼亮は、彼女と行動を共にすることにした。
人間を特殊な形でしか認識できない少女と、少年時代に助けられた記憶から友人をヒーローとして神聖化してしまっていた後悔を抱えることになる少年が、読者にリスクある能力を与える十六冊の絵本、ワーストエンド・シリーズにまつわる事件に関わる物語だ。表に出される芝居じみた変態性と、少年期ゆえに許されるある種の傲慢さ、そしてそれらの発露として破滅的な結末を与える絵本に振り回される人々の姿を描いている。
一度割り切れば二度と戻れない。割り切るのは敗北であるように感じる。そんな葛藤の中にある少年期の心の揺れと、そんな心の揺らぎすら超越せざるを得ない“呪い”を受けている少女の交流の中に何が生み出されるのか。それがこれからの物語になりそうだ。あえて一つ言うならば、そもそも初めになぜ煮雪瞑が絵本を手に取ることになったのか、その動機が、今後の物語構成に深く関わっていると良い感じがする。
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『こうして彼は屋上を燃やすことにした』のカミツキレイニー最新作。
前作と違って学園異能バトル?
って最初は思ったけどちょっと違う感じですかね。
絵本を使った異能設定といいお話のまとめ方といい、
ああ、なんかこんな感じの作家さんだったなと思う感じ。
所々たどたどしく感じる部分もありましたが、
読み終わってみると面白かったなぁと感じる。
やっぱ作風的に微妙に暗いんですが、
会話など笑っちゃう部分もありつつバランスは良かったかと。
ちょっと脇役を持て余してる感がありますが、
続編が出るようなので徐々にってイメージでしょうか?
とりあえず続編楽しみに待つくらいは面白かったです。
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学園ものダークメルヘン
意図せずに買ったんだけど
読んだことのある作者だった!
『こうして彼は屋上を燃やすことにした』
→ http://booklog.jp/users/skyufo/archives/1/4094512705
よく知る童話に残酷な一面があるというのは多々ある話だけれど
その絵本のシリーズは憂鬱で残酷な結末ばかりが描かれた「決して読んではいけない絵本」
何故ならその本の悪役(ヴィランズ)に
取り込まれてしまうから……
普通の高校生だった主人公の周りで
失踪事件が相次ぐ
消えたのは2人の女子中学生と、
ただ一人の親友の青年
そんな彼の前に『読み手』と呼ばれる異能力の使い手が現れて
その日常は更にダークメルヘン街道へと迷い込む
*
童話が好きなので買うてみた
これからどんどんと話が膨らんでいく感じ
人の心の裏側を
考える
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悪役(ヴィランズ)に焦点を当てた絵本に纏わる物語。
まず表紙に目がいった。青い双眸に見つめられるその様はまるで本編よろしく、心を見透かされている――いや読まれているかのよう。
誰ものヒーローで在り続けようとした者。そのヒーローに憧れ、友達になろうとした者。ヒーローの大事な唯一の家族――。
そして、それを歪み、壊していく『絵本』。
一つ一つが重要なファクターで、それが絶妙に絡み合い、不協和音を奏でながら、物語を構成・展開していく様はすごいと思った。
何より、文章構成が巧いため、非常に読みやすい。
最後の展開もちょっと奇をてらうものだったと個人的には思います。。これ以上は過剰なネタバレになってしまうので伏せるけど、これはぜひみんなにも読んで欲しい作品です。
一応現代異能バトルものだけど、バトルシーンが主軸ではなくてあくまで『物語』が基盤なので、『絵本』の所有者の葛藤する様を感じて欲しいです。
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悪役の力を借りれる絵本を利用して盗まれた絵本を探す異能力バトルもの バトルものですが、バトルより独特の雰囲気を楽しむ系
魅力的な悪役の物語が魅力的にならないわけがおはなし 童話モチーフ美味しい
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童話をモチーフにした学園異能バトル。
シリーズものの1巻らしい感じで、異能の解説やキャラの紹介を上手く挟みつつ、ストーリーも良い意味で分かりやすい展開で良かったと思う。
「本当は怖いグリム童話」的なネタを使うのであれば、もう少し作品の背景とか解釈なんかに踏み込んでほしかったなと。今作は「赤ずきん」がメインでしたけど、少女を襲う狼というモチーフの怖さがイマイチ伝わってこなかったですね。
とりあえず続刊に期待。
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2巻が出るので積み本を崩したが、積んでたのが勿体無かった、ってくらいに楽しめた。
兼亮が赤ずきんを返却しないのがいい感じ。これからどんどんロリコン眼鏡キャラになっていくわけですね。
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2012 9/14読了。WonderGooで購入。
本来の童話の筋とは異なる、強烈なバッドエンディングに至る絵本のシリーズ「ワーストエンド・シリーズ」。
その読み手は悪役の力を借りられる代わりに、返却せずにいると悪役に取り憑かれるという。
ワーストエンド・シリーズ「赤ずきん」の狼に乗っ取られたかもしれない親友を探す主人公と、その親友の妹、ワーストエンド・シリーズを集めて回る絵本の「借り手」たちを描いた話。
・・・前作に比べてだいぶラノベに舵切ってきたなあ、カミツキレイニー。
設定からしてシリーズ化を目論んでいるっぽいし、やはりラノベで生きていくにはそうならざるをえないか・・・。
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これは悪役の物語。話しの序盤、展開、設定が良かった!新鮮で読みやすかった。ヒーローとダークヒーロー、主役と悪役、ハッピーエンドとバッドエンド。これがこの作品の醍醐味であると思います。表と裏、プラスとマイナスのように正反対のものだけれど実はとても近くて少しのきっかけでどっちでもなれることを読んでいてふと思いました。そしてすべての原点にあるのが「絵本」。これからの展開が面白くなりそう。
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いろいろ納得がいかない部分もあるけど、何回も読み返して咀嚼しようと思う。どうも自分の読む本は、主人公のタイプが偏る(苦笑)←
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全5巻完結。
色んな童話の悪夢がグロテスクに顕在するのが面白かった。少女の口に指を入れて銃を取り出す、とか、JKがスカートの中に手を入れて産んだ卵を取り出す、とか、
あと、お下げ髪でやる気の無さそうな生駒千鳥があんなことになってからがとても良かった。
『不思議の国のアリス』いいところ持っていった。