投稿元:
レビューを見る
この夏にノーベル賞候補間違いなしとばかりにマスコミを賑わしたヒッグス粒子の発見であるが、どうも新聞や解説を読んでもスッキリとしない「神の粒子」である。
物質に質量を与える素粒子、鳥もちのように素粒子の動きを制限することで質量を与える、と簡単に説明がされているヒッグス粒子だが、物質を構成する素粒子の質量を足しあわせても物質の質量と一致しないこととどう関連するのか。
また、宇宙が生まれた直後にこのヒッグス粒子が他の素粒子を捉えて質量の起源になったとは言っているが、ヒッグス粒子は今もここにあるのか?ヒッグス粒子は極めて寿命が短いと言っているが、では今ある他の素粒子は全て宇宙創世記にヒッグス粒子に影響を受けたものしか残っていないというのか?
と、こういう素人の持つ素朴な疑問には中々答えてくれる書籍が無かったのだが、何と期待もしていなかったこの竹内サンの本が痒いところに手が届くように答えを出してくれていたので予想外の大満足だ。曰く「物質の質量の98%はクォークとクォークの相互作用のメカニズムがもたらすものでヒッグス粒子で作られる質量は2%にすぎない」。「あるとも無いとも言えない。ヒッグス場があるのだ」というものだ。
またCERNでの実験の全体像や加速器の構造、そし実験結果の解析の方法論なども簡単に紹介してくれているので非常に読みどころ満載だ。この手の新書では表面を簡単になぞりすぎて隔靴掻痒感が伴うものが多いのだが、珍しくも本書は満足度が高い。絶対のおすすめ本だ。
投稿元:
レビューを見る
今、科学界でホットな話題。素粒子論については一般書を何冊か読んだが、この本が一番読み易い。但、読み易いと言うことは難しい部分を省略しているということであり、最初の一冊として最適かと言うとそうでもない。本書のメインテーマは『全ての物質を構成する“素粒子”に“質量を与える”粒子』と呼ばれるヒッグス粒子についてである。わからないなりに読み進めると、最後に(飽くまでも)『素粒子に質量を生み出すもの』であり『ヒッグス粒子が与える質量は、たったの2パーセント?』とある。完全に騙された。これって一種の叙述トリックだね。
補足:何故、全ての物質を構成する素粒子の質量合計が物質全質量の2パーセントにしかならないかが気になる方は本書を読んでください。^^;
投稿元:
レビューを見る
まさにかゆいところに手が届いている本。素朴な疑問に触れてくれている。きちんとヒッグス粒子とはなんぞやということに一本筋が通った説明になっており、また、ここからは未解決ということも記されていて、好感がもてる。
・素粒子そのものに最初から質量があるとすると、標準模型においてきれいな計算式が成り立たなくなってしまう。
・素粒子とヒッグス粒子の相互作用(光子とグルーオンとは相互作用しない)
・質量の起源はさまざまある。ヒッグス場だけではない。
・エネルギーの起源は今のところ説明できない。
・現象論という分野の研究者の存在
投稿元:
レビューを見る
素粒子に質量を与えるヒッグス粒子とは何か、一般の人向けに書かれている解説書(私には難しかったが笑)。
「場」の概念を取り入れたゲージ理論が大変おもしろい。あと、世界が11次元あるとする超ひも理論と、アインシュタインの重力方程式をもっと深く勉強したいと思った。
目で見えないものの存在を理論的に予測し、膨大な実験と計算によって「発見」する、物理学者の閃きはすばらしい。
投稿元:
レビューを見る
オーナー:ISOI
蔦屋代官山に平積みされていて手に取りました。宇宙を知るために素粒子を知ろうと思って。難しい話を比較的簡単に書いてくださっているので何となく素粒子の体型的な理解ができたような気がします。赤ボールペンで線を引きまくった一冊です。
投稿元:
レビューを見る
ヒッグス粒子が話題になっていたので手にとってみたものの、意外と興味が沸きませんでした…
説明はとてもわかりやすかったので、興味のある方には良いと思います。
-----
MEMO:
p74
ヒッグス粒子という素粒子が真空に満ち満ちていて、他の素粒子と作用して質量を与える。
p99
宇宙に存在する物質は4%しか正体がわかっていない。
既知の4%:17種類の素粒子
未知の23%:暗黒物質
未知の73%:暗黒エネルギー
p180
現代物理学において新しい物質の発見というのは「ぱっと写真を撮れて…」という感じではなく、実験結果から推理して「正体はこれしかない」と他の可能性を全て否定することで、成功といえる。
投稿元:
レビューを見る
らしくないレベルの低さ。
専門外の上に急いだのか、専門家の良書が先に出ているためか、門外漢が上っ面をなでた悪い入門書のパターン。筆者には珍しい。
投稿元:
レビューを見る
(2014.11.13読了)(2014.08.26購入)
【ノーベル物理学賞】2013年
2013年のノーベル物理学賞受賞理由は、
「欧州原子核研究機構(CERN)によって存在が確認された素粒子(ヒッグス粒子)に基づく、質量の起源を説明するメカニズムの理論的発見」
ということで、イギリスのピーター・ヒッグス、ベルギーのフランソワ・アングレールが受賞しました。
この本は、ヒッグス粒子についての解説書です。ヒッグス粒子が見つかったといっても、粒子を単体でとりだして、これがそれですと、写真で見せてもらえるというものではないそうなので、まったく困ってしまいます。
こういう性質のこのような質量をもった粒子が存在するといままで物理学で構築してきた理論に整合性がとれる、という感じのものです。
物質を細かく分けて行くと、分子に行き当たり、さらに分けると原子にたどりつきます。
原子は、原子核と電子で構成されています。原子核は、さらに陽子と中性子に分かれます。
40年ぐらい前に学校で習ったときは、この辺まででした。
その後の研究の結果、物質のもとは、素粒子と呼ばれるようになり、クォーク6種類、レプトン6種類、ゲージ粒子4種類、そしてヒッグス粒子、と全部で17種類ということになりました。ヒッグス粒子の存在が確認できたのが、2012年ということです。
物質を構成する17種類の素粒子がわかったので、宇宙に存在する物質の正体がわかったかと思えば、これで分かるのは、4%ということです。残り96%の物質の正体はまだわからない、といわれると、いままで何やって来たの、という感じです、
残り96%の内訳は、ダークマター23%、ダークエネルギー73%ということです。
困りましたね。
【目次】
はじめに
プロローグ
第1章 素粒子って何?
第2章 ヒッグス粒子とは何か?
第3章 宇宙はどのようにして作られたのか?
第4章 粒子の実験に使う「加速器」とは?
第5章 実験装置の中を探ってみよう
第6章 ヒッグス粒子発見は物理学の未来への第一歩
参考文献
謝辞・追記
●質量の起源(11頁)
2012年7月4日、スイス・ジュネーブのCERN(欧州合同原子核研究機構)は、「新しい粒子」を発見したと発表しました。この粒子は、あらゆる物質の質量の起源とされ、長年追い求められてきた「ヒッグス粒子」であることが確実視され、世界のメディアが大きく報じました。
●ヒッグス粒子(25頁)
ヒッグス粒子とは、「素粒子の質量を生み出す」と言われる素粒子です。この世の中のすべての物質を作っている最小単位が「素粒子」なのですが、それらは本来、質量を持っていないのです。でも、私たちの体には質量があり、私たちの身の回りにあるさまざまな物質にも質量がある。そのことを説明するために、質量を与える素粒子というものが必要である、と理論的に考え出されたのがヒッグス粒子という特殊な素粒子なのです。
このヒッグス粒子の理論が提唱されたのが、1964年。
●素粒子の種類(27頁)
素粒子の種類は少なく、基本的にはたった17種類だけです。
●クォーク(31頁)
クォークは最初、アップ、ダウン、ストレンジ��三つしか見つかっていなかったのですが、残りのチャーム、ボトム、トップの存在を予言したのもこれまた日本の小林誠と益川敏英の二人の物理学者でした。
●ニュートリノ(41頁)
ニュートリノに質量があることが確実とされたのは、2004年の日本国内での実験によってです。
●ヒッグス場(188頁)
ヒッグス粒子の発見は、あくまでもヒッグス場においてどのように素粒子が質量を得るのか(正しくは、質量を得たような状態になるのか)ということを解明するものなんです。ですから原子核などの素粒子以外の粒子が質量を得るメカニズムとは別物です。
☆関連図書(既読)
「目に見えないもの」湯川秀樹著、講談社学術文庫、1976.12.10
「湯川秀樹が考えたこと」佐藤文隆著、岩波ジュニア新書、1985.06.20
「鏡の中の物理学」朝永振一郎著、講談社学術文庫、1976.06.30
「量子力学入門-現代科学のミステリー-」並木美喜雄著、岩波新書、1992.01.21
「ニュートリノ天体物理学入門」小柴昌俊著、ブルーバックス、2002.11.20
「素粒子の宴 新装版」南部陽一郎、H・D・ポリツァー著、工作舎、1979.07.25
「クォーク 第2版」南部陽一郎著、ブルーバックス、1998.02.20
「消えた反物質」小林誠著、ブルーバックス、1997.06.20
「現代の物質観とアインシュタインの夢」益川敏英著、岩波書店、1995.10.23
「いま、もう一つの素粒子論入門」益川敏英著、丸善、1998.08.30
「立花隆 小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力」立花隆著、朝日新聞出版、2009.01.30
「いっしょに考えてみようや-ノーベル物理学賞のひらめき-」小林誠・益川敏英著、朝日選書、2009.08.25
「宇宙のダークエネルギー」土居守・松原隆彦著、光文社新書、2011.09.20
「超ひも理論とはなにか」竹内薫著、ブルーバックス、2004.05.20
「赤ちゃんはなぜ父親に似るのか」竹内薫著、NHK出版新書、2012.06.10
(2014年11月18日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
万物に質量を与える素粒子、ヒッグス粒子の存在が提唱されておよそ半世紀。欧州合同原子核研究機構(CERN)は、ついにヒッグス粒子と見られる新粒子を「発見」した。ヒッグス粒子とは何なのか、どのように見つけ出されたのか、物理学の次の課題は…。尽きない疑問をわかりやすく解説する。
投稿元:
レビューを見る
ヒッグス粒子とは何か、宇宙はどのようにして作られたのか、一般人に分かるよう数式等使わずに概観することで解説している。
投稿元:
レビューを見る
質量を創出するものは未知であり、質量ある複数の物体は引き合うというイメージのみで捉えられることが多かったはず。私もその一人である。
本書によれば、その質量を生み出す素粒子がヒッグス粒子らしい。
その存在は確証されたわけではないものの、本書はその中で、現在までに判明している事情を解説していく。
存在が確定せず、ヒッグス粒子が存するとされる場をヒッグス場、素粒子の運動からヒッグス粒子の存在把握が可能とするが、この辺りがよくわからない。
素粒子概念も、超弦理論とM理論とが対立する中、後者のM理論は重力を起点として大統一理論を展開する。かようなM理論は新奇である。
投稿元:
レビューを見る
ヒッグス粒子とは何か。素粒子物理学の世界においてそれを発見したプロセスは一体どんなものだったのか。加速器や、実際の観測方法はどんなものだったのか。それらを体系的に知ることができた。また、理論が生み出される裏のエピソードがちらほらと記載されていて面白かった。
投稿元:
レビューを見る
素粒子、ヒッグス粒子、現在の一般的な宇宙論、加速器、理論と幅広い分野を簡潔に分かりやすく述べている。わかり易い。