紙の本
トーマスは
2023/10/07 19:34
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
トーマスはかかしのお仕事が気に入っているみたいですね。
いろんな動物たちを見たり、雨や日照りを経験して、役目を全うした後は自分の夢もかなったということですよね。
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キャベツ畑にすえられたかかしの一生(というかワンシーズン)。
ちょっと「もみの木」っぽい。農村ののどかな空気に「機関車やえもん」を思い出した。
大きなストーリーはない。場面はずっと畑のまま微動だにしない。
だけどトーマスは自分の王国であるキャベツ畑に満足し、風にふれ、雨に濡れ、日照りに雨の恵みを知り、雷に怯え、虹を見て、動けない悲しみを感じ、凧をうらやむ。
位置はそのままにそよぐ穂波のような話だ。
初期の作品だからかやや拙い。
生まれたばかりのトーマスは物を知らないキャラなんだけど、無知のバランスが悪い。
たとえば光の反対側に影ができるしくみを知っているのに影が伸び縮みすることに驚く。
とってつけたような「かかしっぽさ」がやや気になる。
小さい魔女や小さい水の精は気にならないからたまたまこれが合わないだけかな?
訳もひどくはないけど美しくない。トーマスの口調は好き。
元の通りなのか訳のせいかわからない部分でも、"骨の髄まで、いや熊手の柄の髄まで恥ずかしくなりました"(p22)"頭をかきむしって考えましたが"(p46)のような、動けないかかしであることや木の棒でできていることが重要なシーンで動けるかのような言葉を使ってしまっている部分がいくつかある。
あと絵が怖い。表紙にあるような風を感じられる景色は美しいけれど、人が怖い。スズメも怖い。なんか不安になる。
子供の頃に見ていたらそうとう怖かったかもしれない。
リューベツァールも表紙は良かったんだよな。
プロイスラーの中ではそんなに好きなほうじゃないけれど、本としてはけっこう好き。
私はドイツ人じゃないなあ。
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かかしのトーマスは、いつもひとりぼっちで畑に立っているわけではありません。風や雨やお月さまや動物たちというともだちができて、彼らの話に耳をかたむけるうちに、ひとつの願いを抱くようになります…。
結末にはちょっとびっくりしちゃうけど、トーマスの願いは叶ったことになるのか。素敵でした。
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読み終わって「えーっっ?!」と声をあげた。悲しいしさと清々しさ…
余韻の残る作品です。
子供たちからも様々な感想が出てきそう。
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キャベツ畑にたてられたかかしの目を通じて、季節の移り変わりが描かれた作品。
かかしのトーマスが季節ごとに何かを学んでいく様子から、書かれた当時の牧歌的な様子が垣間見えるようでした。
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プロイスラーの初期の作品。かかしの目を通した畑の季節の移ろい、そして旅立ち。秋の初めの朝に畑に霧が立ち込める場面が鮮やか!プロイスラーやトーマスが実際に見た景色、それを本を読むことで共有できる。
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読んでいるとトーマスに感情移入するだけに、最後は衝撃。
ドイツではあたりまえのことだと解説にあるので、ドイツの子どもは残酷とは思わず、むしろトーマスの魂が自由になったことを喜ぶのかもしれない。もちろん悲惨な書き方はしていないので、日本の読者にも、トーマスが真の自由を獲得したことは十分感じられるのだが。
ホルツィングは『クラバート』の絵がとてもよかったが、こちらも、銅版画にも似た味わい深い絵。
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水の精を思い出させるような、プロイスラーの優しいお話。
かかしを最後焼いちゃうのは衝撃だけど、ドイツではそれは普通のこと。
地域に根付いた文化を知りました。
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プロイスラー大好き。これもよかった。最後がすごくいい。大地の恵み、作物の実り、人々の祈り…お説教くさくなく、思うことができる。そして、かかしの気持。
子どもたちがなんともかわいい。家族もいい。お月さまもいい。トーマスが学んでゆく姿が健気で、なんというか、この本を読むこと自体が楽しかった。プロイスラーの作品を読むと、私は読書の楽しみを体感しながら思い出してものすごく幸せな気持になる。ありがたい。