サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

共和政の樹立 みんなのレビュー

第68回毎日出版文化賞特別賞 受賞作品

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー14件

みんなの評価4.0

評価内訳

14 件中 1 件~ 14 件を表示

紙の本

ルイ16世の最期の姿はあまりにも痛々しく哀しい

2012/11/02 17:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

1792年8月10日の蜂起は奇跡的に成功し、ここでサン・キュロット階級は一気に巻き返したが、続く9月は法を無視した虐殺の季節だった。ダントンの演説から始まった反革命派狩りではモッブと化した民衆が敵対的な政治家たちを見境なしに血祭りに上げる。革命とは今も昔も問答無用の敵の殺戮なのである。

その後サン・キュロットたちはやっさもっさの挙句にようやく王制を廃止し、共和制を樹立したものの、国王ルイ16世をどう裁くのかという難問に直面する。有罪だからといって市民ルイ・カペーを死刑に処していいものだろうか、とさすがのダントンやロベスピエールも胸に手を当ててためらうのだ。

そんななか、中庸のジロンド派に押されに押されていたジャコバン派が息を吹き返したのは、田舎者の最年少議員サン・ジュストの「人民の敵であり虐殺者、簒奪者、反逆者である王は仏蘭西に無関係の外国人として即刻裁かれるべし」という洗練されない論理による問答無用のどんくさい演説からだった。

衆寡敵せずというのに、議会で少数派の一議員の名演説が中間派のみならず多数派を論理的に圧倒して公論が逆転するなどわが国では到底考えられないことだが、それが18世紀の仏蘭西では実際に起こったのである。革命の進行過程では、現状を固定せず無理矢理敵に向かって前進しようとする勢力が優位に立つことが多いが、これがまさにその時だった。これ以降ジャコバン派の盟主ロベスピエールさえももはや過激派の暴走をとめることは出来なくなり、革命の本質は日を追って見失われてゆくのである。

 パリ大学医学部教授ジョセフ・イグナス・ギヨタンによって開発された最新式の処刑機械ギロチンによって処刑されてゆくルイ16世の最期の姿はあまりにも痛々しく哀しい。彼は教授に助言して三カ月状の丸いデザインであった刃を鋭い3角形に修正したギロチンで首をはねられたのであった。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

ルイ16世 断頭台の露と消える。フランス革命の残酷史

2012/10/13 15:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん  - この投稿者のレビュー一覧を見る

カバーの装幀画では槍、斧を振りかざした群衆の中、一人の男が槍先に貴婦人の生首を刺し、これ見よがしに掲げている。この首はマリー・アントワネットの友人であるランバル大公妃である。

1792年、9月2日から6日までのいわゆる9月虐殺。
この絵は9月3日の出来事であった。
タンプル塔に幽閉されたルイ16世一家の目前、人々は槍の先に刺したランバル大公妃の首を、ぜひお見せしたいというのです。撲殺され死体をバラバラにされた貴婦人の首………王にというより王妃にと。そう言われて「(ルイは)窓枠をよぎる黒いものが、はじめて人間の首にみえたからだ。しかもなるほど女だ。ブロンドの髪の毛が煉瓦色の血で汚れている。声はなかった。が、王妃が悲鳴を上げたのがわかった。」


そして1792年12月、ラストのルイ16世の断頭台まで、本著「共和政の樹立」で描かれた5か月は流血の惨劇が連続する。とくに9月の反革命主義者に対する虐殺行為は公安当局ではなく、粗暴で野卑な大衆の手によるものだけに読んでいて、やりきれなさが募る。どこかおかしい。「正義」が貫かれているとは思えないこの暴動である。やりすぎではないかと、犠牲者には同情の念を禁じ得ない。

「フランス革命とは。ブルボン王朝の圧政下にあった市民が、啓蒙思想の影響、アメリカの独立に刺激されて起こしたブルジョア革命」という教科書的な受け止め方はダメ押し的にここで一蹴された。

フランス革命は始まりであるバスチーユ襲撃から、1792年の惨劇など血なまぐさい暴力を伴いながら推進されたが、その暴力的側面はサン・キュロットと呼ばれる階層(主に手工業者、職人、小店主、賃金労働者などの当時のパリの貧困層)が担ってきた。王侯貴族・聖教者対第三身分という革命初期の対立構図は変化し、第三身分の中で資産階級とサン・キュロットの対立が先鋭化してくる。

佐藤賢一はこの対立と妥協の構図を詳細に語るのである。ここがすこぶる面白いのだ。
サン・キュロットのエネルギーはそれが無定見な殺戮へ暴走するとしても革命推進にとっては欠かせないものである。
政治舞台でのリーダーたちは、革命初期のミラボーも含めて、「共和政の樹立」の主役であるダントン、ロベスピエールはもとよりブルジョワ寄りのジロンド派の面々、ルイ16世に至るまで、サン・キュロットとどう向き合うかに政治生命がかかっていたのだった。
あのミラボーとはなんであったのかをわたしは遅ればせながらこの巻で具体的に理解できたような気がする。ミラボーはやがて先鋭化するブルジョワとサン・キュロットの対立を緩衝する装置として王権維持に固執したのだと。
彼らは、ある時はサン・キュロットの不満を煽りそのエネルギーの矛先を誘導し、しかし明日には暴走によって自分の首が絞まることにもなる、そして暴発を抑える作戦も必要になった。ある面、暴力に政治が振り回されているのだ。ダントン、デムーラン、ロベスピエール、ロラン夫人、ロラン、ルイ16世がそれぞれの立場にある微妙な心理の綾をじっくりと味わおう。

サン・キュロットは多数者であり、貧しい。教養は低く、情緒的であり感情的である。富める者をうらやみ、買収や煽動を受けやすい。素朴で常識的で感動をよぶカッコイイ言葉に弱い。自分の言葉は持たないが、腕力だけはある。何が正義か不正義かを知らず、ただ直感的に「不正を正す」。近視眼的で付和雷同。烏合の衆と化して政策決定に多大の影響を及ぼす。

「小説フランス革命」を読むといつものことながら、遠い昔のよその国のお話とは思えなくなるのだ。

そこでこれから日本はどうなるのだろうと。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2012/10/25 00:03

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/10/27 22:06

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/11/01 21:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/11/11 18:06

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/11/17 00:06

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/12/18 22:51

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/01/06 17:51

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/02/24 19:52

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2016/01/05 22:44

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2016/08/21 19:59

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2018/04/29 16:55

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2021/02/08 20:43

投稿元:ブクログ

レビューを見る

14 件中 1 件~ 14 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。