投稿元:
レビューを見る
増田 悦佐 (著)
自分の役に立つデータを見つけ、まちがえずに読み込み、効果的に使いこなせば、どんな状況が押し寄せても必ず生き残れる。世界経済の動向を看破する気鋭のアナリストが、データの収集・読解・活用のノウハウを公開。
投稿元:
レビューを見る
この本の著者である増田氏の本は、新刊書が出るたびに殆どの本を目を通しています。情報というものは加工次第でいくらでも自分の言いたい方向へ導くことができると思いますが、増田氏が著作の中で一次情報の大切さをいままで強調されていましたが、この本は、そのネタを紹介している点が特徴です。
この本を読んで感じたことは、データを集めてから考えるのではなく、何を書きたいかを明確にしたうえで、データを収集して加工する姿勢が重要で、この考え方は加工されたデータを読むときにも言えることだと思いました。
以下は気になったポイントです。
・文章だけの記事は、書いている記者や論説委員が長年にわたってつくり上げてきた「ものの見方」に沿って、その時々の話題を論評するだけというものが多いので、それらの情報をやり過ごしてしまっても問題ない(p7)
・中国農村住民の一人当たりの年収額は、2002-11年で、2000-6000元へと3倍以上になったが、都市部の年収は17,000元以上である(p17)
・オランダ周辺地域に近代的な市場経済が芽生えてから約500年経過するが、何度もデフレを経験したが、デフレと経済収縮と共存したのは1930年代のたった1回のみ(p24)
・個人金融資産関係で覚えておくべきサイトは「知るぽると」(p31)
・日本の勤労世帯は、1989年末からバブル崩壊の時期を経ても、金融資産は借金を差し引いた上で着実に伸ばしてきている(p32)
・リーマンショックは、日本のバブル崩壊とは比べ物にならないほど大きな負債を個人世帯が抱えていた中で起きたもの、4年が過ぎた2012年でも被害の全貌が分かっていない(p35)
・データを見たら、どんな意味をもつ数字か、単位は何か、いつからいつまで収録したデータか、原資料は何かといった背景を明記したサイトに巡り合うまで探すこと(p37)
・もし、確実に社会に有用な人材を輩出するとわかってしまえば、アメリカのように、一流大学の授業料は、大富豪の家に生まれつかなければ払えなくなるほど高くなるか、フランスのように前途有為の学生は政府丸抱えの国家官僚に育てられるかの2つになる(p59)
・アメリカでは学歴と、失業率・週給にかなり相関関係がある、高卒と修士号資格の場合、失業率:10.3%vs4.0%、626vs1272ドルである(p65)
・日本の場合、高卒と大卒との所得差は1.5もないが、アメリカでは2.0近くある(p69)
・アメリカでは、利用限度額が設定されているクレジットカード(数万ドル程度)と違って、学費ローンは1件当たりの融資総額が何百万ドルとなることがある(p75)
・アメリカでは、2007-2010の4年間で所得中央値はわずか7.7%目減りしたが、純資産中央値は38.8%も激減した(p86)
・アメリカの労働力率は、2000年には67%近かったが、2012年んは63%程度に落ちた、20年前と同じ水準(p87)
・日本の大学新卒者の就職が難しくなった最大の理由は、大学進学率が89年頃の25%程度から現在では49%に増えたから(p98)
・小売や外食産業などの日本経済に占める比重��上昇してきたことが、非正規雇用拡大の最大の理由(p105)
・製造業で雇用が減っていくのは、けして製造業が不振だからではなく、順調に生産性が向上してきたから(p106)
・簡単に労働力が減らないのは、対人折衝の必要な接客業務の要素が濃い産業であり、宿泊・飲食、卸売・小売、医療・福祉であり、これが非正規雇用者が多い分野である(p107)
・スーパーの経営者は、店舗の大型化の副産物程度にしかみていなかった、正社員の減少とパート社員の増加が、確実に利益率向上に貢献することに気づいた(p112)
・パートで働いている人は、時給上昇を好まない人が多い(p113)
・1998年以降で年収が確実に減少したのは、50代と60代の世帯主を持つ家計であり、若い人はそれほどでもない(p116)
・各世帯の平均世帯成員数で割って、世帯成員一人当たりの年収を出してみると、年齢別の大きな格差は存在しない(p116)
・日本円では過去40年間(1968-2008)に同じ量のエネルギー消費で生み出せるものの価値は2倍になっただけだが、米ドルで生み出せるものの価値が6倍になった、これば為替が360→80円になっても日本の輸出がやられなかった理由だろう(p125)
・大事なのは、同じエネルギー消費量から、どれだけの価値を生み出せるか、その点では日本は間違いなく世界でトップ(p129)
・日本のエネルギー効率が良いのは、省エネ技術の開発をしてきたのも事実だが、通勤・通学で使える鉄道網を維持できたことも重要である(p130)
・日本は営業キロ当たりの旅客の人・キロ数が突出して高く、米ドル1ドルのGDPを生み出すのに必要な交通エネルギー消費量も抜群に少ない(p131)
・いくつかの項目の大きさにもの凄い差があるとき、それぞれの項目を独立した円で描き、その面積が大小の差を示すと言う描き方はインパクトを与えられる(p151)
・アメリカの平均寿命は、生まれ落ちた世帯の人種、民族グループ(白人、黒人の差)によって平均寿命が大幅に違っている(p157)
・アメリカはインフレが続いている中で、2007-2011の4年間で、高卒の実質賃金が11%近くも減少、日本では15年間で11%減少(日本はデフレ)と比較するとひどい状況(p165)
・高いアンテナを張り巡らせられる人は、歴史を読み解く文脈を多く持っている人、こういうデータがあったら自分の主張にもっと説得力が出るのに、と待ち構えている人でもある(p174)
・実質GDPの推移を見ると、1990年からの日本は、2007・1929年からのアメリカ、2007からのギリシアやアイルランドと比べると良いパフォーマンスであるかもしれない(p176)
・日本が円高が進んでも、安定的な数量を輸出できるのは、最終消費財という価格で変動が決まる市場から、中間財・資本財という技術優位を活かせる市場へと構造転換が進んでいるから(p185)
・アメリカ先住民の土地は1784年の独立直後から、1860年には半分程度、1895年には20-30箇所のやせ地に封じられてしまった(p196)
・日本では15年以上もデフレが続いているが、経済の規模が��縮したとか主要産業が消えてなくなったことはない、7割とかの圧倒的なシェアを持つガリバー企業がいるような産業構造ではないので、アメリカはそのような企業があるので、不況期に利益を守るために生産規模を縮小することが可能(p213)
2012年12月29日作成
投稿元:
レビューを見る
新聞の半分以上は無視する。
「地球は本当に温暖化しているのか?」「それが悪いことなのか?」
「CO2が原因なのか?」
→基本的な情報を出すメディアは少ない。
IPCC
BRICs総崩れ
日本の個人世帯の保守的な金融資産運営→合理的な選択
アメリカの一流大学→大富豪のみ卒業可。学費ローンで中退する人多。
アメリカ 学歴格差,人種間格差
日本の製造業→生産性の向上→少ない人数で製造可能。雇用を守ることでは評価できる。
スーパーの大型化(2000年)→正社員の減少,パートの増加→利益率向上
コンビニではすでにパートの多様→高収益
日本エネルギー効率化→資源も持っていなくても不利とは言えない。
利用密度の高い鉄道のおかげ
生活保護世帯数の増加→保護率は減少(世帯数が増えているから)→世帯数の増加のみ強調。
スウェーデン(犯罪率の増加。銃器使用率の高さ)
アメリカ政府支出 社会保障関係の多さ
失われた20年→ピークのGDPからも堅実に増加。失業率も低かった。
北米→先住民追い落とし農業→大規模化
TPP→大規模化は無意味→園芸的,工芸品化
デフレ アメリカ(ガリバー企業の生産調整) 日本(穏やかなデフレ)
投稿元:
レビューを見る
情報リテラシーを磨くための本です。確実なソースを基に、いかに経済を読み解くか。新聞のニュースがいかに歪んでいるか。主に日米間で言われている間違った知識に対して、反証しながら、その手法を解説しています。巻末にソースとして活用できるサイトも付いており、なかなか使えそうな本です。