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蓼喰う虫 改版(新潮文庫)

蓼喰う虫 改版 みんなのレビュー

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みんなのレビュー46件

みんなの評価3.6

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紙の本

多彩な刺激をもった小説

2011/02/27 23:49

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 妻は夫が公認した愛人をもち、夫は売春宿に通う―そんな冷え切った関係でありながら、あえて離婚にふみきることもできず、だらだらと同居を続ける要と美佐子というセックスレス・カップルが主人公の物語。
 だが彼らは、必ずしも愛のない絶望的な夫婦ではなく、むしろ何気ない二人の会話や行動からは、たがいに対するいたわりや、思いやりも垣間見えている。たとえば、時計でも財布でも「あれ」というだけで直ぐ一揃えを用意してくれる美佐子に、要は彼女こそが自分のことを最もよく理解している人間であると実感する。
 思うに、このように静かな信頼を寄せ合う夫婦のありようを描くことこそが作者の意図ではないか?「蓼食う虫も好きずき」ということわざから採った題名も、世間が何と言おうが、彼ら自身がそのような夫婦関係を好きで続けているという主張を端的に表しているといえよう。物語中、親類の高夏は、子どもにまでつらい思いをさせて、いつまでも離婚を決めずにいる優柔不断な要と美佐子を二人ともずるいと断罪するが、実際そのような批判こそ余計なおせっかいというべきで、この夫婦はこの状態こそが幸せなのだろう。そして、物語はこの結婚生活の末路について明確な結末を示さず終わるが、結局彼らはこのまま別れることなく一生をすごすのだろう。
 彼らとは対照的なカップルとして描かれているのが、美佐子の父と年若いその愛妾のお久である。実際、女を描く天才、谷崎によって描かれたお久には、『刺青』『痴人の愛』など初期作品における肉感的な女性美も、後年の『細雪』における上方の上品な色香もともに感じられ、実になまめかしい。
 お久が道楽好きの老人に囲われているという設定も彼女の妖艶さを一層引き立てる。それを囲っているのも、ただの好色な老人ではなく、日本の古典芸能の非常な愛好者で、お久にも三味線や踊りなど一通りの芸事を学ばせているところが何とも心憎い。そして、花嫁修業のようにそれらを習わせ、しかるべき時期に(じいさんが死んだ後にでも?)いいところに嫁がせるつもりだなどという言葉は、平成に生きるわれわれには到底理解しがたい。
 囲いは『痴人の愛』にも描かれている世界であるが、思うに、当時は若い女に対するこの種の教育はごく普通のことだったのだろう。そして、これによって女としての経歴に傷がつくどころか、むしろ洗練された女として箔がついたのではないか。時に老人を子どものように扱うお久の姿には、男の性の奴隷になっているというような屈辱などはまったくなく、ただ尊敬し愛する男から愛される幸せがあるばかりである。女性の人格や尊厳などというやかましいことの言われていない時代をうらやましく感じた。
 また後半では、要が義父とお久と三人で淡路島の人形浄瑠璃を観に行く場面があるが、そこでおもに老人の薀蓄として語られている浄瑠璃論はなかなかおもしろく、この方面には無知な私も、いちどこの伝統芸能の舞台を観たいと思った。というわけで、短いながらも、多彩な刺激をもった小説であった。

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