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2007年7月に刊行の 『従軍慰安婦問題』 の改訂版。親本を読んでいないので、どこが改訂になったのかは分からない。出版元ワックは、本書と同様の100問100答形式の書籍を他にも出しているが、重要な論点をつかみづらくしている上に、十分な解説が求められる質問も1ページで回答する必要があるため、不完全燃焼に終わっている。この形式は歴史問題を扱うのには適していないと思う。著者は歴史家なので、回答も歴史的事実に沿った内容になっていて、東亜の文化的背景についての勉強にはなる。
問いは韓国人や左翼が言いそうなイチャモンめいたものが結構あり、全体的に慰安婦問題に関する精緻な知識を得られる内容になっていない。よって、ある程度の基礎知識のある人には物足りないし、初心者には何が焦点なのか分かりづらい。「日本で仕事をしたい中国人、韓国人なんていない。日本で働くわけがない」「日本から受けた傷を考えると反日になるのは当然だ」といった慰安婦と直接関係なく、質問にもなっていないものもあって、読者でもツッコミ可能である。最後に補章として「中国人と韓国人の良心を問う」と題して、中韓の売春文化の歴史について書いている。この問題の根底には、慰安婦問題を歴史カードと利用して恥じない態度、つまり自らの不品行を棚に上げて他者を糾弾するという、儒教国家特有の良心の欠如があると述べている。