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七十二候に沿って仕事をしている関係で、そこそこ日本の暦については詳しいつもりでいた。
ところが本書にあたってみると、まだまだ知らないことがある。
「旧暦」には、国立天文台など国家機関は一切関係していないのだそうだ。旧暦の何日、なんていうアレは、暦の研究家が計算したものなんだって。
旧暦・明治初頭まで使われていた太陰太陽暦は、太陽暦の1年には日数が足りない。だから日付がずれていく。大きくずれたら閏月を投入して補正する。月給で給料を貰う場合は閏月が嬉しい(だから、閏月が来る前に明治政府が急いで太陽暦を導入した、なんて話もある)。
さて、そんな感じでアバウトな旧暦なので、農作業などは二十四節気・七十二候を目安とすることになった、と。このところ、はんなり系の本で随分二十四節気ネタが増えたなあ、と思う。けれど暦のことについてきっちり説明しているものは、意外と少ない。どちらかというと、古き良き日本万歳、日本はすごい系で食傷である。
本書にも、旧暦と日本のしきたり、という章があるし、旧暦の楽しみ方、として現代生活への行事も紹介しているが、どうしても歴史研究的視点がぬぐいきれていない。これは悪口ではなく褒め言葉である。何しろ「歴史読本」編集部による本だ。暦のことを知りたい、という場合は、ひとまずこの本が決定的、でいいかなあ、と思う。