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研究者の末席を汚しているわけだが、「仕事の意味を咀嚼し、内部に取り込み、立体的に組み立てようとするも、心臓たる動力部分が分からない、だから徹底的に調べる!」ということができているかどうか・・・。「調べる」ということは万事に通じる技術であることは疑いない。おそらく「図形的直観」は天性だが、「嗅覚」や「見立て」というのは後天的な技能で、著者が言う「やり直しの繰り返し」に真剣に取り組まないと獲得されないと思う。しかも、「お気に入り」の分野じゃなく、あくまで「仕事」だがらやるという意志を奮い立たせられるのがプロフェッショナル。俺、全然、できてないすッ!
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この人は、インタビュアーだなぁ。
阿川さんが対談の名手ならこの人はインタビュアー。相手から引き出す。引き出したもの(もちろん木村氏を通している訳ですが)が著作。本当にその場で本人の話を聞いたかのような気持ちになる。
この本の最後の方にインタビューについての著者の記述があり、著者のインタビュアーとしての姿勢みたいなのが分かる。
別に本は主張をガンガン入れて書くものが本ではないし、こういった形態が著者の本領を発揮しているカタチなんだと思う。
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「調べる」をキーワードにした、さまざまな世界で活躍する20人のインタビュー集。
それぞれの「調べる」を感じることができる1冊。
貧困問題の研究者、ヒューマンエラーの研究者、悲嘆ケアワーカー…なんて職業があることをここで初めて知った。
インタビューひとつひとつは、最初から最後まで、インタビューされた方の言葉で語られて、著者であるインタビュアーの木村俊介さんが出てくることはなく、インタビューされた方の「調べる」の世界にどんどんひきこまれていった。
だが、
悲嘆ケアワーカー 髙木慶子さんの言葉
「私はこうしてシスターの格好をして話しやすいからかもしれませんが、(中略)」
この1行で、
「そっか、格好は読んでいる我々にはわからないんだ」と。
木村さんを徹底的に透明化したフィルターを通したインタビューであることを実感する。
その木村さんご本人の「調べる」ことが最終章に登場する。木村さん自身の「調べる」ことを通して、インタビュー、インタビュアーについての思いを語っている。自らを徹底的に透明化したフィルターはここでも健在で、木村さんご本人の「調べる」世界を感じた。
1冊を通して、とにかく「調べる」を堪能することができた。
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読了:2012/11/1
読めば読むほど頭の中に???が点灯しまくり。
20のインタビューの寄せ集めなので自分の興味を持てそうな第四章から読み始めたが、国産飛行機とかグリーフケアとか、「これのどこが「調べる」論?」という話がえんえんと続く。
章タイトルが「新しいサービスや市場を開拓する」だけど、グリーフケアは別に新しくもないし…。
著者本人の書いた「調べる」論である終章も、引用ばっかで、著者本人が何を言いたいのかよく分からなかった…。
この本のテーマは何なんだろう(タイトルの「調べる」論でないことだけは確か)。何が言いたかったんだろう。何がしたかったんだろう。読み違えてるんかなぁ。
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野村萬斎さんが唯一お顔のわかる人物だった。他のメディアでの挑戦は、狂言を活かすため。とな。萬斎さんを含め intervieweeの方々は、皆さん素敵。素敵なお話を引き出せる著者もステキってことになるのだろう。でも、少し分かりにくい言い回しな感じがする。こんどの金曜日、NEWS WEB24観てみよう。(テレビでTwitter流す番組きらいだけど…)
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インタビュー集として面白かった。いろいろな現場にある、心意気とか思いが、興味深い。
ただ、「調べる」という言葉が広義なもの(答えの出にくい世界で答えを探る悪戦苦闘を「調べる」と捉えている)だったので、狭義な、直接的な「調べる」を知りたいという気持ちで読み始めてしまったため、読み始めは肩すかしを喰わされたような。
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「調べる」をキーワードに記者や研究者、ある特定のプロフェッショナルなどにインタビューした、インタビュー集。
「調べる」具体的な方法論を示した本ではなくて、各分野で著名な方の研究や仕事内容のエッセンスを集めた本となっている。
一般向けにベストセラーとなっている新書などを出版されている方も多く収録されているので、詳しい内容はやはりご本人が書かれた本を一冊一冊読んだ方がより面白いのではないかなあ、と思ってしまった。ただ、こんな人がいるんだ、という入口になる本ではある。
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とにかくしつこくデータをとり続けるうちに、いつの間にか意味がわかってくる。
意味がわかるようになると発見する。
哲学はジャンルを問わない学問、
人間の知性や生き方の問題。哲学が物事を考える道具。言葉を使ってとことん考えるのが哲学。
知性の本質は言葉をアウトプットすることにある。知性のアウトプット能力。
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大学時代の友達を介して出会った、広告会社勤務の彼女(三十)には、まだ何十年と人生がありますからね。介護が必要で、治療中にたぶん子供を作れない体になった僕にとって、結婚は現実的でなく、彼女には一緒にいられることの感謝を伝えることしかできません。もう恋人というよりは、最も大切な家族なんですよ。
交際初期は僕も彼女も多忙で、そんなに仲睦まじくもなかったんですよ。でも二年前に治療が始まり、再発後は治療の副作用で毎日吐き、便を垂れ流し、愚痴だらけだった僕を彼女は受け入れ、看護までしてくれた。
徹夜するほど激務の時でさえ、十五分でも毎日病室に来てくれたんです。具合が悪くて話もできず、彼女の料理をもぐもぐ食べるだけの時間が続いたけど、その時間に愛情も信頼関係も深まって。互いに要介護になってから、急に仲良くなった僕の祖父母のようで。本来何十年も連れ合った後みたいな関係が先に来て、申し訳ないのですけどね。
僕は未来社会で人と人の関係がどう変わるか考えるのが好きで、事業を始めた側面があります。彼女もそんな僕のアイディアごと好きになってくれた。ただ病気になってよく分かったのは、社会って起業したときのイメージよりもずっと直接的なつながりでできていることです。
直につながった人のためにできることこそが、社会に還元できることで、僕の場合、彼女や肉親や友達に、どれだけ誠実に対応できるかなんだと考えるようになりました。毎朝、友達からもらった手紙や二年前から記しているノートを読み直しながら、周囲との関係に思いをはせているのですが、すると不思議に、いま幸せなんですよ。
トルストイは『アンナ・カレーニナ』の冒頭で「幸福な家庭すべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸の趣が異なっているものである」と書きましたが、僕は必ずしもそう考えないですね。
病院のがん入院患者も、みなさん事情があります。絵に描いたような希望なんてない中でも、それぞれ周囲との関係から幸せへの道はまだつながっているようで。僕も結婚はしていないし体はきついけど、彼女が病室に来てくれるだけでも幸福で、それでいいと思っているんです。
(「朝日新聞」二〇一二年一月七日「be」土曜版の「結婚未満」より引用。漢字、数字での表記の方法は本書に合うように改めておいた)
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調べる能力はどんな仕事にも通じる普遍的な能力であることを感じました。阿部彩さんの話が特に印象的です。
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阿部彩さん、中田亨さん、佐藤克文さんの話が特に興味深かった。
著者の引き出す能力はすごいと思う。
子どもたち向けに、13歳のハローワークというものがあるけれど、木村さんにも別の角度からあらゆる職種の方の話を引き出して本にまとめてほしい。
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調べるには、二つの方法がある。人に聞くのと本で読むかだ。この本は、その内の一つ、人に聞く方法「インタビュー」について書かれている。そして、その方法を「本で読む」ことにより得ている。
筆者は、インタビューを「質問と回答の繰り返しの中から、過去の解釈をやり直すための触媒」だと考えている。
ほとんど、評価が定まった過去の事実も、無数の過去の記録が集まって作られた過去の記録にすぎない。
調べることにより、それらの記録の解釈が変化されるかも知れない。
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様々な職種、学者、医者、狂言師、漫画家、雑誌編集者など20人の方を著者がインタービューしたものをまとめたもの。取材者の言葉は消してあり、一人一人の思いが伝わりやすいように構成されていて読みやすい。
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◆研究者や漫画家、弁護士やジャーナリスト、「正解のない現実と向き合う」さまざまな人たちは、どのようにして現実と向き合うことになったのか。そしてそこからなにを得たのか。刺激に満ちたインタビュー集です。
◆全体的に、一次情報にあたる大切さが強調されていました。ただそれだけでは当たり前のことなのですが、この本では、彼らが一次情報から引き出したもの、あるいは引き出した方法といった、過程のドラマに焦点が当てられています。足で調べまわることもあれば、じっとデータを見ていて、なにかの拍子にそのデータが意味するものがみえてくることもあるようです。そしてそうした発見によって、関係の無いように見えることが思わぬところで関連していることが分かったりして、通説と異なる現実の姿がみえてくるのですね。
◆この本は、さまざまな分野での調査の方法を説明するような本ではありません。むしろ調べる(答えのない問いを立て、答えを探す)人たちの人間的なドラマに関心がある方が楽しめる本だと思います。
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なんだか本全体的に、読んだことがある雰囲気だな〜と思ったら、糸井事務所から独立した方の本でした。
人との対談がなんとなくほぼ日に似ているのだと思う。
それはさておき、全体としては、調べる論というよりは、
職業論のような内容(ほぼ日のはたらきたいを思い出した)
それもまた面白かった。