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アフリカで携帯が普及した一番の要因はエアタイムシェアサービス。
プリペイド形式の携帯を利用する際に友人や家族と料金をシェアできること。
ワンギリで電話をかけてもらうこともアフリカでは多い。
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[読んだ理由]==================
下記サイトをたまたま読んでとても面白かったのだけど、そこで参考文献として本書が挙げられていたので。
携帯電話を手にしたアフリカ牧畜民、その光と影 | SYNODOS -シノドス-
http://synodos.jp/international/4885
[読んだ後の感想]==============
アフリカ社会でのケータイの使われ方や存在意義について、いろいろな人が現地でのフィールドワークを行った結果をまとめた体裁。10本の記事があって、それぞれ対象となる国や視点が違う感じ。本全体としての纏めはあんまりないので、そこは自分で作る(?)必要がある。
・固定電話の普及を経由した先進国と違い、いきなり携帯が普及したアフリカでは、そのインパクトは先進国とは違う
・プリペイド形式やコール・ミーリクエストなど、低所得者でも使える仕組みが色いろある
・距離の制約がなくなることが、現地のビジネスや文化に多少なりの影響を与えている。が、それは必ずしも決定的なものではない
・携帯は先進国では個人化の最たるものとして挙げられているが、アフリカでは必ずしも個人化の象徴ではない
[備忘録]======================
■Introduction:アフリカのケータイをフィールド・ワークする
グローバリゼーションが進む現代においては、アフリカと日本も決して無縁ではない。私達と、紛争を生きている人々は、例えばケータイの部品を通じてつながっているのである。例えばコンゴでは、反政府勢力が先進国におけるケータイの材料ともなるレアメタルの販売を資金源として勢力を維持し、内戦を継続している。そのレアメタルはグローバルに流通し、私達のケータイの部品に使われているかもしれない。
BOPビジネス:最新の技術を活用し、対象地域のニーズや環境に合わせた新たな商品を低コストで販売すること。携帯電話産業の場合、先進国のポストペイド方式から、途上国や新興国ではプリペイド方式へ。エアタイムをユーザー間で融通しあうサービス(コール・ミーリクエスト)や、「電話をしてください」というメールを無料送信できるなどのサービス。
アフリカに暮らす大半の人達は、固定電話の普及という前史を一足飛びに、ケータイの普及を経験しているのである。その点で、固定電話の普及の後にケータイの普及を経験した先進国とは、ケータイの「新しさ」の意味が異なる。
読み書きができない人々も、話して聞くことはできる。このように「声の文化」の歴史を持つアフリカの人々によって、「話して聞く」コミュニケーションツールであるケータイは非常に馴染みやすいものであった。
■第一章:現代社会をケニアで考えるということ
アフリカでケータイが普及した一番の要因は、エアタイムシェアサービスだと考えている。プリペイド形式でのケータイ利用をするので、課金されている通話料金を別の利用者と授受することができる。
ケータイというメディアは、人間関係選択の増大した社会を映し出す。地縁や血縁といった共同体的な人間関係を超えて、利用者の繋がりたい相手とのコミュニケーションを可能にしてくれるからだ。そして、このメディアは明らかに選択的人間関係の構築へと方向づける特性も持っている。テレビや新聞といった古いメディア利用では個人が選択していない情報にも接することになるが、ケータイやインターネットでは自身の選択した情報、選択した相手とのコミュニケーションに完結し、他社の排除や都合の悪い情報の排除が可能である。
■第二章:道路をバイパスしていく電波
ケータイを使えば、移動している人とも通信でき、柔軟な待ち合わせを行うことができる。交通の便が悪く、移動のコストが大きい場合には、モバイル機能の価値が相対的に高まるのである。
マダガスカルでは、いや、同様の経済水準に有るいわゆる第三世界では、近いうちに、人と人とのコミュニケーションが地理的なくびきを脱する。なぜなら、普及しつつ有るケータイが、地理的な階層構造をバイパスする形で人と人とつないでいくからである。
パブリックフォン:ケーターデバイス、通話料ともにまだ効果だった時期に、政策によって貧しい人たちのためにケータイ会社に設置を義務付けたのが始まり。元々はケータイのない人のために始まったシステムだが、今ではケータイを持っている人のほうが頻繁にパブリックフォンを使っている。
■第三章:農村の若者集団とケータイ
ケータイは通信機器であるのと同時に、ラジオに変わる音楽プレーヤーになっている。CDやMDを経てMP3に至るという、私達が過去20年ほどの間に経験してきた音楽ソフトの歴史を飛び越えて、たったの二年でMP3の音源をケータイで聴くようになっていたのである。
しかし、彼らは移動中であってもイヤフォンは使わず、ケータイで音楽を鳴らしていたのである。
日本や欧米における現代のメディアの特徴の一つは、緩衝地帯となる何らかの社会集団を媒介せず、個別の身体に直結していることである。特にパーソナルmディアであるケータイは、こうしたメディア利用における個人化の徹底されたものとして位置づけられている。
交渉が対面的な状況から通話という非対面的な状況に変わったことで、実際に大人を目の前にするよりも、反対する意見をいい、主張を行うことが容易になったのではないか。
■第四章:ザンビア農村における女性の暮らしとケータイ
■第五章:ナミビア農村部におけるケータイの普及と経済活動の空間的拡大
■第六章:森に入ったケータイ
■第七章:呪術化するケータイ
一般の人にとってケータイは、社会的な影響云々とは別に、便利で興味をひくものとして日常的に利用されるようになっているが、そのテクノロジーについては実際のところ殆ど知らない。日常的なものとなったケータイというテクノロジーが、実は「よくわからないもの」そのものなのだ。
義理アマの若者は、英語を中心にメッセージを作成することで、英語とケータイが象徴するグローバルで近代的な世界とのつながりを示し、西洋の若者の表記法を用いることで、彼らが体現する自由さや陽気さ、軽快さを特徴とするポスト近代的なアイデンティティを演じている。
社会的な変化に伴う年齢階層制の解体に寄って弱まってきた年配者の権威が、ケータイの普及に寄って更に弱められるというのである。
■第八章:紛争と平和をもたらすケータイ
ケータイは、戦闘員の動員と戦闘員間の連絡という2つの用途で利用されている。
平和維持に関して当該国の政府他十分な取り組みを行わない場合、「下からの平和構築」の重要性がしばしば指摘される。ケータイによる民族間連絡網は、まさに下からの平和構築の好例といってよい。
熱いメディア:ラジオのように情報量の多い「高精細度」のメディア
冷たいメディア:電話のように情報量が少ない「低精細度」のメディア
熱いメディアは情報の発信側が受け手に対して一方的に情報を詳しく伝えて人々を熱狂的な行動に駆り立てるのに適しているが、冷たいメディアは、情報の受け手側の参与性を特徴としており、受け手が冷静に情報を検討したり批判したりするのに適している。
■第九章:金とケータイが結ぶつながり
ケータイと花柄という最新と最古のメディアには共通点が有る。それは、多くの人々との社会関係を創りだすと同時に、それに基づく社会関係や生活空間、そして何よりそうしたものから鳴るほかならぬ「私」の「かけがえのなさ」の希薄化をもたらす可能性がある点である。
M-PESA:MはMobile、Pesaはスワヒリ語でお金を意味する。すなわちケータイを介した電子マネーによる送信サービスシステムである。
ケニアの人口は約3800万人であるが、銀行口座数は200万に満たない。すあわち銀行サービスにアクセスできるのは人口の一割程度ということになる。このように銀行口座を持てない人が多いアジア・アフリカの途上国では、ケータイを介した送金サービスは、都市のデカ積車から田舎の親族への送金手段として注目されるなど、大きな反響を呼び、多数の利用者を獲得した。ケニアにおける2011年の利用者数は、約1200万人に達している。
ケニアの難民の商人たちは、ケータイを活用した商品の委託販売システムを創出することで、難民キャンプの見えない柵の向こうから商品を入手していた。
■第十章:ケータイが切り開く狩猟採集社会の新たな展開
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アフリカのいくつかの国で特に農村部を中心にして、ケータイがどのように導入されて使われているかについて調べたものである。バッテリーの充電が自宅でできないので都市部で充電するということと、プリペイドのSIMでの利用、ということが爆発的なケータイのりようにつながっていることが明らかになった。
情報教育支援フィールドワークの研究につながることができるのかもしれない。