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「音楽」を題材にしたおはなしがスキです。ある四重奏楽団の解散間近から、最終公演までのおはなし。その楽団の人たちや、楽団を取り囲むまわりの人たちのおはなしだったから、音楽描写は本当に少ないのだけれど、もう少し音楽描写を読みたかったのがホンネ。
作者が文中に顔を出すような文章があまり好きではないので、☆4でも良いところだったのですが、3つにしました。
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ある弦楽四重奏団のラストコンサートを、家族、メンバー、スタッフ、記者、客の視点から描いた作品。
たまに主述が不明になる所があったり、人称が転々とするのでわかりにくい所はあるが、ギョーカイということで、興味深い作品になっている。
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本屋に並んでいたのを、いわゆるジャケ買いした。
とりあえず、最後まで読んだけど、僕には合わなかった。
登場人物に共感できなくて、単に、早く終われという感じで読んだだけだった。
残念。
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《本文より》
どうしても、それでなければならない、代わりのきかないものって、この世に本当に存在するのだろうか。
それがなければ何かほかのもので、その人でなくとも誰か他人の人で、たいていは間に合うものではないか。
そしてもし、代わりがないと思えるほどに長い年月、一つの物や人とつきあったとしても、ほんとうにそうであるかどうかが判断できるのは、それを失ったときである。
寂しいなんて思ったことはない。
ところがあの人が、茶色に光ったチェロケースを抱え、ひさしぶりに、玄関に現れると、そのときになって自分がなにを失っていたたかを、わたしははっきり認識することになった。
伊井山の妻は、ふと、天井を見上げた。
彼らの音楽を天へ巻き上げていく、天使がいるようなきがしたからだ。
天使は何人もいた。そう思うと翼の音が音楽に混ざってざわざわと聞こえてくるようだった。
ホールのあちこちを見渡した。
空間が息をしていた。空間が、音楽を食べて呼吸していた!
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平明ながら、場面が良く見える言葉の流れが印象的。作者は詩人としてのイメージが強く、その先入観があったかもしれない。
あるカルテットのラストコンサートの一日を描いている。朝、引退するチェリストの妻の独白に始まり、コンサートホールのスタッフや、バイオリニスト、ビオリストらメンバーやその周囲の人間がひとりずつ交代でカルテットの歴史を回想し、「最後の一日」を描き出してゆく。
大雪という天候を背景に、ラストという哀切を端々に織り込みながら、粛々と時間は進む。
音の華やかさと雪の静けさを抱えた物語。
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こんど解散しラストコンサートを開こうとするカルテットを、構成メンバー、その家族、スタッフなどそれぞれ視点を変えた短編で物語っていくという構成の作品。いろんな人生があるんだなあというところだが、大きなエピソードというわけでもなく、しっとりした語り口がよかったかな。