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「「いじめをなくすべきだ。いじめなどあってはならない」と考えることには無理があります。このような考え方自体が間違っているかどうかはともかく、このように考えてしまうと、なくならないいじめに諦めを覚えたり、自分たちの学校にはいじめはないと根拠なく信じたくなったりするかもしれません。」(8)
「究極の目標は、いじめを撲滅することのように思えるかもしれません。しかし、「いじめの撲滅」が本当に目指されるべきだと言えるでしょうか……(中略)子どもを壊してしまうような深刻ないじめ被害を激減さえ、ゼロに近づけることが、私たちが目指すべき目標と言えるでしょう」(138-9)
授業の方法を研究してきた著者が、「授業のあり方がいじめを助長する一端になっているのでは」という問題意識を端緒として組み立てた本著は、いじめを題材にした本の中でも非常に良識的でバランスの取れた、現実の対策に活かしやすい一作だと思う。
良識的ということはすなわち現状に照らして穏当な提示ということで、胸のすくような視点の転換や解決策を求めている人にとっては、それほど魅力は感じられないかもしれない。
だが、いじめが子ども社会(学校)においてある程度通事的に起こってきた現象である以上、それが地道な解決策を一つ一つ打っていくことでしか解きほぐしていけないものであることもまた事実である。
子どもの健康状態への配慮、危機管理意識の醸成、広報機能の強化、異質原理をベースにした空間づくりのための教師自身と保護者のディベート能力の養成…短期から長期まで、少しずつの変化を積み上げていくことだけが、いじめが「惨状」に至ることを防いでいくことを可能にするのだろう。
(補足すると、これまでのいじめ研究の中での著者の立ち位置としては、いじめに一定の機能を認め、その撲滅ではなく病理化進行を防ぐことこそ肝要だと考える、加野芳正先生のそれに近い印象を受けた)
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新書らしい新書、という印象を受けました。
薄すぎることもないが、でも厚いわけでは決してない。
これまでに起きた有名ないじめ事件の事例をいくつか挙げていたところが読んでよかったけど、ほかはどうだろう。
著者が持っている意見に共感できない部分ももちろんあるし、それをしてどうなるの?みたいな部分もあったので、あまり頭に残らなかったです。
まあいじめをなくしていくために、確かに現実的な、地道な一歩なのかもしれへんけど。
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いじめがどのように起こるか、その仕組みと対処法について非常に分かりやすく簡潔に解説。いじめでだけではなく不登校など学校現場をめぐる他の問題にも応用できそう。
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いじめについて知ることのできる一冊。
どうしていじめは起きるのか、
いじめの背景にあるものは何か、
どんなことがいじめを助長してしまうのか、
いじめへの対応はどうしたらいいのか、
いじめを予防するにはどんな取り組みが有効と考えられているのか、
等々
データや事例をもとに紹介されていて、とても参考になりました。
リスクマネジメントの意味も込めて、学校と関わりをもつ方々に、おすすめしたい一冊です。
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和歌山の事例でいじめに真剣に向き合おうとしない学校や校長を、父親がインターネットを使って事件を公にすることで、学校が対応せざるをえない状況にしたというのは興味深かった。これは最終手段だと思うが、親が手を尽くしても、何も対応してくれない場合に限り、許される手段なのだろう。