投稿元:
レビューを見る
■社会的、政治的、経済的に、あらゆる条件が自由であれば、一夫一婦制は成立する
■昔は恋愛と結婚は別。一緒に暮らすのに、相手を好きかどうかは重要視されず、恋愛は周囲に認められない男女の出来事
■明治時代の北村透谷、国木田独歩が恋愛から始まる家庭を作ろうと考えた日本で最初の人。近代的な自立した男女の恋愛を実践しようとし挫折した。
■理想の結婚生活、つまり自由な意思で選び合った男女がともに自己実現をあきらめずに愛情をもって添い遂げること。それの実現が難しい背後には、社会の後進性の名残があるため。
■日本においては「飯の支度をどちらがするか」というような問題を抜きにしては恋愛は語れない
■先進国の人間の問題は無自覚、無神経で構わず、それで生きていける点
■おしゃべりしている男女が立っている地面の下には、因習とか伝統とか家族制度とかいう泥沼、男女が個人と個人でいられない泥沼がある
■子育てと家庭内暴力には無視できない関係がある。子育ては大なり小なりマイナスな面があり、それが負い目になってる親は子供に攻められたときに退いてしまう。本当はちゃんとお前を育てたと言って欲しい。
■一人で過ごす時間が本質的な魂をはぐくみ、その人の人生の価値を生む
■男も女も、伝統、文化、歴史いったものを互いに背負っていることに対して、相当自覚的にならないと恋愛を日々の生活の上に着地させるのは難しい。社会に規定されている個人の感覚を少しずつ修正していく
■三角関係は、日本の社会が後進性を残したままで先進国を目指して発展していくときに必然的にあらわれてくる形態の一つ。女性が二人の同質な条件をもった男性から求愛されたとき選ぶことが難しい「性」の質をもっているため
■漱石の三角関係関係小説にひそんでいる日本ならではの同性愛的要素
■家族や、男同士のつながりから抜け出せず成熟した一個の人間として異性を愛せない
■法律は意外な重さで個人にのしかかってくる。法律は、宗教の枝葉の部分を除きとって、もっとも固いものが法律となった。
■国家が法律を作ったのではなく、まず宗教があってそれが法律になり、そのあとに国家(近代国家)になった
■家族の中における子供の地位な高くなればなるほど虐待は逆に増加する
■徳川末期までは女性が優位な時代。歌を読む→恋歌のやりとりができる→通う→バレる→親承認
■文学とは、人間とは何なのか、つぎの謎を造っていって、また新しい謎を創りだす。
■事実を覆っている膜の最後の一枚まで取っ払うことそれが文学そのものの難所である
投稿元:
レビューを見る
単純に、恋愛の話もしているが、あとの方にいくにつれて文学と絡めても書いてある。
結論、吉本隆明を読むにはまだまだ遠すぎる。日本を、歴史や文学から見るほどの知識がない。
その中で自分でもわかる話として、恋愛は、遺伝子同士が惹かれ合うこと、という主張には吉本さん特有の大きさを感じました。
追いつきたいなあ。でも吉本隆明さんや勢古浩爾さんには、まだまだ程遠い。
投稿元:
レビューを見る
完全に読書の秋である。薄くて一気に読めるのがいい。
なかなか色々参考になる。
誰かが宗教と政治の繋がりに興味を持っていると言っていた気がするが、結婚制度について書かれている、宗教→法律→近代国家みたいな流れは、そんな気がすると思わされた。
投稿元:
レビューを見る
吉本隆明、読んだことないと思って読んでみた、恋愛論。めずらしい。内容は、夏目漱石や芥川龍之介の文学に含まれる日本社会の特殊性、後進性の話が中心かな。ネタとしては面白い。それにしても、吉本隆明って、東工大出身だったんだ。知らなかった。
投稿元:
レビューを見る
細胞と細胞が呼び合うような、遺伝子と遺伝子が似ているような、そんな感覚だけを頼りにして結ばれ合うのが恋愛である。
恋情とはなにか。結婚とはなにか。
などなど、書かれた本。
らしい、まだ読みはじめ。
投稿元:
レビューを見る
悩める子羊wなので、購入><
三角関係とかの変化球や、文学とからめるぐらいまではありがちだけど、
法律や宗教にまで発展させて論を広げるって、
知識や考えが広いし、深いなぁ。
著者の他の作品も読んでみたけど、
こうした自分なりの思考を深めてる人って、
人間の厚みきっとすごくあるよな~
ちょいと恋愛に...って自分みたいな人はもちろん、
哲学とか、そうした思想などに興味がある人にもお勧め!
投稿元:
レビューを見る
漱石先生の作品が書かれている、ということで知人から借りた本。
漱石先生の作品と、明治という時代の男女の恋愛がどのような特殊性をもっていたか、の批評(とまでいかないけれども)は合点のいく内容であった。特に、漱石作品のなかで“三角関係”の恋愛模様が多いこと、その根底にあるものは、明治時代において西欧を目指しながらも西欧のような男女関係にはなれなかった当時の人間関係。つまり、「言えない」ことが男女の三角関係を更に複雑化させ、もうどうにもならないところまで追いつめられ三すくみの状況にまで陥ってしまう(その結果として、漱石の代表的作品『こころ』では、2人も自殺をしてしまう)。
また漱石作品の同性同士の関係性、お互いの気持ちのあり方が非常に強く、親密であることも漱石の資質抜きにしても、当時の社会性を表しているとの言説も共感する。
一部共感出来ない部分もあったが、漱石先生の作品をその時代背景と照らし合わせ洞察していることは興味深い。
投稿元:
レビューを見る
恋愛の本質や理想の結婚生活とその背後にある日本の社会的な特質について書かれている。また、文学が恋愛をどう書いているかについても考察しており、その最期に筆者は「いちばん重たい経験は簡単には書けない」としている。恋愛の形態は変わっても恋愛感情の核の部分はいつの時代でも変わらず、私たちが実際に経験する恋愛は、人生においても特別に重みのあるものなのだろうと思った。
投稿元:
レビューを見る
惹かれ合うという感覚は、どこか懐かしい。
これはしっくりするし、すとんと納得する。
女性はどうしても、時間を細切れにされ
男性の都合のよいように、雑用をこなしてしまう。
それを厭わずにやってしまうところも、女の性。
一生平行線だろうけれど、交わり、慈しみ合う
接点を一生かけて求めるのが、結婚だろうか。
洋の東西を問わず、今も昔も
大して変わらないんだなぁ、と
絶望しながらも、諦めも感じる一冊。
戦前生まれの吉本隆明は、やはり進歩的でした。
投稿元:
レビューを見る
後半はもはや文学論。
著者の世代においては先進的な考えだったのだと思う。今の自分からすると、あまり目新しい感覚はない。
投稿元:
レビューを見る
「この文章は2004年に書かれました」とドヤ顔でアピールされてもなあ、、って部分があった。吉本さんは、事実を淡々と書いているつもりなんだろうけれど、女性が読むには、辛い内容だった。確かに男女は違うのだろうけど、あんまりにも、諦め過ぎていて、辛い。
事実だなあと、受け止めて読んだけど、これを当たり前にせず、古びた価値観だと言える時代になればいいな。