投稿元:
レビューを見る
いつも、優れた分析をする季刊まちづくり。
今回は、メインの特集が都市の祝祭空間。祭りと都市空間の関係を分析している。
とても、おもしろい企画なのだが、祭りは神事、呪鎮であることを意識しないで、空間論を論じることにかなり違和感がある。
高山祭りをはじめとして、かなり観光化している祭りが対象だからそれでいいのかもしれないが、祭りは神事なのであって、どういう神に対して、何を祈って、長年住民たちは、気持ちを高ぶらせてきたのかという視点がまったくないのは気になる。
また、観光化された祭りにはそういう要素は消え去っているが、祭りの空間は一種のアジールになっている。自分が育った、藤枝市の五地蔵のお祭りなどは、夜、家族と見に行って迷子になるとかえってこれないのではないかと子供心に思っていた。
そんな、日常空間とは違う、ちょっときわどい空間、雰囲気が祭りにはつきもので、それがあってはじめて、祭りの妖しい魅力がでてくる。
先日読んだ赤坂さんの本でも呪鎮のために東北の祭りが早く復興しているという記述があったが、祭りの原点を言い当てていると思う。
祭りの精神構造に踏み込まないで、外形の都市空間だけを論じる姿勢は、ちょっと違うのではないかと思う。