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紙の本
人間的な、あまりに人間的な
2014/08/05 05:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩野七生が、自ら「若書き三部作」と呼ぶ三十代前半に著した作品群の一つ『神の代理人』は、ルネサンス期に出たピオ二世、アレッサンドロ六世、ジュリオ二世そしてレオーネ十世という四人のローマ法王の物語である。
読んでみて一番に感じたのは、これらの主人公や聖職者たちのだれもが宗教とは無関係な、人間的な、それもあまりに人間的である点だ。法王という曲がりなりにも当時のキリスト世界の頂点に立ち、強い信仰心とともに高潔な人格が求められているはずの人間が、何ら宗教的、倫理的な動機ももたず、個人的欲望や政治的打算をむき出しに行動し、ときに人を貶め、殺害することも躊躇もしない様子が淡々と語られる。塩野はそれらを、宗教的腐敗とか堕落などと一蹴することなく、特殊な社会に生きる人間の失敗と成功の物語としてとらえ、いかにも人間社会の縮図らしく、これら人間くさい宗教者たちの中にも、よくできた者とそうでない者がいるととらえているが、そんなところにこそ本書の醍醐味はあると思う。
そういう意味で4人の法王中、最も魅力的なのは、アレッサンドロ六世であろう。そして、その賢明さを際立たせるかのように、対照的に描かれるのが、フィレンツェで一時神権政治を確立した修道士サヴォナローラである。信仰の自由、本来のキリスト教的清貧といった美辞麗句を並べ、民衆の熱狂的支持を得たこの男を、キリスト教会の秩序を守る立場からアレッサンドロは最終的に破門に処する。塩野は、両者の書簡のやり取り、さらには、当時の関係者の書いた日誌などを交えながら、サヴォナローラの偽善性に対して、法王の責任ある態度を描き出す。そこで描かれる法王は、つねに冷静で、かつ他宗派、他宗教に対して寛容なる人である。
その一方で、ピオ10世、ジュリオ2世については、彼らの宗教的不寛容がかえって、カトリック教会やイタリアを混乱に招いたことなども見事に描かれている。ルターが非難をし、後に宗教改革をおこすきっかけとなるレオーレ十世についても、一般的な世界史的知識に反して、寛容で陽気なイタリア人として描かれている。その反対にルターは石頭で陰鬱なドイツ人としていささか滑稽に描かれているのも、おもしろい。このように本書は、これまで偏見をもってとらえていたカトリック教会の法王たちについて、思わず目からうろこの経験を味わえる一冊である。
紙の本
ローマ法王列伝
2017/06/03 19:06
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投稿者:サラーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩野七生さんらしくローマ法王様だろうと人間味溢れ、魅力的に書いた作品。その中の一つアレッサンドロ6世は秘書の記録を辿る形で従来の好色法王というレッテルを外し、法王にするには勿体無いほどの類い稀な政治センスを持ったダンディとして描かれ、とても面白い。
紙の本
神の代理人でもやはり一人の人間
2015/08/29 23:07
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投稿者:きらきら - この投稿者のレビュー一覧を見る
信者の人には失礼な表現かもしれないが、この本に登場する歴代のローマ法王は人間臭くて面白い。
まるで自分もその時代に生きているかのように感じられる程、微に入り細にわたるために現実性に富んだその描写は、
塩野七生の歴史小説の共通点であり、もっともなる魅力だと思う。
この人の本を読むと、登場人物が本当にそのように考え、行動したような錯覚に陥ってしまう。
断っておくが、著者が作品制作にあたり準備した莫大な量の資料は信憑性が高く、信頼に値する。
この本では、4人の「神の代理人」ローマ法王のそれぞれの「法王」人生が語られるが、
どの法王も人間としての個人の性格を有し、個人の感情を持ち、それに基づいて行動している。
法王をここまで身近に感じさせる塩野七生の筆力は常人の域を超えている。
電子書籍
初期の作品
2022/01/02 11:59
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大歴史小説家」との確固たる地位を確保した塩野七生の初期の作品である。この作家のキリスト教への見方はこの段階から変わっていないのだな と認識を新たにした。ルネサンス期のイタリア人の自由さ奔放さを感じた。特に終章はこの作家にしては軽妙な口調で特に面白い。
紙の本
ローマ法王
2019/11/29 20:26
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピオ二世、アレッサンドロ六世、ジュリオ二世、レオーネ十世の四人のローマ法王。キリスト教とはいったい何なのか?
紙の本
神の代理人
2017/09/02 11:33
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投稿者:英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い世代の著者の力作である。しかしながらその内容は知的な法王を取り囲む
人々を描き出してその実像に迫っているのは圧巻である。偽善者と戦う姿は
何時においても共感を生むストーリーかもと思ってしまいます。
紙の本
まぎわらしい書名
2023/03/25 07:04
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の親本が出た時にはホーホフートの戯曲の邦訳は出ていて、ドイツ語が出来る竹下節子の「ローマ法王」の最初の版では原題を直訳した「助祭」ではなく「神の代理人」という邦題をつけられて、それで通っているからまぎわらしい。それも他の宗教の教祖や頂点にいる人とかカルヴァンを揶揄したとかではなく、ルネサンス期の教皇の列伝とカトリックに帰依したユダヤ人を見捨てた「ピウス12世」エウジェーニオ・パチェリを批判した戯曲だから余計だ。何故ホーホフートの戯曲の邦題とは違う書名にしなかったのだろうか。ホーホフートの戯曲の邦題に便乗した下心があったのならば話は別だが。そこが引っかかってしまう。