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齋藤先生の本は何冊も読んできましたが、今回の著書はかなり現実的な話になっているなあと感じました。今までは、先生が何かにあこがれていて、その先生の様子を見て子どもたちもそのあこがれにあこがれる、そういうあこがれの連鎖が子どもたちのやる気を引き出す、そういう書き方をされていたと思います。それが今回は、勉強していないとどういうことになるのかを考えさせる、かなり現実的な路線です。しっかり勉強することによって幸せになれる、そういう希望を持たせる、それが家庭にとって大切なことであると言われています。確かにその通りなのだけれど、何か違和感がある。おそらく、齋藤先生の身近で、大学を出てもしっかり働かず、苦しい生活に追い込まれているような人たちが増えているのだろうと想像します。明治大学の学生がどうなのかとかは分かりませんが。私の身近にも勉強をしっかりしてこなかった大人がいます。それでも、しっかり子どもを育て、休みの日は自分の趣味のスポーツを子どもといっしょにして、幸せに暮らしている人がいます。そういう人は子どもに勉強なんてしなくて良いと言います。お母さんの方はとても心配されています。何が幸せなのか、何を幸せと感じるのか、それは人それぞれなのでしょう。さて、最後のQ&Aで塾選びについては良いことが書かれています。ですが、中学入試算数について私は少し異なった意見を持っています。齋藤先生は方程式でできるものは教えてもいいだろうと言っていますが、やはりここは算数的な考え方で頭をきたえてほしいものです。それは、もしこうだったらどうなるのか、実際と結果が違った場合はなぜそうなったのか、そういうことを考えることで算数の問題は解に近づいていきます。「つるかめ算」や「差集め算」などがそうです。そんな問題に取り組むことで、将来的にも役立つ、筋道立てたものの考え方が身につくのだろうと考えています。