紙の本
♪おお、友よ、もっと別な真理の歌をうたおうではないか!
2013/02/07 10:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者はこの小説の展開についてなみなみならぬ周到な構成を凝らして臨んではいる。日本と外国、2つの異なる場所と場面で自由と独立のために戦う人々の同心円世界を同時進行で描きだそうとする意欲的な試みもそう。
だが、「どんな社会や人世の苦悩や闘争があろうとも、それを勇気と友愛の絆で潜り抜けた暁には遥かなる天空の彼方に救い主たる神が待ち受けている」、という余りにも紋切り型の大団円が、多くの読者にとっていささか鼻白むお寒い着地点に収斂するのも無理からぬ話なのである。
♪おお、友よ、このような安易な物語ではない。
我々はもっと心地よい、もっと歓喜なぞを忘れた別な真理の歌をうたおうではないか。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻に入ったら、もう少し現実感が増すかと期待したが、やはり無理があるようだ。ハッピーエンドにはならないだろう気はしていたものの、あまりに暗く、辛かった。暗いからいけないわけでは決してないのだが、直木賞を獲った「悼む人」を超える作品が、まだ無いのでは。
投稿元:
レビューを見る
あっと驚くような展開も無く、淡々と読み進んでいくんだけれど、後から思い返すと、じわじわっと良さがにじみ出てくるような気がした。
自由を得た事は大きな前進だし、奇蹟は起きなくても三人ならやっていけると信じたい。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりの天童さんの小説にはやはり天童さんにしか描けない暗く深い世界が広がっていた。
読みながら苦しくて、自分が息を止めていたことに気づいたり。
爪のあとがつくほどきつくこぶしを握り締めていたり。
かわいそうとか悲しいとか、そういう言葉が薄く感じられてしまう。
もし、物語の中に入れるのなら、殴りたい。思い切り殴りつけたい。
精一杯生きている彼らの人格を踏みにじり生を略取している汚れ切ったオトナたちを、思い切り殴りつけたい。
誠は誠のやり方で、正二は正二のやり方で、香は香のやり方で、お互いを必死に護ろうとしている、その姿は重苦しい救いのない世界の中でかろうじて見える一本の命綱。手を離したら闇の中に落ちていってしまう。離さないで、お願いだからその綱だけは離さないで、そう祈り続けた。
投稿元:
レビューを見る
名作「永遠の仔」のイメージが強烈だったので、今回の作品は期待をしすぎたのかもしれない。
題名からすると、関連作品かもと思ってしまうが、「永遠・・」とは子供が主人公という以外は全然違うし、今回の作品は、デビュー前の懸賞応募作品に手を加えたもので、構想はずいぶん昔からあったと、後書きにある。
これ以上ないという劣悪な環境の中に置かれた子供達が、それでもまっすぐに、前だけを見て進んでいくという、すがすがしいには違いないのだが、ただ淡々と話が進んで、クライマックスも、感動もないまま終わってしまった・・・う~ん、ちょっと期待はずれだったな。
作者は、この作品に特別な思い入れでもあるのか、あとがきではくどいほどの謝辞を述べているが。
投稿元:
レビューを見る
天童ワールドを体感した。
言葉では表現しにくいが、今回は何か物足りなさ感じた。
いつもながら、本のあとがきには、学ぶところが多い。
投稿元:
レビューを見る
これも天童ワールドだと思うけど長男誠の空想が読んでいて辛かった…汚い大人達に不幸な生活をさせられながらもまっすぐに必死に生きていく3兄妹の物語…突然いなくなった父親の真相がわかったラストシーンに衝撃…
投稿元:
レビューを見る
読了後、今なお余韻が続いている。
現実と空想が交互に現れ、物語を補完しあう。
徐々にその境界が曖昧になっていくのも見事。
大人の事情で辛い状況に置かれる子供達。
それでも子供たちは時に非合法な手段をとってでも、健気に必死に生きていく。 その姿には、善悪を越えた感動がある。
この物語は、人間、人類に対する大きな愛の物語だと感じる。
人間賛歌、人類賛歌の物語。 歓喜の歌が響き続ける事を願う。
投稿元:
レビューを見る
【天童荒太】という作家の新作に期待しすぎていたのかもしれない
私にとっては、いまいちもの足りなさを感じた
作家が読者に伝えたかったこと・・・生きていく上で希望のようなもの も
わかる気がする
手法、というか 想像の世界で繋がることも わかる
過酷な戦場にいたことがないものにとっては その戦場を見つめるだけで
過酷だし、目をそむけたくなるであろう
だから 最後 ホッと息を吐いて 希望の光を見るのかもしれない
しかし 別の戦場にいてギリギリの精神状態を経験してきたものにとっては見なれた風景であり 必ずしも希望や救いには繋がらない、という
リアルな感想を持った
結局 その後も人生は続くのだから
だけどそうはいっても やはり【天童荒太の世界】だ
そういった意味では読み応えがあると思う
(少し辛口かもしれません・・・。)
投稿元:
レビューを見る
読了!★★★★☆ 2012年12月読了。
ルスランとの別れのシーンが良かった。
必死というか、一生懸命に気持ちを伝えようとしている事が
とても良くわかった。
私にとってこの物語で印象的だったのは
無償の献身。
それはやはり「許し」に繋がっているのだろうか。
他の天童作品のように
ベートーヴェン第9交響曲第4楽章「歓喜の歌」
投稿元:
レビューを見る
パケっていう違法な包みを子供が借金のために作る話。
お父さんが、どこで何してたかの、落ちは少しビックリした。
長男の空想のページが下巻は多くなってきたので、読み飛ばしちゃいました。ホントは本筋とリンクしてるんだろうけど。
すげぇ感動したとか、入り込めるとかは、なかった
投稿元:
レビューを見る
6月-3。4.0点。
下巻。長男が、裏切りやもめ事に巻き込まれていく。
また、次男、妹も大きな出来事が。
最後は、個人的には良かったと思う。
ただ、下巻は場面の変わり目が少しわかり辛く、
誰の場面なのかと、思うことが多々あった。
投稿元:
レビューを見る
市図書館。
上質のミステリーサスペンスでもありながら、読了後には爽やかな『希望』が満ち溢れる。
陳腐な映像にはして欲しくない作品の一つになった。
投稿元:
レビューを見る
上巻読了した時点で、下巻は一体どうなるんだろう・・・
このあと果たして少しでも救われるんだろうか・・・と、ずっしり重い気分をひきずりつつ、怖いもの見たさで読み始めた下巻。
ちいさな伏線がラストにまさかの展開で、
確かに注意深く読んでいれば気づけないこともない程度のことだけど、
全然気づけていなかったから、終盤でかなり驚いた自分がいたり。
最終的にはそれぞれが家族のことを思っていて、
この家族の絆がとっても強いことも知らされ、
全くの悲劇なんだけど、確かに一筋の光が見出せる感じが、
状況は全く違うんだけど、なんとなく映画「ヒミズ」を観たときの感じに似ている。
天道荒太はじめて読んだけど、しばらくはこれでおなかいっぱい。
投稿元:
レビューを見る
上巻カラドキドキしていましたが、救われました。
勇気づけられる言葉が多く散らばった良い作品でした。
天童荒太さんの他作品を読んでみます。