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20年近く前の事件を、当時の記録、関係者を追い、洗い出している。いい仕事だなと。
本にすると一瞬ですが、膨大なメモ、取材テープから取捨選択する、話を繋げる、あまり話したくない関係者とアポをとる、当時の記憶を引き出すようなインタビューをするということが、物凄く大変な作業だと思う。
『実は、警察は部分部分では、かなり真相近く(サリンの購入ルートなど)にまで迫っていた』
しかし、、、
・県を跨いだ情報連携がなかった(オウムはあえて、管轄が曖昧な県境に拠点を置いていた?)
・決定的な証拠がつかめなかった
・宗教法人が、化学兵器を使うなんて世界でも例がなかった
・1万人を超える組織で、強制捜査が県警レベルで対応しきれなかった
等々
『教団はかなり早い段階から、武装化を意図していた、教祖はある種の天才だった、真相はやはりよく分からない』
・衆院選に敗ける前から、武装化を計画していた
・1万人を率い、心酔させていた。音声の書き起こしを見る限り、何かそれっぽい引き込まれる感じは分かる
・それでも何でそうなったのかは、やはり良く分からん。
『いろんな人が傾倒していったのは、ちょっと分かる、分かるようになってきた』
・大半の人は弱い。
・誰かに生き方を決めて貰いたい。
・誰かに、存在意義を認めて貰いたい。
多分そんな感じ。ぶっちゃけ、1万人に心酔される教祖なんて、まともな神経からすると、相当なストレスだと思う
『今でも後遺症に苦しむ被害者とその家族、遺族がいる』
で、不謹慎ながらなんとなく思ったのは、
警察や国家というものが、物量では圧倒的に勝っているのに、組織力で負けたというか、
ルーティーンにばかり気をとられて、万が一を考えきれなかったというか、
色々とビジネスにも通ずるところがあるなと。
また、この事件を一番深く研究しているのが、アメリカだということに、守り方を知るには、壊し方を知らねばならないのではないかと思った次第。
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警察の縦割構造の弊害を感じた内容でした。そして、NHKの取材力に驚きです。オウム事件を風化させないためにも読まれる本だと思います。
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松本サリン事件の誤った容疑者報道はゼミで取り上げている班があったなあ…と時系列を思い起こしながら読みました。取材班の記者に、事件当時にまだ幼かった方がいるほど時間が経ってしまった。当時は県警の連携が不十分で情報が共有できなかったことなど、捜査側の検証やら、オウム心理教の破壊活動の意味の検証やら、と多岐にわたる内容でした。活字読んでいるだけなのに、気分が悪く感じることが多々ありました。
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抜群に面白い。一気に読んだ。麻原彰晃が、衆院議員選挙の後にオウム真理教を武装化した説が有力だったが、教団発足時から、武装化・政権転覆を目論んでいたことがテープや幹部の証言から明らかになった。
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【オウム対警察の知られざる攻防とは】放送直後に逃亡犯逮捕の衝撃作! 700本の麻原テープや死刑囚手記、捜査関係者150人への取材でわかったサリン事件までの真相。
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警察の押収を免れた膨大な量の麻原彰晃の肉声録音や、第一線で捜査に当たった元警察幹部の新証言、獄中の死刑囚らの未公開手記など、あまたの新出の資料から一連のオウム真理教事件の過程を再検証した書。従来から批判のあった「衆院選敗北を契機に武装化した」という麻原訴訟の確定判決の見方を改めて覆したことや、坂本弁護士一家殺害事件にせよ、松本サリン事件にせよ、捜査現場レベルでは早くからオウムに肉薄していたにもかかわらず、縦割りの警察組織の構造的欠陥や上層部の「政治的」な予断のせいで本格捜査が遅延したことを明確化したことなどは評価できる。また警察庁長官狙撃事件(本書ではオウムと無関係の別の「真犯人」が強く示唆されている)について、公安当局のフレームアップ手法を厳しく指弾しているのも注意に値する。ただし、取材した記者の大半が事件をリアルタイムで経験していない若い世代のせいか、せっかくの貴重な資料を使いこなせていない感が若干あるのは残念。
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NHK「未解決事件シリーズ」の第2弾として放送されたオウム真理教に迫る本です。
テレビでは放送しきれなかったものや取材背景を知ることができました。
テレビ番組は本放送も再放送も観ていたので「あぁこの場面か」と思いながら読めました。
定説とは違う事実の発見に合計900本ものテープを聴くという執念の取材とはさすがNHK。
松本サリン事件当時、私は5歳くらいだったので当然覚えていません。
多分興味もなかったでしょう。
それでも凶悪犯罪番組などで見るたび「徐々におかしくなったカルト集団」「麻原彰晃は自信があるからこんなことできるんだ」と思ってました。
でも最初から武装化は予定内で自信がないから偉大な宗教は全部自分とつながっているという歪んだ人間だと驚きでした。
心が弱い者同士が集まっちゃったのかな…。
警察ももっと目を光らせ情報を重視して欲しいです。
せめて情報共有を変なプライドを持たずに徹底してくれていれば…。
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かなり昔だったが番組も面白かった。改めてまとまった書籍で読むとオウムの愚かそうな表面に隠された残忍性が社会がオウムを面白がっていた頃から強く育っていたのがよくわかる。人は容易に騙される。
麻原彰晃のカリスマ性は説法テープを延々と聞いた取材班も感じていたように否定出来ないものだったのだろう。この本の論調はその影響力を使ってもともと持っていたオウムの危険な望みを実現するために弟子を動かした、つまりオウムの危険性は麻原彰晃の思想と直結していることを示唆していると感じるし、死刑囚となった弟子たちの証言はそれを補強するものになっている。
それは事実なのかもしれない。ただそうでない可能性、麻原彰晃がその危険な思想を彼の内部ではなく別の誰かから受け入れたという可能性、麻原彰晃自身が何者かに操られ動かされていた可能性はないのか、という若干陰謀論めいた疑問が少し残る。
多分その可能性はひくいのだけど、この本の終盤にもふれられているまだ残る闇の部分、村井刺殺と警視庁長官狙撃に対する警察の不自然に見える対応が、まだなにか本当の黒幕がいて今も社会の中で笑っているのではないか、という妄想を掻き立てる。
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取材班の原稿の寄せ集めなのでバラバラな印象。番組見た方がよい?
また、秘録と言っても、選挙に敗ける前から麻原は武装化・国家破壊(ハルマゲドンの成就)を志向し、戦う王(キリスト)を目指していたという。
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平成を振り返る意味で読んだ一冊。
事件当時、小学校低学年で理解できていなかったが麻原の異様な風貌、連日のショッキングな報道は未だに記憶に残っている。
改めて全容を知ると「こんなことが本当にあったのか」という衝撃と何とも言えない不安感が出てくる。
麻原の真意は今となっては誰にも分からないが、集団洗脳の恐ろしさや危機管理の重要性などいくつも考えさせられることがあった。
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本書はNHK取材班による著作物であり、長期に渡るその詳細で丁寧な取材での記述により、教団組織や警察組織が各々の立場でどのように向き合って来たのか、報道の立場で事件を客観的に説明しようとする努力を感じました。一方でNHK自体も組織であり、その事情がどのように反映しているのかは分かりません。しかしながら事件を直接知らない若い世代による取材での再考察は、事件を忘れない為にも、重要であると思いました。また膨大なテープの入手や警察当事者の聞き取りなど、さすがNHKの取材力と感じる部分も多くその取材のご苦労に敬服すると共に、その取材元のご協力によりこうして私のような一庶民にも考える機会を与えて頂き感謝いたします。