投稿元:
レビューを見る
全部読み終わりっても、やはり、中野剛志氏とは一体何者なのだろう?
確か、通産省に席を置いていながら、京都大学大学院工学研究科で政治思想の研究をする准教授であったその経歴から、何を批判したいのだろう?
本書では、色んな本の引用や、他者への批判が満ち溢れていますが、じゃあどうしたいのだろう?となると
全くわからない!とのまとめになっています。
投稿元:
レビューを見る
「世界は矛盾に満ちあふれている。」
ともすれば「中二的」と揶揄されるこの言葉は、しかし物事の本質をついている。久米田康治さんのマンガ『かってに改蔵』の中で、『名探偵コナン』の台詞をもじった「真実はいつも一つとは限らない」という台詞があったが、まさしくそのとおりであろう。
さて、経済や政治の分野においてもまた、矛盾だらけというのが現状のようだ。たとえば、日本において「脱官僚」が望まれている風潮がある。しかし実際には、日本は――そして世界も――着実に「官僚制化」の道をたどっているらしい。
本書は、ウェーバーを初めとする経済学や政治学の数々の先行研究を参考に、現在の世界にある矛盾を解き明かすものである。その意味では「経済学や政治学がいかに利用価値のある学問であるか」を紹介しているように感じる側面もある。
詳細は本書にて確認をしてもらいたいが、結局のところ、合理性を求める近代化は経済や政治、学問に関しても、進んでいるわけだ。そう考えるならば、現在の世界は、現在でありながらも、すこし古臭い世界なのである。
【目次】
序 章 反逆の宣言
第一章 虚妄の行政改革
第二章 官僚制化する世界
第三章 グローバルな統治能力の危機
第四章 反逆の真相
終 章 政治主導を目指して
投稿元:
レビューを見る
筆者は、冒頭、外圧を使い、TPPへの参加をヌケヌケという元外務省官僚を批難する。
そして、そのことは、新自由主義、グローバル化が霞が関官僚の官僚、政治家、経済界も含め、現代社会を大衆化させてしまった弊害だと論じているのである。
論説の、根拠は、スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットとマックス・ウェーバーの主張である。
引用されたウェーバーの一節を紹介。
官僚制が「非人間化」されればされるほど、それだけより完全に、官僚制は、資本主義に好都合なその独特な特質を発展させることになる。
ここで、より完全にというのは、官僚制が、愛や憎しみ、およびいっさいの純個人的な、総じて非合理的な、計算できない感情的要素を、公務の処理からしめだすのに成功することなのであって、それは、官僚制の徳性として賞賛される固有の特質なのである。
まことに、近代文化が複雑化と専門化の度をくわえるにつれて、それは、個人的な同情、恩寵、恩恵、感謝の念に動かされる旧い秩序の首長のかわりに、人間的に中立・公平な、それゆえ厳密に「没主観的」な専門家を、それ「近代的文化」をささえる外部的装置のために必要とするのである。
とにかく、日本をもとより、現代社会がかかえる官僚制の問題に警鐘を鳴らすすぐれた著作でありました。
投稿元:
レビューを見る
政治、学問、経済の非政治化(ウェーバー的意味での『官僚化』現象)を丁寧に解き明かす、面白い本。
ただ、ウェーバー的意味での『官僚』と、いま日本に機構として存在して動いている『官僚』の言葉は同じだが、込められている意味が異なるところに注意が必要。
投稿元:
レビューを見る
官僚に関する自論を展開したいだけのように思えました。
著者の頭の良さや視点の鋭さはよくわかるんですが、「俺の定義では、官僚の定義はこれ。ウェーバー様もそう言ってるよね。世の中のバカどもは、官僚が何かわかってないんだよ」という主張をするためだけの内容に思えました。
もう少し、建設的な方向に頭を使えないもんですかね。
読んでいて辛かったです。
投稿元:
レビューを見る
グローバル化=官僚制=大衆社会化=定量化
という定義のもと、議論を単純化して示しているため、
逆にくどさと分かりにくさを与えてしまった印象。
ただし、
成果主義や新自由主義などの定量化できるもののみを重視する態度は、極めて官僚的であり、非人間的、機械的である。それは現実世界を極めて表層的にしか捉えていない
という点については、非常に共感できる。
個別的でナショナルな自由民主政治を、その非効率・非定量・不透明さにもかかわらず、目指す必要があるが、その処方箋はない。
その面倒さに嫌気がさした市民が、独裁を標榜するような政治家が率いる集団に喝采を送ったりしてしまう。
民主主義を尊重する態度を続けるのであれば、その面倒さを乗り越えていく覚悟が求められるのだろう。
投稿元:
レビューを見る
本人の思いをぶつけ過ぎ。気持ちは分かるけど。藤井聡教授の考えと基本同じだけど、藤井聡教授の本の方がわかりやすい。
投稿元:
レビューを見る
【どんな本?】 「官僚制化」する社会を様々な側面から描写した本。
特に、「官僚が悪い」といって改革を進める人たちこそが、その改革で「官僚制」を強めてしまうという逆説が面白い。「改革派官僚に騙されるな!」という帯タイトルがある。
【著者紹介】 (出典:wiki)
中野 剛志(なかの たけし1971年 - )日本の経産官僚、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構総務企画部主幹、評論家、元京都大学大学院准教授。研究分野は経済ナショナリズム、保守思想。著書「国力論」「TPP亡国論」「日本思想史新論」など
【オススメな点】
・著者は国内外の政治経済の見識が広い(近代の政治経済から現代の政治状況+他国事例)
政治経済の基本的考えやその名著(論文)を紹介しながら解説してくれるので、知識が増えるという意味で勉強をした気になれる。(自分で原著を読み込んだわけではないので、盲信は危険かもしれない。)
例:オルテガの「大衆の反逆」(「大衆」と「エリート」の違い)。マックス・ウェーバーの官僚論。高橋伸夫の「虚妄の成果主義」(年功序列制、成果主義等の真実)、ペルーや韓国の構造改革の結果
【目次】
序章:反逆の宣言
第一章:虚妄の行政改革
第二章:官僚制化する世界
第三章:グローバルな統治能力の危機
第四章:反逆の真相
終章:政治主導を目指して
【要約】
・「TPP使って、外圧で日本を変える」と宣言した日本政府OB、アメリカの外圧を利用することがまったく悪いことだと発言する外務官僚。
→これは「国民主権」の否定を宣言している。国民主権、すなわち国民が自国の将来は自分たちの意思で決めていきたいという民主主義の理想の放棄。
⇒このような「官僚の反逆」の背景には何があるのか ←テーマ
・日本1990年より、構造改革が目指してきた。しかし政治主導を目指したはずの改革運動の結果、逆説的なことに「官僚制化」が広がってしまった。その範囲は、官界はもちろん、政界、財界、学会の隅々にまで及んでしまった。
例:政界・官界…小泉政権、民主党政権 財界…世界のグローバル化(マクドナルド化) 学会…主流派経済学
・官僚制…非人間的、計算可能な規則。官僚制組織は、大衆民主制の随伴現象である。
官僚制の本質は、「だれかれの区別をせずに」「計算可能な規則」に従って事務処理をしていること。
・グローバル市場に広がる官僚制化現象(マクドナルド化)。市場における利潤追求行動は、実は官僚制化と親和性が高い。→グローバル化とは官僚制化である。
・新自由主義(「自由放任(完全なる自由市場)」「構造改革」「規制緩和」「小さな政府」)を達成するには、その手段として、官僚制が必要である。なぜなら、市場に介入しようとする政治に対抗できる強力な専門家集団が必要であるから。その専門家集団こそ官僚にほかならない。
投稿元:
レビューを見る
『政治の世界には、確かに、利害の対立や妥協がつきものである。しかし、政治には対立や妥協があるからこそ、議論が行われるのであり、言論の自由が意味をもつのである。
もし、関係者の間に対立や妥協がなく、すべて、規則に従って官僚制的に事を運べばよいのであれば、そもそも言論が自由である必要などない。政治的な対立や妥協がなく、不確実性のない統治体制とは、自由なき官僚制的支配にほかならない。』
思っていたより抽象的な議論。ウェーバーがどうとかが読みたかったわけじゃないんだよなぁ〜。
官僚による官僚制の否定が官僚化をより強固なものにし、自由な民主国家を弱め国力の弱体化を招くロジックが、本当に正しいのか良く分からない。
投稿元:
レビューを見る
「官僚化=グローバル化」というのがよくわかりました。会社勤めをしていると、この本に書いてあることに肯けるところを多く感じます。
グローバル化がいかに社会をダメにしているかがよくわかります。
みんな、世の中に流されてるだけなんですよね。官僚化はやめてもっと自分の頭で考えるべきです。
投稿元:
レビューを見る
マックス・ウェーバーの官僚に対する考え方をうまく引用して、グローバル化と大衆化、そして官僚化に対する警鐘を鳴らしている。
とくにグローバル化の例で出したマクドナルドの説明は非常に分かりやすかった。
効率性・計算可能性・予測可能性・支配、そういった観点で見れば今タケノコのように出店してるフランチャイズなどまさにそのような例なんだなって思いました。