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この装丁の美しさ、儚さ。手にとった瞬間から江國さんの紡ぐ物語に、世界に浸れる。そして一行、たった一行読むだけで、ああ、と思わず唸りたくなる、それほどこの作品は江國香織ファンには嬉しい江國香織ワールド炸裂だ。
まずその一行、架空の妹、とあり、二行目には、ミルク紅茶にビスケットをひたす、とある。
雛子は五十四歳。架空の妹は三十歳くらい、ときどき十七歳くらいにもみえる、だ。老人ばかりが暮らすマンションで架空の妹とおしゃべりしながら暮らす。たまに隣室の男がやってくるーー。
すごく短く感じられる長編小説です。実際短いのだが。もうちょっと先が読みたかったな。雛子と、架空ではない現実の妹・飴子が決して交わらないこと。現実の飴子はカナダで姉のことを思い出してはくつくつと笑っていること。雛子が捨てた息子ふたりのこと。そのうちの上の子である正直と妻の絵里子のいざこざ。そしてラスト絵里子が雛子に会いにくるところが見たかった。けど、それらを知らないからこの物語はふわふわと完成していて、それは本当に見事な完成度の高さ。
物語も人生もすべてがすとんとそこに収まるものばかりではないし、鮮明にすべきものではないのだから。
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異質な潔癖さ、止め処なく語られる取り留めのない日常。
眼鏡を取ったときの視界がぼんやりした感じに、少しイラつく。
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江國さんが描く姉妹の関係って、私と姉とは全く違って儚くて美しくて現実感が無くて夢見心地で、時々その世界を覗きたくなる。
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薄味だなあ。
江國香織の小説の主人公は著者の加齢とともに年齢が上がっていくだけで全部同じ人に見える。
それで書き割りというかその主人公が置かれる状況や人間関係の枠作りにだけバリエーションが示される。
こういうものだと思って楽しむべきなんだろうか、と思いながら毎作読んでいる。
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江國さんのエッセイや妹さんとの文通連載の愛読者からすると
雛子と飴子の思い出はそのまま江國姉妹の思い出なのでは、としみじみ。
読後直後は、これで終わっちゃうの?と少しがっかりもしたけれど
その心許ない感触が雛子なのだなと思い当った。
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どうしよう。
悪くない、でも良くわからなくて
もやもや
もやもやして
終わってしまった。
あたしにはきっと難しいんだ。
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黄昏時を迎えた姉妹と2人に関わる人逹で織り成すファンタジーミステリー。序盤から縦横無尽な展開に戸惑うが中盤から視界が開け、終盤にかけては著者の様々な仕掛けと登場人物の隠れた過去が明らかになる展開が面白い。語りすぎない記憶と愛と孤独の物語を堪能。
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江國香織さんの物語は、最後の数ページ、数行でぐっと変化してしまうことがある。曖昧に終わるかと思いきや、大胆なまでにそれまでの流れが逆転して、登場人物たちの未来が広がっていくのがはっきりと分かるから、最後まで油断できない…という印象がある。
この「ちょうちんそで」もそんな風にがらりと変化するのでは、と思ってました。でも予想外に(ストーリーが大きく変化しない、という意味では小説の流れそのままに)曖昧なまま終わってしまったなあ。
何人もの、互いにつながりがあるけどあまり重ならない登場人物たち。彼らの新しい未来を期待していたので、あれ、これで終わり?とちょっと肩透かし。
面白かったからこそ、もう少し彼らの今後を知りたかったなあ、と思います。
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2013/02/03読了。
なんか、期待しすぎたかな。
たぶんいつもの江國さんなんだけど…物足りない感じ。
装丁が素敵☆
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本を開いて、一行読んで、あぁ、江國香織の文章だと思って、とても安心した。紅茶の匂いと、ひたひたになったビスケットの感触が、残った。
最後の節の「雪!」っていう、架空の妹の台詞。うす暗い冬に響く明るい声。そんな小説でした。
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高齢者住宅に各々の事情を抱えつつ共同生活をする人達の話が様々な伏線の中見事につながって行くところはさすが江國香織、老いをテーマに自分の老後は誰に近いのかと思いつつ読み進めた。
しかし、先日の短編ほどのインパクトには欠けるかも。
超多忙な中、ひととき楽しむには良かった。
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緩やかな、短めの長編。
江國香織の、姉妹や、家族の関係がよく描かれた話はやっぱり好き。
このお話の雛子と(架空の)飴子の会話もとても楽しい。
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いつものように、一つ一つの形容詞が、動詞が、そしてなにより名詞が、手紙のように丁寧に綴られている。前作のように死や喪失と諦めが主題的に語られる。今回は恋愛が背景に遠のくかわりに、ぞっとするほど静かな生活にスポットライトがあたる。
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主人公が架空の妹と話すところから、いったいどうなっちゃうんだろうと不安に思いながら読んで。
高齢者向けマンション(ホーム)が舞台だったり、帯には「人生の黄昏時を迎え」なんて書いてあったり、なんか憂鬱そうな話だなあとも。
読んでいくにつれ、ただの空想的な思い出的なぽあぽあした話ではなくて、いろいろと現実的な深い事情があり、過去があり、人間関係があり、ということがわかってきてなんだかほっとしたんだけど、そういうストーリー構成があるならもっと長編にしてもらって突っ込んだところまで読みたかった、と思った。
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読み進めるうちに雛子さんをはじめ、取り巻く人々の過去や関係も明らかになっていき、その部分は面白かった。期待した分、終わり方がちょっとあいまいで、もう少し続きが...というか、もっとはっきりとした最後がよかったです。表紙イラストが読む前はシンプルで可愛いけどどこか寂しげだったけど、読後は納得でした。