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紙の本
山本善行による『子供より古書が大事と思いたい』
2013/05/15 10:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CHARABO - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、2002年刊の青弓舎版『古本泣き笑い日記』に、2003年以降、「SUMUS」および{mixi日記}の記事を加えたもので、2000年から2007まで足掛け8年の記事をまとめたものである。
山本善行氏といえば、南陀楼綾繁氏、坪内祐三氏、拠点を関西から関東に移した岡崎武志氏らと並んで、面白さ抜群の古書エッセーを記すライターの一人である。しかも、ずっと基盤を関西においている点で、東京中心の他のライターとは一味違った情報が得られるという点でも異色を放っている。ベースは地道な古書店めぐり、送られてくる目録、定期的に開催されるデパートでの古書即売会、京都ならではのお寺の古書市、古書会館での入札、それにブック・オフの棚の点検も欠かさないというように古書中心で動いている筆者の姿が文章から浮かび上がってくる。また、買った本、注文した本のそれぞれの情報が細かく、時には羨望の目で、時には納得しながら、読書としては読むことになり、各項を読み終えると自分もこの本探してみたい、あるいは、古本屋の棚を除きに出かけてみたいと思わせる何かがある。
個人的には、「今日も家にいて本の整理をする。といっても本箱には目一杯詰めこんであるので、身の回りに積んでいる本を積みかえるだけだ。当分いらない本を遠くの底の方に移し、使いそうな本(読みそうな本)を近くの上のほうに持ってくるのだ。そんなことを繰り返していると、「ほう、こんないい本買っているやないか」とか「なんで買ったんやろうなあ、この本」などの言葉が自然に頭の中に浮かんでくる」(385ページ)の一節、苦笑しながらも、身にしみる思いで読んだ。普段の自分の姿を見る思いなのである。
本に関する情報満載で、最初から最後まで楽しめる本である。取り上げた本の書影も各ページに掲げられ、知らない本でもなんとなくイメージできる配慮がなされているのも嬉しい。また、林哲夫氏の装丁も本書にふさわしい物で、こういう装丁を見るだけでも、本はやはり紙の本でなければと思う。
版元は、みずのわ出版で、著者も同人である「SUMUS」の復刊号を出した版元である。晶文社特集として「SUMUS」が出されてかかなりの時間がたっている。
同人各自が大活躍で、刊行が難しいのかもしれないが、かって三月書房を覗くたびに「SUMUS」がでていないかチェックしていた者にとっては、一年に一冊でも良いから出し続けてほしいと思う。
評価が4点であるのは,内容ではなく,本書が青弓舎版の増補版であるという理由からである。
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