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徳川第15代慶喜、最後の将軍を軸に、ゆかりの人々を紹介していく本。写真満載である。第1章は徳川宗家、第2章は御三家、第3章は御三卿、第4章は御家門。御三卿というのは、宗家に嗣子がいなくなったときに備える「血の予備軍」だという。御家門は家康の兄弟の家系で「松平」姓を名乗ることが許された家である。
ずいぶんと数多くの写真が残されていることに驚く。慶喜や、尾張藩主で高須四兄弟の長兄・慶勝が写真を愛好していたこともあるのかもしれない。
次に驚くのは、眉目秀麗な人物が多いこと。女性ももちろんだが、男性もきりっとして目鼻立ちがはっきりしており、瓜実顔である。はぁぁ。何だか高貴な顔立ちなのである。
女性はどこか伏し目がちな人が多く、そこがまたちょっと奥床しさを増している印象を受ける。
各家ごとに家系図があるのだが、名前が似ていたり改名もあったりでややこしい。
あっちから養子、こっちに嫁入りと往き来も激しい。まぁとにかく、「よい」家柄の間で姻戚関係が非常に複雑に網の目のように張り巡らされていた、ということになりますか・・・。前述の「血の予備軍」といい、家を守るってのは大変なことなんだな・・・。
解説の中で印象に残ったのは、木彫りの熊の話(尾張徳川家第17代慶勝(高須四兄弟の慶勝とは別の人))と農地開拓の話(一橋徳川家宗敬に嫁いだ幹子(もとこ))。
前者は、維新後、旧臣の道南への入植に尽力。スイスで見た熊の彫刻をヒントに、土産物として木彫りの熊を売ることを提案。それが今に続く一大産業になったのだそうだ。
後者は、絹の布団の生活を送っていたが、夫と外遊中に、没落貴族の悲惨さを目の当たりにし、もしも敗戦したら農業をやろうと夫と誓い合う。戦後、言葉通りに開拓民の一員となり、後に開拓婦人のネットワーク作りに奔走した人物である。写真も何点かあるが、見るからにバイタリティ溢れる女性、という感じである。
*慶喜母「吉子」は気品と可愛らしさの両方を備えたおばあさん。春嶽側室の婦志は、中村七之助にちょっと似ている・・・? 慶喜の義理の母にあたる一橋直子(つねこ)はきりりとしてちょっと宮本信子に似てるかな・・・?
*おすまし写真が多い中で、目を引いたのが、尾張徳川家の分家を興した義恕の写真。毛布のようなものをかぶってはたきを持ち、おどけた顔。いったいこれ、何をしていたところなんだろうか(^^;)。