投稿元:
レビューを見る
なんとなく手に取った本だったけど、知らなかった事、知らなかった苦しみや人に言えない理解されない言葉や想い、生まれてきた子供の性と生、そして両親がそれにどう接していくのか。
いろんなケースや法律も医療も追いついていない現実があった。
こういう本は学校の図書館とかに置いてあげてほしいな、あと先生や保護者の人たちが知っておく事で自分の子供でなくてもそういう立場にいる人に対しての対応も受入れ方も変わるだろうから。
投稿元:
レビューを見る
毎日新聞で連載された「境界を生きる」が、加筆・修正されて本になったもの。とくに、性分化疾患(インターセックス)と、性同一性障害(トランスジェンダー)について、当事者や家族の経験、病院や学校、地域での対応、偏見の厚さと、それを破った事例などを取材している。表紙カバーのモデルは、小林空雅[たかまさ]さん。
空雅さんは、定時制高校の弁論大会で、「眠っている間さえも、本当の性別と異なる性の体と生活している違和感から逃れることができません」(p.136)と性同一性障害であることを公表し、その苦しみを訴えた。「…自分がコンプレックスだと思うことは、他の人からすれば気に留めることはないのかもしれません。自分(の体)が嫌なことに変わりはありませんが、それがあなたの個性だと言われると、少し気持ちが軽くなります」(pp.140-141)とも。
▼この世界は「男」と「女」だけでつくられていると考えている人は多いだろう。…
普段の生活でも、トイレや制服、レンタルビデオ店の登録も、男女いずれかを選ばされることが当たり前だ。私たちはそんな社会で暮らしている。(p.10)
"性別"という大きな制度が、「生きたいように生きる」こと、「安心して生きること」を難しくさせている。何かに名前を書いたり、申し込んだりするときに、「男・女」という欄があると、(これは、何のために必要なのだろう)と考える。
全く悪気はないのだろうが、子どもが生まれた話には、ほぼもれなく「どっち?」という問いがつくし、恋バナの場面では、女性には「彼氏」、男性には「彼女」が相手だという前提を疑うことなく、話はすすんでいく。全く悪気のない人に、"性別"を当然視することの重さを伝えるのは難しいとよく思う。
取材班が、エピローグにこう書いている。
▼…性別のあり方、感じ方は人によってさまざまだった。自分は男女半々だと感じている人や、男女の間を揺れ動く人、男性か女性かはっきりしていて揺らがない人、男女どちらとも思えない人…。男か女か、二者択一を迫られる社会の中に、これほど多様な人たちがいると知るにつれ、「性別って、一体何なのだろう」という疑問が強くなった。(p.228)
釧路から送ってもらった「まじくる」誌の2号に、「セクシャルマイノリティじゃなくて、セクシャルバラエティだよ」という話があって、その「セクシャルバラエティ=セクバラ」というのが、めっちゃええなと思った。バラエティのどこかに、自分もいる。「セクシャルマイノリティ=セクマイ」という言葉は、ちょっと変わったあっち側の人という印象をどうしても与えるが、バラエティには、誰でも皆が含まれているという安心感のようなものがある。
▼性別のあり方に苦しむたくさんの子どもや若者が、心の危機を抱えながらぎりぎりのところで生きている。そんな社会をつくっているのは、私たち一人一人に他ならない。人々の意識が変わることで、救える命がある。
無関心という「罪」をこれ以上深めてはいけない。(p.233)
救える命と、そう書かれるほどに、切羽詰まっている人たちが、声もあげられずにいる。すぐ隣にいる。
(5/6了)
投稿元:
レビューを見る
「男」か「女」か
こんなにも悩んで苦しんでいる人達がいるなんて。
知らないことは恥、やがて罪になる
社会の意識を変えるのは、難しいだろう。だけど、この本のおかげで私は少なくとも、その存在を知ることができた。
この原因はどこにあるのかはわからない。そもそも、男女で分かれて生まれてくること自体が正しいってわけじゃない。たまたま数が多いだけなんだと思う。
だけどもし…染色体の異常とか…発達の異常とか…もしかして…薬とか添加物とか色んな怖い可能性を感じてしまった。
それから…「性」のための「治療」の危険性もすごく怖い
みんなただ自分らしく幸せに暮らしたいだけなのに。
投稿元:
レビューを見る
自分の体のことで、「性別」のことで、悩み、苦しんでいる当事者の子ども達や若者達。社会との関わりを拒絶したり、自らの命を絶ってしまう若者も少なくないーー多くのGID(性同一性障害)、DSD(性分化疾患)の当事者やその家族を丁寧に取材した、毎日新聞取材班渾身のルポルタージュです。
すべての人がどんな違いをもっていようと、ありのままの自分らしく生きていける、そんな社会にしていかなければならない、と痛感しました。石田衣良さんの「あなたのために新しい時代が用意されている。あきらめずに、今を耐えて生き延びてください」との言葉が突き刺さりました。新しい時代を創るのは、私たち一人ひとりの責任です。
ぜひとも、多くの人に読んで欲しい内容です。
投稿元:
レビューを見る
2013.5.6
性同一性障害は知ってたが、性分化疾患というのは初めて知った。
多くの人と関わりのある仕事をしているが、きっとそういう悩みを抱えている人もいたのでしょう…
投稿元:
レビューを見る
p92
制服やトイレの話題
支援団体の話
国の対応の流れから
高校の先生で当事者でもある人曰く
「社会に出れば学校以上に厳しい現実がある。生徒が生きる力をつけるため学校はいい意味での壁になるべきだ」
生徒の希望を拒むのでなく、あっさり受け入れるでもなく話し合いで折り合いを付けることが大切という。
どういう意味だろう?
全くいわれのない苦痛に耐えてきたものに対して?
んー当事者ってことは境界なんだろう?
記者の方お疲れの時の原稿?
連載紙面の都合から字数制限あるだろうからな
きっとさらっと読むような本だろうから
こだわる必要の全くないところなんだろうな。
投稿元:
レビューを見る
□内容
わたしは男?それとも女?「性分化疾患」と「性同一性障害」。男と女。生まれたときに性別は決まっている―そう疑わない社会で、誰にも言えない苦しみを抱え込む当事者たち。苦悩する医療関係者、そして現実の壁。人間の根源に迫った新聞報道の金字塔、ついに書籍化。 by アマゾン
□感想
「性同一性障害」は知っていたが、「性分化疾患」という言葉を聞いたこともなかった。
性分化疾患は、通常男女どちらかで統一される性器や精腺、染色体の性別があいまいだったり、一致しなかったりする疾患の総称。子宮や膣はあるが、卵巣ではなく精巣があり、生物学的には男女の区別がつかない性。ふたなり、半陰陽、両性具有、インターセックスとも呼ばれている。
本書は2009年に毎日新聞でスタートした連載「境界を生きる」をまとめたものである。
性分化疾患、性同一性障害の当事者、その家族や医師・学校へのインタビューなど様々な視点から書かれている。
赤ちゃんを産んですぐに「女の子と男の子、どちらとして育てたいですか?」と医師にきかれる。親が子どもの性を選ぶ―。もちろん性別を「本人に決めさせたい」という親もいる。それができる場合もあるが、症状によってはすぐにでもどちらかの性に決めなければいのちにかかわる。その時、私はどうするのか。
印象に残ったのは次の文章。
この世界は「男」と「女」だけでつくられていると考えている人は多いだろう。子どもの性別はお母さんのおなかの中にいるときから決まっていて、誕生した時には外見で確かめるだけでいい。(中略)
でも実際には、生まれたばかりのわが子を抱いて幸せに包まれるはずの瞬間に、「男の子と女の子、どちらにしますか」と医師から決断を迫られることがある。親族や知人に「どっち?」と聞かれるのが怖くて、お祝いの電話にも出られない親たちがいる。 p.10
(まっちー)
投稿元:
レビューを見る
「境界を生きる」を本棚に登録しました。/ http://booklog.jp/item/1/4620321788
エピローグの書き出し「無関心はとてつもない恥になり、ついには罪になる」という言葉が突き刺さりました。「性分化疾患」と「性同一性障害」を扱った毎日新聞の連載をまとめた本です。
後半に出てくる「性同一性障害」は自分自身、当事者の方の本を読んだりもしてきたのである程度の知識もあるし、一般にも最近はよく知られるようになったと思います。でも前半に出てきた「性分化疾患」については今回、この本を読むまで全く知りませんでした。
「性分化疾患」は通常は男女どちらかで統一される性器や性腺、染色体の性別があいまいだったり、一致しなかったりする疾患の総称で70種類以上あるそうです。服装や言葉遣いなどが男女で区別されることの多い日本ではこの疾患を持つ方、また疾患を持つ人の両親の苦労は計り知れないだろうなと感じました。実際両親は子どもが生まれた瞬間から「男と女、どちらにしますか?」と難問を突きつけられます。
誰もが暮らしやすい社会を作るため、まず「知ること」から始める必要があると強く感じました。
投稿元:
レビューを見る
無関心という「罪」をこれ以上深めてはいけない。
最後の最後で心に残ったフレーズ。
当事者の言葉や気持ちが綴られていて、とてもリアルな現実が伝わってきました。
男と女だけという社会通念が罷り通る世の中ですが、そうではないということを1人でも多くの人が知っていくと、きっと何かが変わっていくと思えます。
投稿元:
レビューを見る
子どもに関わる者は一読の必要があると思います。無知は偏見を生みます。これからの未来を担う子どもに接する者は、意識して偏った見方をしないことが重要です。
性は語られにくい分、偏見にとらわれやすい。悩んでいる子どもたちは大勢いるんだという意識を持っていないといけないのだろうなぁ。
投稿元:
レビューを見る
新聞の連載をまとめたものなので、各節が短くわかりやすいが、個々の事例の紹介がやや物足りない感じはする。もちろん類書はたくさんあるので、それらで補えばよいとは思う。(少し古いが岩波新書の『変えていく勇気』もよかった)。本書では、性分化疾患と性同一障害をとりあげているが、同性愛の問題については取り上げていない。話が広がりすぎるので、あえて取り上げていないのだとは思うが、性分化疾患と性同一障害との関係について少し触れても良いのではないかと思った。まあそれも、人によって様々ということになるのだろうが。
投稿元:
レビューを見る
性分化疾患に関する本。新聞の取材をまとめたもののようで、各事例が具体的に紹介されていてわかりやすい。子どもが生まれ、その子が性分化疾患だとわかったときの親の苦悩、その後の当人の苦悩。この問題の難しさが沢山の事例から紹介されている。
「体の性別が曖昧なことから来る苦悩」を主に扱っているように思った。体の性別がはっきりしていても、心の性別と一致していなくて苦しむ性同一性障害なんて人もいるし、性志向が異性に向かない同性愛の人もいる。それら両方の傾向を持つ人もいる。そこから来る苦しさも人様々。そんなことを考えていると、この本でこれだけの事例が紹介されていても、氷山の一角、他にも様々な人がいるんだと改めて感じた。
セクシャルマイノリティと一言で言っても、多くのタイプがある。
投稿元:
レビューを見る
セクシャルマイノリティについて分かった気になっていた自分を断罪したい。たくさんの当事者に会ってきたし、本や映像にも触れてきた。しかし、この本には想像を越えた、よりマージナルな人生を送っている人がたくさんいた。反省だけに終わらせず、より視野を広げたい。
・ホルモン治療の副作用
・不況時にマージナルな人々へより激しい圧力が高まる
・嫡出子の問題
・医師の診断書があれば出生届は14日以内でなくともよい
投稿元:
レビューを見る
「あの医者、どうしてさらっと『子宮はないね』なんてさらっと言えるの?」
診察を終え、憤る娘が痛々しかった。(p.66)
無関心はとてつもない恥になり、ついには罪になる…。(p.226)
投稿元:
レビューを見る
知らないことばかりで、衝撃だった。想像してもその子たちの辛さには全然届かないけれど、胸がぎゅっと痛くなった。こんなに苦しんでる人たちがいることを知らなかったことが、恥ずかしい。もっと世の中を知らなければ、他人事にしてはいけないと思った。