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小説技法としてもその構成は見事だし、数々の伏線はすとんと腑に落ちる。とてもうまいな、と思う。
でも心が動かされるのはマコトとキダちゃんとヨッチの世界への郷愁だ。この世界の中でやっと見つけた秘密基地。その思い出。そしてその終わり。
読み進めるうちに、おぼろげながら事の経緯がわかってくる。反復される過去と現在。そしてそれぞれの行動の理由。
色あせた世界への虚無感漂うこの空気自体が好みだし、虚無を裏打ちするエピソードにも説得力がある。
物騒なストーリー展開なのに、やたらと心に染みる。
とても素敵なラブストーリーだった。
これといったエピソードもないくせに虚無を飼い続ける僕にとっては、うらやましい物語でもある。
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どうしようもないビビリストな語り手と、命を貼るほど生粋のドッキリストな友人が、ある女へ『プロポーズ大作戦』を仕掛けるまでの過程を、過去と現在とを錯綜させて描いてある小説。
これだけ読むと、女の尻を追っかけるスケコマシが女を落とすまでの過程を描いた、ちょっとコメディチックな小説なんだ、と思うかもしれない。
※ 以下重大なネタバレ
違うよ。全然違うよ。
この小説を乱暴に形容すると、ドッキリストとビビリスト共通の思い人の少女を殺した奴らに対する、ドッキリストがおこなった復讐劇を、ビビリストの視点から描いた物語というものになる。ここで重要なのは、ドッキリストがおこなったのは思い人を殺されたことそのものへ怒りや悲しみからの復讐ではない、ということ(現に二人は彼女を失ったことを『さみしい』と表現している)。勝ち気で気丈だけれども『存在をもみ消されそうになった』ことだけはおそれた少女の理不尽が過ぎる死を、金と権力でもみ消したことへの憤りからの、復讐。
少女が確かに存在していたことをなかったことにされそうになったことへの、復讐。
もう、これだけで泣ける。どんだけ純粋なんだよって思っちゃう。
そう、この小説、パズルが組み上がるとすごく泣けるの。
少女が己を映画『レオン』のマチルダと形容することとか、ドッキリストが報復のために復讐対象と寝ることに葛藤する様とか、そんなドッキリストの不安定さを心配しながらも助力するビビリストの胸のうちとか、とかく泣けるんよ。個人的には、名前買い取りのくだりが涙腺に来た。
この作品、最初タイトルが『マチルダ』だったらしいけど、僕はそっちのほうがいいと思う。『名も無き世界のエンドロール』でも作品の顔としての意味は充分すぎるほどなしてるんだけどね、この小説のタイトルは『マチルダ』であるべきと思う。
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過去と現在がどう繋がるのか…、新旧プロポーズ大作戦とは…何か違和感を感じながらも読み進めていくと最後に驚きの展開が。。
青春小説であり、彼女の存在を残したいという純粋な気持ちの行き着く先のお話。
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物語の最初から最後まで、小学生時代から現在までの色んな地点で切れ切れに描かれる理由が最初は分かりませんでした。現在を軸に回想シーン的な描き方の方が入りやすいし、そのまま時間系列順に描いても普通に楽しめそうなのにな、と思っていました。でも多分それはラストのどんでん返しに読み手が気付かないように、迷路的に書いたのではと思いました。原題は「マチルダ」だそうです。この物語の根底にある人物を的確に表す良いタイトルで、個人的にはこっちの方が好きです。
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makoto, is it true. i think he doesn't suiside. why..
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「一日あれば世界は変わる」
自称「ドッキリスト」の『マコト』に毎日引っかけられる超ビビリの『俺』、そこに転校生の『ヨッチ』が加わる。二人がヨッチの為に仕掛けた「プロポーズ大作戦」とは・・・
第二十五回小説すばる新人賞受賞作。
唐突ですが、映画のエンドロールは最後まで観ますか?
今でこそその後更に!なんてこともあったりして結構な人が残っているようですが、私が若かりし頃は半分くらいの方が途中で出て行ったんじゃないかないでしょうか。そう言えば「暫く明かりを付けないのでハンカチを用意しておいてください」なんて謳い文句をつけていたものもあったことを思いだします。なんにせよあれは、余韻に浸りつつ現実に戻ってくるための必要な時間のような気がします。
この作品は全体を物悲しいような虚無感をずーっと覆っている感じで、読み終わってから中々浮上してこれませんでした。
ちょっと偉そうなことを言わせてもらいますが、構成としては時系列がバラバラで時々意味深な「断片」というシーンが挟まれていてどこに向かっているのかよく見えてきません。全体が見えて初めて、意味があることに気付く事柄、意味が変わってくる会話などの多さに気付きます。無秩序のようにみえて、実は緻密に配置された手腕はデビュー作とは思えないほどで驚かされました。
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個人的に好みドンピシャでした。出会えてよかったと思えるくらいに好き。どんどん読み進めたくなるほど面白いのに、さびしいじゃなくてさみしいくて、愛に溢れる物語。
言葉の言い回しとか、伏線回収とか本当に上手だなと思います。最後も好き。
「一日あれば、世界は変わる。2日あったら、宇宙はなくなってもおかしくない。」
永遠なんてきっとない、だから私も誰か1人でも私のことを忘れないでいてくれる人のために生きたい。
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よかった、すごいよかった!
ひとつ前に読んだ「最愛の子ども」同様、最初は物語の世界にあんまりスムーズに入り込めなかったけど、これはきっと読み始めたのが試験会場の待機時間だったからだな。スムーズに入り込めるわけねえわな。
意図的なんだろうけれど、チャプターごとの時系列がぐちゃぐちゃになっていて、さらに回想も入ってくるから余計に複雑度が増している。「これいつの話?」って時々こんがらがって、そのたびに少し戻って時系列を確認したり内容も読み直したり、というのを何回か繰り返しながら読み進めた。そして、怒濤の終盤戦!びっくりした。「そういうことか!」ってなってからは「俺」マコトの気持ちを想像してしまって、眉間にシワが寄るくらい切なかった。
読み終わったあと、振り返ってみるとそういえばあんな伏線もこんな伏線も・・・っていろいろ思い出して、よくできた小説だなぁって偉そうに感心した。一回で終わらせてしまうのはもったいなくて、時系列を一覧にまとめながら、もう一回読んだ。すごい本だった。
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なんだかはるきむらかみっぽいなとおもってしまったけど後半はおもしろかった。スピード感があって。フォレストガンプ、また見よう。
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伏線が散りばめられていて、最初は意味が分からないが、ラストに向けて全てが繋がる。
「プロポーズ大作戦」の意味に鳥肌が立った。
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マコトとキダちゃんとヨッチの友情と愛情と、、、「プロポーズ大作戦」のお話。
映画を見ているような感覚で、あっという間に読み終わってしまった。
切ない。けど、面白かった。
りんごが、本当はなんなのか。予想はできたけど、あの終わり方は衝撃。マコトも死ぬとわかっていても、用意したキダちゃんの行動が、本当に切なくて。プロポーズ大作戦の本当の意味するところとか、ヨッチのマチルダの件とか、旧・小野瀬親子の結末とか、、、切ない。単に泣ける、というのとは違う感覚だった。
事故の隠蔽、現実ではありえないと思いたいけども、最近の社会情勢(公文書偽造とか色々)見てると、全然あるんだろうな、と思ってしまう、今日この頃。なんかため息でてくるな。
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来年(2021年)1月末に岩ちゃんと真剣佑の映画が公開予定と云うことで読む。時系列がごっちゃの話で非常に読み難い。もうどうでもいいやと思ってとりあえず最後までと思って読み続けたら・・・ 映画も見ていいかな~
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映画化しているとは知らずに読んだ。
キダはエンドロールが終わるまで煙草を吸って、何もかもが終わって、ようやく立ち上がって新しい自分としての物語を生きていくんだろうな。煙草を吸って心臓に負担をかけてようやくほんの少しだけ生きている気がしていたキダが、非喫煙者に生まれ変わる…彼になったことで生を感じることができるようになるということか、それともそういうのはもう無しでいくのか。そして、シロタは轢かれて死んでしまったのね。
私は本当に大切な数人に記憶していてもらえたら、皆からは忘れられてもいいかな。ヨッチも2人に覚えていてもらえることは幸せなことだと思う。
時系列や断片が入り交じり、物語としてはわかりにくいかもしれないが、人の思考は過去に飛んだり別の場面に飛んだり断片の集まりなのでそれに近いと思った。ただ「時系列のそれぞれの物語」と「断片」の違いには意味があるのだろうけと、読みが浅くてまだ見つけられていない。
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映画が公開されると知り、あらすじが面白そうだったので図書館で借りて読みました。
「衝撃のラスト」ってミステリーの常套句だし、どんなラストよ、とあまり期待せず、けれどやっぱり期待はしつつ読み進めました。
以下、ネタバレあります!
ヨッチは大人になったマコトやキダちゃんとは一緒にいないのだろうな、と思っていたけど、まさかの展開。
もしかしたら、リサがヨッチなのか?とかも考えたりしたけど、そんなわけないだろうし。
なぜ、マコトはリサにプロポーズすることになってるんだ?ヨッチは?と思ったけど、そうかそうか。
「プロポーズ大作戦」だから、マコトもリサと一緒に死ぬんだ、死んであの世でヨッチに会って、それでプロポーズをするのか、とわかった時、めちゃ泣けました。
それを許せるキダちゃんも、やっぱりちょっとずれてる。
常識とか、人生における優先順位とか、普通じゃない。
でも、そんなことは物語の冒頭から醸し出されていた。
普通からはちょっとずれてしまっている人たち。
友達、親友を大切にしてる。
大切な人がブレない。
人生の目的がブレない。
読んでよかったです。
あちこちに「あれ?このセリフ前にも出てきたな」ってのがあります。
同じ小説を何度も読み返すタイプではないのですが、この小説はもう一度読み返してみたくなる!
「一日あれば、世界は変わる。二日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない。」
ナポリタンが食べたくなりましたー。
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読んでる途中からもしかしたら…と
展開が少し読めてきましたが、
それでも驚きです。
最初からそこまで読んでたなんて…!
映画化でCM見て、面白そうだなと思って読みました。
時期がいったりきたりするので
最近、脳が弱ってきた?自分は
物語に入り込むのにちょっと時間がかかりましたが、
だんだん読むのが止まらなくなりました。
映画も機会があればみたいです。
最後の方は激しいというか過激?なので、
映像はまた違ったものになるかもですし…。