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第25回小説すばる新人賞受賞作
これは…やられた。新人賞だしたいして期待していなかったけれど、巧妙な構成にすっかりやられた。
小説すばる新人賞といえばど真ん中の青春小説、ですよね。だけどこの作品にはそれにプラスしてミステリーな要素も含まれている。伊坂幸太郎さんのような作風。
ドッキリストなマコトとそれにひっかけられるキダ。そしてその傍にはいつもヨッチがいた。クリスマスイブを境に世界は崩壊する。
一日あれば、世界は変わる。
最後猛烈に目頭が熱くなった。世界の終わりを目の当たりにした、思いっきり。指輪、喜ぶにきまってるよ、ほんと。伏線があちらこちらに散らばっていて、ページ間行ったり来たりを繰り返し、点と線とで繋がると体の内側から熱くなる。完成度の高い物語。哀しく美しい、そこにちゃんと存在した物語。
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ただの青春小説かと思わせておきながら、意外な意外な転がり方をしていく物語。
天性のドッキリストが仕掛ける、生涯最大のドッキリ。
そこに至るまでの周到な伏線がすごい。
この転がり方は読めない。
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なかなか「起承転結」の起が起きない・・・。
淡々と俺とマコトの人生(ドッキリ)が綴られていく。
それも高校生かと思えば小学生になって30歳になって中学生になってと時代が飛ぶ飛ぶ。
でも読みにくいことはなくて。
最後に起が起きる。
ここに向かってたのね・・・・。と
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最近のすばる文学賞では、この前の直木賞受賞作家のを読んで十ページと保たなかった(近頃の若者にはついていけません)のであまり期待はしてなかったんですが、アレよりはかなり読めました。
構成がかなり凝ってるというか、時系列をバラバラにはめ込むのって最近の流行なんでしょうか。
ともかく、いくつものキーワードをちりばめ、過去の情景を拾っていって収束する、という手法は上手くまとめられていると思います。
ただ、ちょっと救いがないかな……。
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読み終えてから、改めてこの本につけられたタイトルの意味を噛みしめた。ハード・ボイルドタッチで語られる、この恐いもの知らずで無謀な若者たちの一途さが胸を打つ物語だ。
それこそ映画のカット割りのように、アトランダムに配された物語の断片が、実は効果的に計算された仕掛けだとは、、、
読み始めはつまらない不良の物語に思えるだけに、その山を克服して読み続ける人にだけ、これが実は悲しいまでのラブ・ストーリーであることがご褒美のように理解されるだろう。
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本屋で平積みされているのは知っていた。小説すばる新人賞受賞作だということで気にはしていた。でも、帯で躊躇していた。私には縁のない世界の話のような気がしていたから。
「王様のブランチ」で紹介されたことは知らなかったが、ふいに気になって手にとった。反則だけど最後の方だけちょっと読んでみた。たぶんそこで予感がしたのだ。これは読むべきだと。
そういう予感はよく当たる。
最初の数ページこそ、世界観がつかめなくて戸惑ったが、作者のペースを理解できたらあとはもう一直線だった。
映画のカットバックのように時系列が入り混じる。その配列の妙がなんともいえないときめきを感じさせる。
マコトとキダの会話、ヨッチとの会話の洒脱なこと。ちょっとずつ会話が跳躍するあたりが伊坂幸太郎っぽいと言われるのかもしれない。慣れるとクセになる。
マコトとキダのキャラクターがとても好きだ。ヨッチのことをずっと覚えていようと願う2人が切ない。
この3人に共通する決定的な欠落感や、諦観がなぜか自分のもののように思えてくる。どうしてこの感覚を知ってるんだろう、なんて。
私も映画はエンドロールの最後まで見る。場内が明るくなってからゆっくりと現実に戻るために。でもあまりにも深く心に刺さった映画は、エンドロールが消えても現実になかなか戻れない。
この作品も、奥付まで読んだけど、まだ現実に戻ってこれない。
私の中にもヨッチが焼き付いてしまったから。
毎回予想外の出来事には「ふわあ」とびっくりしてしまうキダくんや、深く透明で真っ暗な瞳をしたマコトも忘れられない。
先の展開の予想がうっすらついてしまうからこそ、かえってドキドキしてしまう。破滅の予感? でもページをめくる手を止められない。
そして、やっぱりと思いながらもその事実の哀しさに涙が出てしまった。
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時間軸がよく分からん、と思いながら読み進めていたがそうきたか!という感想。
なんとなく文章が伊坂幸太郎さんと似てる気がする。と思ってたらこの人も仙台出身なんだ。ただの偶然でしょうけど。
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一日あれば世界は変わるんだよ。
途中までだらだらで苦痛すら感じたが、プロポーズ大作戦実行からぐいぐいひきつけられた。伏線・エピソード・複雑な時系列が繋がった時、決して忘れない、忘れさせない出来事が浮かび上がってくる。
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セリフが多く流し読み。
ストーリー展開に工夫を凝らしたみたいでしたが、
話が前後してしまい、かえって読みにくい。
帯につられて面白そうと思ったけれど、それほどまで
感動的な内容ではなかったです。
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台詞が多く、脚本を読んでいるようなページも多々。
かけあいがおもしろく、軽快で、伏線が散りばめられ、時系列がコロコロ変わる。
なんだか、伊坂さんに似ているなぁと思いながら読んだ。
後半、たたみかけるように伏線が回収されていく。
そして、最後のドッキリ『プロポーズ大作戦』は、名前のような幸せドッキリではない。
正直、後味が悪い。そして、切なく苦しい。
伏線回収を楽しもうと思ったら、もう一度読み返せば良いと思うのだが、ラストを思うと手は出しにくいかも。
嫌いではないが、読む時期を選ぶ作品。
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プロポーズ大作戦の意味が、最後の最後になって腑に落ちる、やられました。話が前後して時系列が分かりにくく、ストーリーも何となく想像できたのに、この最後の純愛に乾杯!要所要所に出てくる映画の名作の決め台詞も良かったです。
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結末で全ての伏線が回収されるミステリー系。出だしはなかなか陽気だけど、明るい人間には裏がある、といわんばかりに、段々と影が出てくる。「さびしい」と「さみしい」の違いはわかるでしょうか?大切な人を亡くした主人公たちはたださみしい感情をもてあましてしまう。
親を亡くした、マコトとキド、そして女の子のヨッチの三人が主人公。マコトは大のドッキリ好きで、キドはいつも定番のドッキリに「ふわあ」といって尻餅をつき、ヨッチはその光景を笑う。さみしい三人にとってかけがえのないつながりを淡々と描く。一方で、30歳になったキドとマコトの物語が同時平行で語られる。入り乱れる時間系列で、三人の関係は少しずつ変わり、悲しい人生が少しずつ明かされていく。「世界は一日で変わってしまう。私たちの明日は保証されていない」というヨッチの叫びが通奏低音のようにずっと響く。
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全くノーマークだったんですけどマイミクさんのレビューで知って読んでみるとこれがまた大当たり。著者が「第2の伊坂」と呼ばれる日が来るのもそう遠くはないかもしれません(まだまだ及ばないけど)。時系列が意味なくポンポン飛ぶのはアレなんですが、その瑕疵を上まって余りある面白さがあります。
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去年の小説すばる新人賞作品。
これがデビュー作でまだ三十代の若さの作家さんなんですね。
ある家庭的な事情を抱えた小学生の男の子2人がいるクラスに金髪の女の子が転校してきた、という主要な三人の出会い。
軽い(すぎるとも)ノリでドッキリをしかけた側、しかけられた側の男子高校生がお互いをくさし合う冒頭のシーンからは、ちょっとテンション高めの学園ものかな、と危惧されたのですが、これがなかなか読ませるるんです。!(#^.^#)
過去と現在を切り取って行ったり来たりする手法は珍しくありませんが、その巧みさのおかげで、彼らに何が起こったのか、意図していたことは何だったのか、がいいタイミングで読者にわかる仕掛けになっているところが面白かった。
以下、微妙にネタばれ入ります。
裏稼業としての「交渉屋」、他人のIDを買ってその人になりすます、などのコワい系の話も唐突なものとしてではなく楽しめたし、また、数々のドッキリ(本人はサプライズではなくドッキリだ、と主張。ドッキリストというそうです。)をしかけるマコトが最初はあまり意味のない迷惑キャラなのかと思っていたら、大事な場面で功を奏したり、実は彼の来し方に由来するものであったり、と、なるほど、これが作者のねらいだったのね、と。
ここまでやらなくていいんじゃないの?というクライマックスには驚きましたが、でもそこに至るまでの心情や仕掛けには作者の強い思い入れがあったんでしょう。
楽しみな新人作家が出会えたことが嬉しいです。(#^.^#)
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これはこれは、なかなかいいんじゃないかな。荒削りで、ちょっと突飛なお話なのに、中盤からはぐいぐいと読ませる。
最初はどういうタイプの物語なのかわからず、気持ちが落ち着かない。軽いバディもの?どんでん返しがあるやつ? でも、文章がリズミカルに流れていくので読みやすい。途中からの展開には、あらら?という感じなんだけど、何というか細部に妙なリアリティがある。そこがいい。
結末が普通の意味では全くハッピーではないのに、どこか明るさがあるのにも、著者の力を感じる。私は根性のないアカンタレなので、つくづく人間が嫌になるような話を読むと、どっと落ち込んでしまうのだが、そういうイヤな味がしない。これは美点だと思う。
カットバックのような場面の挿入の仕方とか、すごくうまいとは言いにくいけど、映画を思わせる作りになっている。全体にひたひたとした熱があって、惹きつけられる作品だなあと思った。