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死ね。みんな死ね。消えていなくなれ。世界なんてさっさと終わっちまえ。滅亡万歳、さっさと消えていなくなれ、と一度でも思ったことある女子必見の第25回小説すばる新人賞受賞作です。逆にみんな死ねばいい、なんて思ったこともない幸福で満ちたりた、世の中に不満を感じない平和な人が読んでもこの不安定で意地悪な嫉妬と憎悪に満ち溢れた物語は理解出来ないし、不快感でいっぱいになるでしょう。
わたしはこの小説の中に出てくるどの人物にも当てはまるような嫌な女なので、ぞわぞわーとくるものがありまくりでした。したくない共感、すっきりとしてはいけない爽快感、ぶっ殺してやりたいし、ぶっ放してやりたい、そしてみんな壊れて滅亡して、なくなって、いなくなって、みんな死ねばいい、という密かなる願いを、ほんと嫌な形で叶えてくれて、読後感とかいいもんじゃないけど、よくやった、そしてよく頑張ったと思ってしまったわたしはやっぱりいろんな意味で終わっているのかもしれないな。
不安定でいまにでも壊れてしまいそうな貴方へ。
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読了、85点
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雪に閉ざされた地方都市、冬になると空は重い白く染まる。
そこで暮らす弥子と小柚子は互いに打ち明けられないことを抱えながらの毎日を送る。
しかし幼い頃に引っ越して行った二人の幼馴染と再会することで少しずつ二人の関係に変化が生まれていく。
第25回小説すばる新人賞受賞、櫛木理宇3作目。
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著者の小説としてはデビュー半年余りで早くも3作目となる長編小説であり、またこれまでの「ホーンテッド・キャンパス」シリーズとは全く別の世界観、雰囲気の広がる小説です。
新人さんがここまで幅広く小説を書けることに驚きを感じてしまう一冊に仕上がっています。
話の構成としては、冒頭に新聞記事の形で何らかの事件が起こり、その事件が起こる一連の流れを少し時間を遡ったあたりから時系列に沿って描く、稀に見掛けるスタイルです。
最初は二人の少女が閉塞的な地方都市で暮らす不平を持ちながらも幸せそうに暮らしているのかと思わせつつ、
読み進めて行くうちにその裏に見え隠れする暗いものを意識させられ、だんだんと擦れ違っていく様子は下手なホラーよりももっと怖くなる展開。
それでいて、雪国の描写や少女たちの内面をしっとりと描いた描写が非常に上手く綺麗に描けています
冒頭に明示されている記事から事件が起こる日が明示されており、
それが218ページの
"停電の夜が始まった。"
という一文を読んだ瞬間、ゾクゾクと、そしてワクワクとさせられました。
話自体は決して美しいだけではなく、むしろ陰鬱で人には薦めにくいテイストですが好きな人は凄く好きになれるのではないかと思う作品です。
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女子高校生が主人公になっている本を読み通した事がなかった。
女の子っぽさに疲れるからだ。でもこれは違った。
地方都市で、危ういバランスの中で暮らしてきた2人の少女が道を違え、狂いが加速していく。 その姿がなんとも不気味で、恐ろしいんだけど、とても“自然”に描かれている。
いつしか後戻りできないところまで追いつめられ、崩壊していく様がすごくリアル。
みんな病んでいて、救いがない。 時折描かれる主人公の心の動きが唯一の息抜き。
≪わたしがもし誰かを殺すとしたら。 それは―。≫
この一文に色んなものが凝縮されている気がする。
タイトルもなるほどだ。
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弥子と京香と槙が3人でいる時の雰囲気は好き。
学生時代のヒエラルキーや苺実の所作など、自身の学生時代の経験から所々共感を覚えるところもある。
自分の郷里が出て来るところに親近感が沸くが、何にせよ全体的に気持ちが悪かった。
ハッピーエンドではない。
ラストはすっきりするものではなく、少しがっかり。
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日本ホラー小説大賞読者賞と小説すばる新人賞の
ダブル受賞作。
(*ご指摘により今作がダブル受賞ではなく
この作家さんがダブル受賞! という事でした。)
とはいえ、ホラーの要素はほとんどなく
(*なのでホラー要素が今作になくて当然なのでした^^;)
若干の疑問は残りますがある意味、バッドエンドが
分かっていながらジワジワと少女達が向かわざるを
得なかった過程が悲しくも苦しい作品。
新潟の深い雪の街で暮らす女子高生達。主人公の
「小柚子」と「弥子」。仲良く明るく暮らす日々の中にも
それぞれが抱える苦痛や過去が少しづつ...降り積もる雪の様に
閉塞感を伴いながらに、ささいなきっかけで歪み、悲劇へと
流れていく...。
もう自分の年齢では今作に登場する少女達の
感情の機微や揺れ動く繊細な心情、家庭環境と
自己とのバランスの取り方は正直分からないし、
はたして今作がリアルな女子高生の姿でもあるのか
分かりませんが、作品におけるこの白く、重い
雪に閉ざされ、友人関係に縛られ、家庭環境に
囚われた中で静かに破綻する姿を、一気に
読まされてしまったのは確かです。
ダブル受賞おめでとうございます。
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女子高生が主人公の場合、必ずと言っていいほどある「私よりあの娘の方が好きなの?」的な思考が不愉快で耐えられず、なかなか読み進めずにいたが、最後の停電の夜はイッキでした。
でも、小柚子と弥子との感情ぶつけた一騎打ちがなかったのが残念です。
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雪国の生活って、大変だなぁ…。
冬の間は雪かきが日課では、さすがにうんざりしてしまう。
それぞれの家庭で抱えている事情があるのは仕方がないこと
だけれど、親の無関心、身勝手な押しつけ、放任主義…
子どもが悩んでいても気づかない。
酒漬け+摂食障害になっているのに気づかない(知らんぷり?)。子どもは親を刺激しないように気を遣ってるというのに…。
女の子の友情って…いつも一緒に行動していないと不安に
なったり、あの子と一緒にいると嫉妬したり、
その場にいない子の悪口を言ったり…。
おそろいのモノを持ちたがったりするのも、私はちょっと苦手。
友達関係も一度壊れはじめると早いな、と思いました。
苺美ってコワイ子。わがままなだけでなく、嘘をついたり、
メールや郵便物を勝手に盗み見したり…全然悪びれてない。
親が子どもの言いなりじゃダメじゃない!と思いながら
読みました。
彼女たち、あまり楽しそうな高校生活じゃないのが
かわいそうです。
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雪国の地方都市の閉塞感とそれぞれの家庭の事情を抱えた高校生、小柚子と弥子。どんどん積もっていく心の痛みの澱が、ある日停電と同時に爆発する。最後一気に加速する暗い予感に、どうしようもないやり切れなさを感じた。
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赤と白 力作だということはわかるが 内容がなんか陰惨ことばかりで僕には好きになれない 江戸川乱歩系だね
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この登場人物たちへは、誰もが当て嵌まるのではなかろうか。
優柔不断、情緒不安定な小柚子に私は近い。
それぞれの価値観における見栄の張り合い、負けず嫌い、それ故の孤立と孤独感。
同じ孤独を抱える者が寄り集まる事の痛ましさ。
同じ孤独を抱えていなければ、とてもではないが家庭環境などは決して喋れないが…。
ちょっとしたタイミングのズレによる不信感。
依存と拒絶。
高校生と云う空間だからこそ、この孤立や孤独感が浮き立つ。
ラストの展開は急過ぎる感も有るが、積年の鬱屈した怒りや憤懣が爆発する瞬間は突然なのだろう。
人物各自の感情がもっと描かれていれば、もっと面白い作品だったのではなかろうか。
作者の次回作に期待☆
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田舎の閉塞感を気候をメインに語っているあたりと小柚子の音楽の趣味とか京香の映画の趣味とか何かと純文くささ垣間見えて好きな感じだったんだけど、結末、小柚子にだけ厳しすぎないか?
湊かなえの「贖罪」を薄めた感じ。
まぁそれなりに楽しみました。
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第19回日本ホラー小説大賞読者賞、第25回小説すばる新人賞ダブル受賞の大型新人 櫛木 理宇さんの作品。舞台は閉塞的な雪国。登場する少女たちは皆 家族と確執がある。心に闇を抱えた少女たちの狂気を描いた物語。 イヤミスのジャンルで似たような秀逸な作品はあるけれど、新人でこれだけ一気に読ませるのだから、次回作に期待したい。
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面白かったけど、全ての要素に対して言及不足。改行しすぎ。新人さんなので、これからですね。方向性としてはとても好き。
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図書館で立ち読み。どこかで読んだ設定、人物描写と展開だったのでラストまで一気読みしてしまった。小柚子に絞った物語にしていれば、もっと読みやすかったかも。次の作品を楽しみにしたい。
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彼女のデビュー作といってもいいこの一冊。
上手くて驚いた。
リズム感があって読みやすい。
ページをめくりたくなる展開と緊張感。
冒頭に事件記事があって身構えた。
おっと、もしかしてこわい?と。
辻村さんをどことなく思いだし、読み進める。
青春まっただなかな高校生たちが
進路や恋愛といったことがら以外に抱える重いもの。
それぞれも本当に重い。
親友のように見えても話すべきことを話せない。
そしてその荷物はどんどん重くなる。
そうして冒頭の記事を忘れたころに
その記事を思い出させられる。
ラストは意外にあっさりめなので
濃い闇のなかに沈みきることはなく
読後、思ったより楽になる。
それにしてもマイミ・・・コワイ・・・
本当にいそうでコワイ。
母親が娘に逆らえないとか
人の携帯に届くメールを自分のところに転送されるようにするとか
人の家のポストから郵便物をもってきてあけるとか
諸々。
罪悪感のなさがなによりコワイ。
あなた以外にも人はいて、みんな心があるんだよ。
あなたとおなじように。