紙の本
魔法より言葉を
2015/08/20 16:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北の本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジー小説だが、魔法は使われない。だが、声を持たぬ少女マツリカの言葉は、魔法以上の力を及ぼす。世の理を指し示すが故に。
少年キリヒトと少女マツリカは、その才能のために唯一無二の存在だが、彼らもその年頃特有の苦悩や、淡い恋情を体験する。自分の欠けたものを相手の中に見る、その眼差しの深さ、静けさ。
軍師キリンの語る、戦争は費用対効果が重要、戦場で流れる血は、「兵士」の、ではなく、名前を持つ「誰かの大切な者」であるという現実に気付く。外交こそが、道理に適う道である。
戦いとは武器を持って立ち上がることだけではない。
相手を深く知り、時には譲歩、良案を示すことで、自分も相手も守れる道を探る手間を惜しまない、それもまた戦いである。
戦争や暗殺などの重いテーマを扱いながらも、暗い気持ちにならないのは、ハルカゼが笑い上戸な為だけではないだろう。確かに人は死ぬ、だが不必要な死が見当たらないのだ。
最後に、マツリカが出立するキリヒトに送る詩は胸を打つ。誰にでも、自分の心に灯りを点してくれた人がいるだろう。それはとても大切なことだ。
登場人物の一人一人、世界観の隅々にまで目が配られ、それにふさわしい言葉で綴られた文章を読むのは、正に至福のひとときだった。言語学者でもある作者は、その才を如何なく発揮している。
全てのピースが、あるべき処におさまったという爽快感とともに読み終えられる。
この本を読まなかった自分を想像したくない作品だ。
紙の本
おもしろい
2013/09/09 22:14
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つかさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろなジャンルの要素が入っていると思います
登場人物たちの姿をなんとなく自分で想像できるのがよかったです
映像化されても良い作品だと思います
紙の本
圧巻の一言
2015/05/10 11:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はる - この投稿者のレビュー一覧を見る
上下巻1450頁を綿密に練り込まれた言葉が稠密に埋め尽くす重厚な物語です。知略と陰謀、和解と争い、選択の物語です。そして何より、文字であるを問わず、音声であるを問わず、言語であることさえ問わず、一貫して「言葉」についての物語です。様々なシーンで何度も涙しました。そのいずれのシーンも全く異なる切り口で心に沁みました。新人とは思えない圧巻の筆力でした。ところで、恥ずかしながら本書では辞書を何度もあたりました。面倒ではあるものの、知らない言葉を知るのは嬉しいものです。
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投稿者:いっか - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しい日本語、流れるような文章が好きな人はぜひ読んで欲しい1冊です。
「言葉」に対しての概念が変わります。
紙の本
持ち運びに不向きな本。
2015/12/13 20:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
手にもって読むのが重いので、ちゃんと勉強机に座って読みました。
上巻に続き下巻も家でじっくり読んで下さい。
下界に興味をもったマツリカを連れて街に出たり、冒険したり、
やんちゃな事させるには少年少女の方がイイですね。
手にした時は「ん~読み終わるのか?」って感じたけど、読み終わったらものすごい達成感。そして「面白かったー」って声が出ました。
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読んでいて本当に楽しい、読む幸せを感じられる作品でした。
ファンタジーというつもりで読んでいましたが、あまりファンタジー色は強くありませんでしたね。架空歴史ものっぽい雰囲気。
マツリカとキリヒトの関係はほんとうに微笑ましい。にやにやしてしまいます。
言葉で戦うといっても口八丁ではなく、理論、データ、技術、戦略、政治、あらゆる分野の力を結集して、最終的に適切な方法・場所・タイミングで相手に伝え納得させるという描写がとてもよかったです。
あえていうと、下巻を読んで、自分は読んでいて少しだれたかなとは思いました。上巻から伏線をあえて示すスタイルの物語だったので、いくつか意外なところもありましたが大筋は予定調和的すぎると感じてしまったのだと思います。
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言葉について色々考えたこの作品。
どっぷり本の世界に浸れて良かったです。
キャラクターがみんな魅力的でした。
船でキリヒトを待ってるマツリカ様がかわいかった(笑)
続編が出たら読みたいです!
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偽書講座のとこで、あれ?ひょっとしてローファンタジーなの?という疑惑が。
というか実はあんまりファンタジーじゃなかったかもしれない。
まあなんでもいいか面白いし。
「しっかり掴めよ!神の御加護を!」はぐっと来ました。
あとヴァーシャ…!
で、これ続きますよね!?伏線残ってるしな…。
くそう、この進み方だとこんなたっかい重量級のがまだぞくぞくと…ちくしょう楽しみじゃないか!
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上巻を読み始めたばかりの時点では緻密なだけで凡庸な物語だと思った。
どれだけ描写が細かく、緻密であっても、物語は物語であるからにはその大筋の流れの中で読者を魅了しなければならない。
300ページくらい読み進めなければその流れに乗れないこの本は、気の短い人には向かないと思う。だけど流れに気づき、乗ってしまえば。あとはもう、ページを繰る手が止まらないほど、のめり込んでいく。流れには抗えない。
面白かった。素直に面白かった!
描写が緻密であるが故に、映像化してみて欲しい作品でもある。ハリウッドで映画化したら某指輪の物語や某魔法使いの物語を超える大作になるんじゃないかな。
望むらくは、私はもう少し若い、せめて高校生くらいにこれを読みたかったなぁ。ファンタジーではしゃぐには年を取りすぎた。笑
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とにかく長かった!
分量のわりに、壮大かというとそこまでのスケールではなく…
「高い塔」に暮らす図書館の魔女-マツリカ。政治をも凌駕する権力を持つ。
そこへ、鍛冶の村からキリヒトがやってくる。他国と冷戦状態にある、一ノ谷のとった行動とは…
ギクリ、としたのはキリヒトが切人-つまり殺し屋だとわかったときと、仲間だったヴァーシャが裏切り者だと判明したとき。
それにしても、この長さ、何とかならないか。
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KL 2013.3.17-2014.3.29
800頁あるとは知らなかった。
でも、頑張って読む。
少年と少女が主人公のハイファンタジー。
なのに、なんとも読み進めるのが辛くなったりして、何度も立ち止まる。
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少女の“言葉”で、世界はどのように変わるのだろうか。
先に書名とあらすじだけ知って、面白そうだし図書館でみつけたら読んでみようと思っていたのだが、実物を見たとき、本の分厚さに驚いた。上下巻、共に辞書並みのボリューム。これ、デビュー作だよね?と巻末を確認してしまうほど。これは逆に挑まねばと思い、1か月もの時間をかけて読み切った。読者を引き込む表現と登場人物に引き寄せられ、その波に乗ると続きが気になって仕様がなかった。
高い塔の番人・マツリカに出会い、言葉を知り、世界を知っていく少年・キリヒト。この二人の関係が、続編を願わずにはいられないほど好きになった。言語を研究する著者がファンタジー小説を通して紡ぐ“言葉”とは。上下巻で1400ページにも及ぶ長編だが、時間をかけて読む価値あり。
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上巻後半の勢いのまま、失速せず下巻も一気。下巻に入り冒険要素が強くなりますますひき込まれました。諦めず読み進めて本当に良かった。
一応ファンタジーなんだろうけど、タイトルに魔女なんて入っているけれど、けっこう理詰めで物事を考え解決していくのでふわふわしていなくて良い。地に足ついてる。怪物は出てきてもヘンテコな魔法は出てこないし。何より魔女と呼ばれるマツリカが魔法を否定している。しっかり伏線を回収しつつ、いい具合に伏線を残しつつ、余韻をしっかり味わったうえで物語が終わるという、まとめ方がとても良かった。
また、キャラクターもそれぞれに魅力があって良い。マツリカとキリヒトのやりとり、キリンやハルカゼとの議論、衛兵たちの日常。読み終えてからだいぶ時間が経ったけど、未だに彼らがちゃんと自分の中に残っている。
これ、絶対続編出るよね。だいぶ先にはなるだろうけど、今から楽しみで仕方ない。今度は先代も活躍してくれないかなー。どんなに分厚くても必ず手にとります。
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長編だけど、途中から読み終わるのが勿体なく感じました。小説はこれくらいの長さがある方が、読みでがあって好きだなぁ。
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主人公ふたりと仲間たちの根城である「図書館」の雰囲気が素晴らしい。物事の片鱗から大局を読み取るマツリカの能力は気持ちよいものだし、「言葉」の力を感じさせられるのは心強い。敵方が単純すぎるのと、「図書館」の策謀がうまくいきすぎという嫌いはあるが、交渉相手の高官たちがこれまた魅力的で、安心して読める。