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読み応えのある大作、でも心が弱ってる方は注意
2022/08/12 16:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろなか1号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近流行りの後宮ものに付き物の「宦官」。彼らが宦官になる経緯から始まり、なってからの過酷な状況やその中で育まれる愛情、憎悪、策略などが、皇后の愛妾への憎悪、二代目皇帝の孤独などと絡めて描かれています。物語としてとても読みごたえがありましたが、後宮残酷物語ともいえる憎悪と悪意の描写、隅から隅まで悲しい話の連続で心が削られました。世界的な疫病と毎日報道される戦争報道で心が弱っている時に読む本じゃないです。1冊読み終わって、登場人物がひとりも幸せになっていないのはつらかったです。
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素晴らしかった。
歴史小説。少年愛。宦官。
怒涛の時代の最中に生まれる密やかな恋心と、避けられぬ運命と周囲の人々に翻弄されて引き離された幼い2人の物語。
簡単にいえばそんな感じですが、決してこんな要約の要約で済ませられるような作品ではありません。読んだ後の余韻が半端ではない。どの登場人物にも感情移入してしまう。宦官という特殊な立場、そして複雑に入れ込んだ歴史、なおかつ難しい中国史を舞台にしてこんな大作を書かれる作家さんが新人さんだとは思えない。
読んで頂きたい。
そして、読み終わった後の文では表せない感情を共有して頂きたい。
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うちにも入荷はあったけど、気が付いたら売れてしまっていたので次回入荷待ち。
文芸担当(男性)曰く、「いろんな意味でドキドキした」らしい。
コミック担当(女性)的には「物足りない」とのこと。
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キャッチなイラスト、美少年宦官同士のまぐわいの淫靡。男でも女でもない宦官独自の生態がこれでもかという生々しさで迫ってくる。決して語られることのなかった英雄達の舞台裏、後宮。それを戦慄と共にのぞき見ることの出来る作品。
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統一してからの劉邦を宦官の視点から見る
という設定に心ひかれました
呂稚の行う非道な行為については事前知識があったので
覚悟はしていたのですがやはり物語の中に組み込まれると
厳しいものがありました
どこかで歯止めがきかなかったのかなと・・・
そして宦官視点ですが自分は宦官は性と切り離された存在と
思っていたので虐待の内容や性の相手をするということに
衝撃をうけました
老爺になった主人公が過去を話していく、というスタイルだったので
暗い描写も奥底まで沈まずに一定の所で踏みとどまっていて
それがすごく良かったと思います
全体に漂う妖しい香りが鼻奥に漂ってきそうな作品でした
同じ作者さんでやはり似た設定の別のお話を読んでみたいと思いました
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英雄・劉邦と、その息子の恵帝に仕えた宦官。
歴史の表舞台には出てこない人物の視点から昔語りがされていきます。
劉邦が項羽を破り漢の初代皇帝となった4年後、
わけあって宦官となった幼い美しい少年、小青胡と張釈が出逢う。
宮殿での過酷な生活のなか、ふたりは互いをかばいあうように
念友の契りをかわす。のちにふたりは呂后の寵愛を受けることになります。
青い目をもつことから呂后に小青胡と名付けられる主人公ですが
劉邦がかれを気に入り、息子の盈(のちの恵帝)に与えます。
小青胡が、年も近くまっすぐな少年である主に惹かれていく様子があまりにもまぶしくて、
その後の悲劇との対比、そして呂后とその腹心となったかつてのかたわれ、
張釈の抱える闇の深さとのコントラストを濃くします。
残酷な描写がかなり多いのでちょっと覚悟して読まれることをお奨めします。
お話中もっとも地に足のついた厨房の主・王婆の造形や、
宮殿の生活感の細やかな描写など、男性作家さんと伺ってびっくりしました。
表紙イラストや帯の少年愛等のイメージとは裏腹のずしっとした小説。
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二人の美少年の成長と共に、物語が加速していく!
先がドンドン読みたくなります!
歴史小説も、BL小説も、特に好きではない私でも凄く面白いと感じました!
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元美少年宦官だったおじいさんが、昔の宮廷での暮らしを回想するかたちでストーリーが進んでいきます。
表紙から分かるように、主人公とその親友は美少年で、宦官になった後、その美貌が認められ皇后や皇帝の近くで暮らすことになります。
宮廷で2人はそれぞれ違う人物仕えるため離ればなれになり、権力闘争に巻き込まれていきます。
表紙の2人が背を向け合っているのは、お互い惹かれながらも対立し違う道を進むことを表しているんでしょうか。
同性愛的描写がたびたびあります。ただ、語りのおじいさんが愛されたり抱かれたりしたことを生々しく赤裸々に語る様は、とても新鮮でした(笑)
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歴史好きには是非とも読んでほしい。劉邦の時代から子の恵帝の時代まで仕えた宦官の視点を通して、時代を描いた作品。歴史小説としても骨太だが、小青胡と張釈の愛憎も素晴らしい。歪んでいく張釈と新たな場を見つける小青胡、そして張釈の復讐劇が……! 最後、張釈の死の瞬間に小青胡が見た夢には泣いた。たまらん。
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前漢・劉邦、2代目恵帝の時代。歴史的背景もそのままに、小青胡と張釈という少年の宦官の物語。デビュー作とは思えない筆致で、思わず引き込まれ一気読み。小青胡の昔語りの形式なので、張釈の側から見た物語も知りたいものです。後宮残酷物語な部分は、やはり目を逸らしたくなりますが、でもそれがあってこそ心の闇が浮かび上がってくるというものです。帯に少年愛という言葉が出てきますが、この世界は そういうことではないと思います。
もし逆に張釈が恵帝の方に仕えていたら結末は違ったものになったのかな~と、しみじみ考えてしまいます。
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中国の歴史文化に詳しくないので、わからないことが沢山。宦官に対してもどういうことかは知っていても、具体的にどんな役割なのか等、漠然としたことしか知らなかったことに気付かされました。人間の性の生々しさを感じ、嫌悪するところもありますが、主人公の小青胡のピュアさは張釈が負の部分を引き受けてこそなのかなぁと思ったり、読んでいてなかなかな複雑な思いをしました。時代(歴史)小説なのか、BLという分類なのか迷うくらい、よく出来ている物語だと思います。
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この作品の中で、私が一番いけ好かない人物は小青胡だ。
(因みに張釈は実在の人物。張釈が建陵侯を廃されたのは、封じられて僅か五ヶ月後のことだ。呂氏滅亡直後失脚か?)
小青胡の奴は結局、まるまる一冊かけて、自分の浮気、心変わりの正当化を図ろうとしただけではないのか。その原因の多くを張釈一人に押し付けて。
そんなだからまるで彼の言葉からは恵帝の評価を上げる説得性がない。最初に恵帝の再評価を聞き手にお願いしているが、彼の語る恵帝に全く魅力が感じられない。要は帝王の器に非ずという印象しか残らなかった。だからこの話の聞き手(最後に正体が明かされる)が自身の著作に採用しなかったような気がした。
そして小青胡自身にも魅力がない。だから張釈が何故彼を生涯愛して止まなかったのか、分からなかった。
小青胡の恵帝への想いにも、疑問が残る。如何にも殉死を望んでいる風に言いながら、実行はしない。世の中自死して殉じる人は多いのに。
結局、後宮に残りたくなかったから、園郎になったんじゃないの?
張釈の下に配属されるかも知れないし、改めて後宮の生き残り戦争に勝ち抜く才覚は無さそうだから。これまで恵帝の庇護の下、宦官としては楽な立場にいたから、後ろ盾の無いこの先が不安だろう。
ならばそんな苦労はせずとも衣食住に困らない園郎は魅力的だ。自由が無いのは後宮も同じ。だったら墓守の方がお気楽だ。そのお陰か100歳まで生きている。張釈などは30歳までしか耐えられなかったのに。
結局、最後には自分の非を幾ばくか認めたような事を言っているが、張釈の想いとはズレている。彼は自身にとって、とても都合の良い夢を見ているだけだ。
小青胡は一見誰にでも好かれるいい子だが、見えない所で無意識とは言え無神経で狡い。自分は少なくとも張釈よりは、まともな人間だと思い込んでいる。契兄弟の約を結びながら、兄らしい役割は一つも果たさなかった癖に、傲慢な事だ。側にいる肉親にすら愛された事の無い、張釈への配慮が足りないと感じた。ことの当時は二人とも幼すぎたとは思う。しかし、晩年になってもこれでは・・・張釈が余りにも憐れ。やり直したいような事を言っているが、小青胡は今も昔も、相手の中の自分にとって都合のいい面しか好きにならないらしい。相手の光だけ受け入れるという。だから張釈の光と闇をひっくるめて、全てを引き受ける覚悟が今ならあるというものではないようだ。
結局自分の為だけなんだな、彼の後悔は。そんなレベルと感じられた。このような小青胡の言葉は信用出来ない。彼は手前勝手な人間に過ぎない。
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通貞の小青胡と張釈の、悲しい運命の物語。
中国史には詳しくないが、かつての宮廷や、通貞から見た劉邦の盛衰が見られて、おもしろかった。
読みやすい文体で、ラストは一気に読めた。
小青胡と張釈は、どこで変わってしまったのか…。切ないラストは胸が痛かった。