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『奇想篇』と『時代篇』からなる文庫版全集の第二巻。
やはり『天狗』には圧倒される。大坪砂男はこの一編だけで名前を残したとも言われるが、それだけの力があるように感じた。
『時代篇』は中華ものが多かったのが意外で面白かった。
第三巻も楽しみだな~。完結が待ち遠しいような、完結して欲しくないような……。
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当時の推理文壇をして「大坪は『天狗』一本で探偵小説史に残る」と言わしめた代表作を収録。複雑怪奇な人間心理に根ざしたトリックが持ち味の作家なのだろう。独特の文体と奇抜なアイディアで、かなりクセはあるけど、一度読んだら忘れられない余韻が残る。巻末解説で皆川博子が「小説というのは文体、構造、着想の三位一体なのだとあらためて実感した」と書いているが、己を削って本を書くとはどういうことなのか考えされられた。
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天狗は確かに一度読んだら忘れられない印象を残す小説ですな。ほかにもこの著者が久生十蘭に心酔していたことをうかがわせる雰囲気のある短編が多い。
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表題作『天狗』は確かに別格ですね。他の収録作は、男女の心の機微を描きつつも、連城ほどしっとりしてないと言いますか、寓意的な印象を受けるのは短編というボリュームのせいかな。このぐらいドロドロしてない方が好み。
時代編の収録作は佐助、霧隠才蔵の忍者モノと、中華伝奇仙境モノ。これはこれで面白かった。
夫人の手記に、都筑道夫はじめとする交友関係者のエッセイ他が、読んでるとなんとも言えない切ない気持ちになりますね…。
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西村賢太氏が『天狗』を絶賛しているエッセイを読み、他の正統派巨人達(江戸川乱歩、都筑道夫、他)からも高く称賛されている作品のようなので、奇想篇を中心に一通り読んでみた。
個人的には、『天狗』よりも『盲妹』が一番面白かった。不細工な男のひとが綺麗な盲人を妻にした後のお話。妻には目が見えるようになって欲しいけど、自分を見られたくないという究極(?)のジレンマ。
似たような網膜移植話をブラックジャックで読んだことがあるような気がする。時系列的には勿論、大坪砂男が本家の筈。