紙の本
経済学の視点から人類文明史を考えた書です!
2018/11/23 11:56
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、経済学という視点から人類の文明史を検証し、同時に21世紀の社会について考察した画期的な書です。経済はどのようにして人類が生活していく社会やそこでの文明を創造してきたのか、古代文明から現代のグローバル社会に至る壮大な歴史を経済学の目から見た非常に面白い内容となっています。ぜひ、歴史に興味をもっておられる方、経済に関心を抱いておられる方には読んでいただきたい一冊です。
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第1部 なぜ西欧が経済発展したのか?
第2部 繰り返される経済的繁栄と危機
第3部 グローバル化
おわりに 人類初となる時代への突入
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原題はLa Prospérité du viceらしいのでこの邦題はどうなのかとも思うし「『銃・病原菌・鉄』を超える傑作」と言えるのかというか方向が違うだろうとは思う。
ただ『銃~』よりは軽く読みやすい。引用されている文献がヨーロッパ人のもので聞いたことがないものが多いのでいかに普段アメリカ発のものばかりに触れているかを思い知らされる。文明史というより経済史と思って読めばよいのかも。
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起こっていることは非連続だけど、歴史は連続的。だって起こしているのが人間で、人間の本質はそんなに変わってないから。新石器時代から21世紀社会まで一気に駆け上がるシムシティ的大局観で経済的成長を考えさせてくれます。それはまさにノーベル化学賞を受賞したクルッツェン曰く、の自然が支配する世界から、人類の支配する世界への移行です。プロメーテウスとエピメーテウス、そしてパンドラのエピソードが印象的です。パンドラの持つ生殖能力と貪欲さを抱えている我々はどこに向かうのか?行動してからではないと理解出来ない我々は地球文明という一つの塊になってしまったことで後戻りのできに時代にどう行動するのか?著者がこの地球文明を仕切っているアメリカに対して距離をとっているフランスの経済学者であることが論旨を豊かにしているような気がします。
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なぜヨーロッパが世界を支配するようになったか=羅針盤、印刷機、火薬の3大発明による
農業によるイノベーション、人口爆発
マルサスの法則、飢饉、ペスト、戦争
人口減によって封建制が崩壊した=土地に縛れれていた農民が領主から逃げ出した
マルサスの世界では不平等は良いこと=搾取することで貧窮から脱出できる=平均所得は増加する
技術進歩によって、労働者は、自分の運命にのしかかる新たな不確実性の奴隷となった。経済成長がマイナスになった時に問題がおきる。
ケインジアンの説=自己増殖的な経済縮小の連鎖
マネタリストの説=預金が引き出され、末端に資金が回らなくなった
正しいのはその中間だろう
セーの法則=供給は需要を作り出す、しかし所得が減ったときに消費を減らすと悪循環が始まり、供給も減らさざるを得なくなる
サバイバルのためには技術進歩の利用者になるか機械化が不可能な分野で働くか
サービス社会では、顧客のわがままの支配下にある=ジャストインタイム
エコロジー問題と希少資源の争奪戦
アメリカに追いつくという戦略の終焉
医療は、需要が供給する側による判定に依拠する珍しい経済財
したがって医療費は膨張する運命にある
プロメーテウスとエピメーテウス、パンドラ
パンドラは、女性のもつ生殖能力とともに破壊的な貪欲さを体現している
人類の暮らしぶりには、生殖と貪欲が同居している。人類はエピメーテウスのように、かなり後にならないと理解できない
産業の生産性は経済成長によって向上した=モノの値段が安くなった=使い捨て経済=やがて地球の地質学的限界と正面衝突する
ケインジアンの危機=スタグフレーション=インフレと不況の同時進行、
石油危機によって生産性が向上しなくなり供給が増えない状態
マネタリストの登場=マネーサプライを減少させてインフレ退治をした
サブプライム金融危機により、ケインズの論証が生き返った
危機が一定のレベルを超えるとネットワーク全体が破壊する方向に働く
複雑なシステムが多様性を失うと危機は致命的になる
多様性の確保はリスクを減らす
金融の世界では、行動様式が均一化していた
ニューエコノミー=最初だけコストがかかる、2番目以降の製造コストは低い
ルノーは、車のコンセプトを提案する企業=最初のユニットを製造する企業
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今までに断片的に読んできた幾つかの歴史に関する本の内容を、一つの流れにまとめ上げる手助けになるとともに、これから何を学んで行きたいかを考えさせられる良書。
うん、購入して持っておきたい本です。
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高知大学OPAC⇒ http://opac.iic.kochi-u.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?isbn_issn=9784861824296
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こんなに邦題が長いのは、多分出版社の意向だろう。原題「悪徳の栄えー(不安になる)経済学入門」では本の中味が分かりにくいのでこうしたと思います。
人にもよるでしょうが、全般的に文明の盛衰に興味のある人間からすると、既に知っていることも多く、特に本書の中で新しい理論に出会うことはありません。
本のオビでは「ヨーロッパでジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を超えるベストセラー」との謳い文句だが、私からすると、まあ話半分かなという印象。
とはいえ、初めてこのような類いの本を読む人には、特に前半の西欧社会の部分において、なるほどと思う内容も多いので一読の価値はあると思います。
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人口増加と、それを知識を拡げることで乗り切ってきた人類。新自由主義革命とグローバル金融システムから生み出される金融危機、ニューエコノミーとサイバーワールドといった新たな文化、知識を拡げることで乗り切れると信じたい。
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この本 私のレベルでわかりやすく書かれています。いつか買いたい本です 枝廣淳子さんの推薦の本でも、あります
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古代ローマでの進歩は行政・政治・法律・軍組織の分野だった。技術は建築・橋梁・道路・水路に向けられ、農村部には向けられなかった。中世ヨーロッパでは、鉄製のシャベルや犂などの農具が増え、馬の首輪や水車が普及して農業の生産性が向上した。12〜13世紀に紙、印刷機、望遠鏡、楽器、ゴシック建築や振り子時計などが発明された。14世紀のペストの大流行による人口減少により、農民たちは強欲な領主のもとを離れることができる自由の身となり、封建制度が衰退した。16世紀半ばから17世紀半ばにかけて、宗教戦争が多発して大量の血が流れた。そのため、市民たちは武器を持つことを禁じされ、王の憲兵隊や裁きによって平安を保とうとする動きや暴力を区別する作業が進み、17世紀の中頃から殺人件数は減少していった(ミュッシャンブレ「暴力の歴史」)。人口が増えても耕作地の面積を拡大することは困難だが、機械の数を増やすことはできるため、工業社会では一人当たりの所得は安定的になった(収穫逓減の法則を覆した)。
コンドラチェフは、戦争が経済成長期に多発し、不況期には平和であることが多いことを発見した。ガストン・アンベールは、戦争が経済成長の末期に始まることを示した。戦争の経済的動機は、景気後退期の方が多い。
インドは独立後も、ほぼあらゆる生産過程において当局の認可が求められたため、経済成長は妨げられた。アメリカ大陸において、入植者が少数派であり続けた国家では、先住民の権利を無視して搾取したため、安全保障や所有権を約束する近代国家が設立されなかった。先住民を撲滅した国家では、移民を促すために、イギリスから社会制度を輸入して近代国家を樹立した。富を生産して経済成長するためには、資本、人材(教育、衛生)、効率的な社会制度(市場、司法)が必要になる。このうち、人材と社会制度は国家が生み出すものであり、最貧国にはこれらが欠如している。
1970年代の石油ショックによってインフレと不況が同時進行するスタグフレーションに陥った。政府は消費刺激策を打ち出したが、失業を減らすことなく物価の上昇を加速させてしまった。この失敗の結果、ケインズの理論が後退してシカゴ学派やマネタリストの理論が採用され、1980年代の経済の新自由主義が誕生した。
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ー 人類は、太古の昔から、反対方向に働く二つの力によって引っ張られた糸の上を歩んできた。
人口が増えつづけるため、人類は自分たちを養う農地の定期的な不足に立ち往生してきた。しかし人類は、まさにその増えつづける人口により、社会生活の密度と複雑性を高めた。
すなわち、さまざまなものを発明し、知識の限界を押し広げ、自分たちの運命を切り開いてきたのだ。この方程式の解法に失敗して消滅した文明もあった。自分たちに何が起こるのかを理解できない者たちは、ローマ帝国の場合ではゆっくりと、マヤ文明の場合では突如として憔悴した。
失われた文明のことなど忘れてしまった人々や、人類は常に危機を克服してきたと考える人々もいる。だが、人類がつねに危機を克服してきたと考えるのは、これまでに危機を克服できなかった人類を除外して考える場合だけの話だ。 ー
経済と人間の残念な歴史をおさらいできる作品。
我々人類は、“原因が分かっているのに、対策を行わない”滅亡モードをこのまま進んで行くのか…
そんな不安を強く抱かせる作品。
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歴史の中での経済システムおよび価値観の変遷
また現代社会の特徴と将来の展望
朝日新聞での著者のコメント
「富というものは、働かなければいけない時間を減らすためにあるものだ。貧しい人がたくさん働くのは、まさに貧しいからだ。余裕のある者も同じくらいに働くべきだという考えはばかばかしい。」
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マルサスの法則(富・食料と人口のバランスが常に崩壊すること)を克服したかに見えた近代は、二つの大戦を経て平和体制を保持する現代へとつながって行きます。世界は、経済成長を回転軸として、次々とフロンティアを見つけて発展を目指していくことにより、展開していくこととなります。
一方フランスの経済学者である著者は、経済成長至上主義の中で、人々の幸福感は必ずしも比例しない、というイースタリンの逆説を紹介します。人々が幸福を感じるのは、経済成長が加速する過程であり、それが停止すると不満に転ずる。
著者は、人類の最重要課題を不確実性と定義しているように感じられます。それをうまくコントロールすることができずにシステムが崩壊に直面する、と。
また不確実性とともに、地球の限界についても、環境や人口増加の側面から人々の意識が変わることの必要性にも本書の巻末で警鐘を鳴らしています。
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未来を考えようシリーズ。「資本主義は終わるのか」ということが、だんだん現実味を帯びてきたと思う今日この頃。タイトルにあるように、物々交換が始まった頃からリーマンショックまでの1万年を振り返るもの。余計な主観や主張がほとんど入らずに淡々と状況を俯瞰していて、大きな流れを理解するのにちょうど良い。難しい理論もなく、経済学に馴染みの薄い人でも理解しやすいと思う。「人はある理論に支配されているということを、その理論が死んでからでないと認識できない」これは金言。記憶を遡ると、日本だけでも、バブル経済、高度経済成長神話、戦前の大東亜共栄圏構想、維新からの富国強兵などなど、その時代が終わってから「ああそうだったのか」と気づくものばかり。さて、今私たちは何に支配されていて、ひょっとしてそれは終わりを告げようとしているのだろうか。