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南国の空気が醸し出すスロウで甘いテンポ
2018/06/27 23:58
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
南の島「トロンバス島」。異世界と異次元が同居するこの島で、時おり姿を見せる不可思議を切り抜いた短篇集。
ここは南国、悲劇や怪異にも大した悲壮感は感じさせない。そんな、ふわふわとつかみどころがなく、気だるさと蒸し暑い夜の気配に覆われた作品。
舞台も題材もとりとめがなく、人によってはテンポが悪く感じられるかもしれない。
各章に目立った相関もないので、その分気楽に読める書である。
しかし、ピンクの廟からキャプテン・ティユル、フルーツ頭までなぜこうも実在感を持って迫ってくるのだろうか。
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導入部から、現代が舞台なのだという事は分かるけど、何処か時間軸からズレた魔法が息づく島が舞台の不思議なお話。
ちょっと気味の悪い童話という印象。
でも幻想的で、この世界の何処かにこの島があったらいいなあと思ってしまう。
雰囲気が素敵でした。
私はまどろみのティユルさんが一番好きでした。
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内容(「BOOK」データベースより)
からくも一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。野原で半分植物のような姿になってまどろみつづける元海賊。果実のような頭部を持つ人間が住む町。十字路にたつピンクの廟に祀られた魔神に、呪われた少年。魔法が当たり前に存在する土地でタカシが目にしたものは―。時間と空間を軽々と飛び越え、変幻自在の文体で語られる色鮮やかな悪夢の世界。
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架空の島、トロンバス島を舞台に起こる、時代や時間、生物の観念を越えた、少し不思議で少し不気味で、幻想的な出来事を綴った短編集。
一家心中目前に、不思議な呪術師ユナに連れられてトロンバス島に預けられたタカシ、20くらいにしか見えないのに120才の呪術師ユナ、遥か昔に滅びた島から迷いこんだシシマデウ、元海賊で地面に埋まり石像のような植物のような、よくわからない生物となったティユル。なんとも奇妙な人たちが、差し障りなく現実に自然に混じりあう幻想的な世界。ちょっと神話的なファンタジー?
つかみどころがないようで、なんかしっくりくるような、ほんと今までに見たことない不思議な世界観で気になりました。著者の他の話も読んでみたい。
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この作者ならではの現実と地続きの異世界が、怖いながらも魅惑的なんです。そんな南の島を舞台にした連作短編集。一家心中から逃れた少年の悪夢、十字路に建つピンクの廟にまつられたもの、蛸漁師の語る話、地面と一体化した海賊の回想、などなど現実と異世界の狭間をたゆたう物語たち。ホラー文庫からの刊行ですが、ホラーというよりはファンタジー幻想小説といった赴きが強いかも。物語の結末も曖昧にされているものも多く、それがまた独特の情緒を生み出しています。
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美しさとグロテスクの同居が堪らない……! 久々の恒川さんにテンションあげつつ、独特の世界にどっぷり浸からせていただきました。一つの島を中心に、時空の壁を超越して繰り広げられる短編七本。想像できそうで想像できない、摩訶不思議な登場人物(?)たちに、ゾクリとさせられる嫌味のない怖さを覚えます。個人的には後半の三本が好き。蛸漁師と「ヤニュー」の会話のうすら寒さとか。
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共通点は一人の呪術師?だけの短編集。
不思議が当たり前な世界観なので、オーデュボン的なつくり。
まったりと、絵本みたいな感覚で読めた。
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理屈がいらない。自然に当たり前にある異界の描かれ方が非常に好ましい。
…あと。ホラー文庫から出てますがホラーではないでしょうこれは。
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終始漂う「怪しさ」は決して嫌なものではなく、もっと清々しい感じ。全部の謎が説明されていないところが逆によかった。
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南国の架空の島を舞台とする連作短編集。民話や神話を読んでいるような雰囲気の異国情緒に溢れたファンタジー。
時代も登場人物もばらばらだけどどこか少しずつ繋がっている。夜逃げして一人息子だけで島に預けられたタカシや、120歳を超えても若々しい姿の呪術師ユナといった、ところどころに顔や名前の出る人物たちも魅力的。
後半になるほど面白くなってきて、特に最後の三編「蛸漁師」「まどろみのティユルさん」「夜の果樹園」が好き。
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ホラー文庫というから、覚悟して読んだらあれあれ?ファンタジー??むしろ、世にも奇妙な物語向きな幻想小説といった不思議な話。
南の島、感覚的には南太平洋の島国あたり?を舞台にした、南国特有の生温さや空気感のある話。借金取りから逃げるために夜逃げ同然に島に来たというのが唯一現代日本とつながるところかな。
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異国・多国籍な短編集。ホラー要素は感じなかった。電子書籍で読了したが、皆さんの感想を呼んでいると「十字路のピンクの廟」を読んでいないことに気づいた。ちゃんと前から読んでいたはずなのに。それが一番のホラー。
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頁を捲る手が止まらない部分と、中ダレして読むのが苦痛な部分との差が激しい気がした。
確かに楽しめる所はあったはずなのに、途中で飽きてしまった。
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南洋の島々を舞台にした連作短編集。以前よりも少しインパクトに欠けて、ハッキリとしたオチも無く弱いかぁ・・・と思いながら読み進めましたが最後には著者の描くトロンバス島の世界をけっこう堪能出来、そこそこ満足させて貰えました。(連作と言っても何の謎解きもされないんですけどねぇ笑)『紫焔樹の島』と『まどろみのティユルさん』が好みかな。やや物足りないですが独特のボーダーレスな世界には惹かれるのでまた他の作品も読みたいと思う。
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ぶれることなく面白い。
怖さにも色々な種類があるが、それらを明確に分けて各章が形になっているように感じた。