紙の本
評価が180度変わりました。いやー、読んでよかったよかった。
2018/11/18 17:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
綿矢りささんといえば、史上最年少で芥川賞を受賞し、
同時受賞が金原ひとみさんだったので当時は喧騒となった
記憶があります。
ご本人たちの容姿がいいことと、若いことから客寄せパンダ的に
扱われました。
芸能人ならともかく、お二人とも作家です。
釈然としないものを感じました。
お二人の受賞作は読みましたが、事前情報が悪い方向に
作用したのか、わたしの中では敬遠する対象になってしまいました。
先行書評に大感謝です。この作品は非常に面白いです。
もし同じように敬遠している人がいれば、ご一読をお薦めします。
四編の短編集です。
「おとな」「トイレの懺悔室」「憤死」「人生ゲーム」
どれも面白かったです。
芥川賞選考で、才能のある人と見抜かれたことを尊敬します。
わたしなど全然分かりませんでした。日々是修行也。
表題作の「憤死」を紹介します。
> 小中学校時代の女友達が、自殺未遂をして入院していると
> 噂に聞いたので、興味本位で見舞いに行くことにした。
綿谷りささんは一文で勝負してくるという評価を
読んだことがありますが、この冒頭の文章などは典型的ですね。
ダークサイドの心情が分かり易くて、くすりとします。
女友達の描写もすごいことになっています。
> 自らの小太りを巨乳と呼び、図体に似合わない
> 可愛い裏声で歌い、ゆらゆらと肩を揺すって踊り、
> はっと耳を澄ます演技に磨きをかけていた頃の彼女の、
> ブルドーザーばりの破壊力が殺がれている。
ようするに入院して元気がなさそうだということなんですが、
いやー、盛る盛る。。
人間のうしろ暗いところをカラリと書いてある短篇が
目につきました。読んで良かったです。
人は外見だけで判断してはいけませんね。
紙の本
物足りない
2016/01/10 03:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
命を懸けた恋が終わり、心の闇へ誘う4作。綿矢氏初の連作短編集で、新境地と言えなくもないが、いささかの物足りなさを覚えた。この人の作品は、文芸賞の「インストール」を皮切りに、史上最年少の芥川賞「蹴りたい背中」と世も続け、中でも「夢を与える」にいろいろな面できょうかんを抱いたが、本作は、かこの作品に比べると、やや劣る気がしてならない。初心に帰るのも良い。
紙の本
どれもレベルが低い
2013/04/22 11:19
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
「しょうがの味は熱い」がよかったので、
期待したが、正直期待はずれ、
どれも短編小説として成立していない、
短編愛好者なら、短編が短編として成立する、
キモのようなものをわきまえているはずだが、
この短編集の短編はどれひとつとして質の高いものはない。
どれも中途半端で、心に響かない。
綿矢りさは中編作家なのだと思う。
長編もあまりよくないし、
この短編集はひどい。
それから、中で、洗礼が出てくるのだが、
綿矢は完全に聖餐式と洗礼をごっちゃにしていて、
キリスト教の基本的な理解もない。
よくしりもしないことは書かないほうがいい。
綿矢の短編がよくないことはよくわかった。
投稿元:
レビューを見る
名久井さんの装幀ってすぐわかるよね、ほんと。
綿矢さんの新刊はいままでとまたちょっとちがいます。4つのお話がつまっていて、始まりの「おとな」大阪の毎日新聞に載せた短い、けどとてもインパクトのある綿矢さんの告白文。これはフィクションなのかわからないけども。過去って曖昧。捏造したり現実に起きたのか夢なのか、最古の記憶がどれか本当に曖昧。
2つめは「トイレの懺悔室」これもまた異色。語り手がまず男の子。恋愛ものはない、わりとホラー。心理学的。こういう風に人間を狂わせることを快感にする男いそう。怖い。
3つめが表題でもある「憤死」命をかけてた恋が終わり自殺未遂したかつての旧友の病室を興味本位で訪れた女が語る話。これはいままでの、最近の綿矢さんの作風にとても近い。
ラスト「人生ゲーム」はこれまた異色。若干パラレルワールド入ってるし。わたしはこういう非現実的な要素のものはあまり得意ではないので好きではなかったな。
トータル的に、いままでの綿矢さんの作風が好きなわたしにはこれはちょっといまいち。心機一転した感はあるけど。それと、河出書房のPRには『初の連作短編集』ってあるけれど、連作ではないです。ただの短編集。つながりはなにもありません。共通していえるのはどの話もある種の恐怖が絡んでいること
投稿元:
レビューを見る
心の奥の方に存在する、人間の狂気を、見せつけられた気分だ。
それは、あなたの心にも存在する、そう言われているようで、気持ちがざわざわする。
投稿元:
レビューを見る
表題作以外に『おとな』、『トイレの懺悔室』、『人生ゲーム』が収録されている短編集。
どの作品も恐ろしい。
ホラーのようにお化けが出て来るわけじゃないけれど、人間の悪い部分が少しずつ見せられてドキドキしてしまう。
投稿元:
レビューを見る
綿矢りささんの、また新たな一面を見た短編集。人の水面下でふつふつと沸いてる感情を、厭に描いてる。でもそれは誰にでもあるコンプレックスや嫉妬であり、痛いとこつかれた気持ちになる。
再読してもう少し感想書こう。
投稿元:
レビューを見る
初・綿矢りさ。4つの連作短編集。冒頭の「おとな」を除いて、いずれの作品も小学校高学年〜中学校という時期のエピソードを大人になった主人公が振り返る形式で描かれる。人生において記憶に強く残っている人間関係やエピソードは誰にでもあるわけだが、その記憶の中の人物像と、それを回想している今の現実とのずれに焦点が当たっていて面白い。
自分の思っている「他人の人物像」って、記憶の曖昧さと裏腹に「こういう人」という思い込みは強固だったりする。そして「憤死」のように、学生時代の個性的なキャラがさらにパワーアップしているなんてこともある。女性が主人公の「憤死」は、そういう意味で綿谷さんらしさ全開の悪意と皮肉に満ちた、それでいて嫌みじゃないむしろ爽快なストーリーで、これが彼女の真骨頂なんじゃないでしょうか。まあ、彼女自身の外見のアイドル性と作風のギャップにそのままマッチしてるし。
一方で、男性が主人公の2作は、ホラー要素満載で、そのまま「世にも奇妙な物語」になりそう。「人生ゲーム」の世界観は結構好き。でももう一歩かな。
投稿元:
レビューを見る
「トイレの懺悔室」が怖すぎた。表紙から想像もしなかった内容にただただ困惑…笑
それぞれの話で、どこか嘲笑している登場人物がいるような気がして、良くも悪くも100%納得はできないような後味。。
投稿元:
レビューを見る
綿矢りさの小説は、南アルプス並の清涼感を持ち合わせながら、
本谷有希子ほどエグみのある毒々しさではなく、
そこに可憐さポップさを縫合した毒々しさを描き出すから、
読後他では味わえないカタルシスみたいなものを味わえる。
だからデビュー以来今まで全ての作品を読んでいる。
『憤死』も同様でした。
投稿元:
レビューを見る
これまでの綿矢りさの作品とはひと味違った連作短編集。
作品のテーマは「大人になること」かなと。
恋愛がテーマの作品が最近続いていたので、新しい綿矢りさが垣間見れてなかなか興味深い1冊。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りて読了。
4作からなる短編集。
中でも「人生ゲーム」はよかった。
「トイレの懺悔室」はモヤモヤしたけど、トータルして読んで良かった。
投稿元:
レビューを見る
これは久々に好きな綿矢りさでした。ちょっとこわい綿矢りさ、ここにあります、という感じ。
少なくとも「命をかけてた恋が終わっちゃったの!」なんて帯にそぐう内容ではなく、もっと、日に焼けた畳の目を夜中にじっと見つめるような、そういう湿り気があるように思いました。
「トイレの懺悔室」がかなり好みですかねえ。ささっと読めるし、是非いろんな人に読んでもらいたいものです。
投稿元:
レビューを見る
4つの短編。世にも奇妙な物語っぽいお話が3作…背筋がゾクッとする感じは楽しめた。表題作は2人の女性の闇の感情がいかにもありそうって内容で面白い。短編だからかちょっと物足りない、不完全燃焼。
投稿元:
レビューを見る
綿矢りさは「インストール」「蹴りたい背中」「夢を与える」「勝手にふるえてろ」を読んでいたので私にとっては通算5冊目の綿矢作品。正直「勝手にふるえてろ」は読んで感想もあったんだけど今では内容も覚えてない・・・。ごめんなさい。私は「夢を与える」が好きです。にしてもほんとこの人には読むたび「あれ?自分は誰の作品を読んでいるのだっけ?」と思わせるほど書き方が達者というか変幻自在というか。若さゆえの文章力でしょうかね。今回の短編集もまるで全て別人が書いたオムニバスのような作品。表題作の「憤死」は最初「ん?」という感じでしっくりこないんだけど最後は「おぉ」とうならせるような作品。一方で暗喩的に主人公のアルバイトの「表面の華やかさ」が描かれていてそれが「憤死」をしようとした彼女に何か通ずるものを感じた。個人的なお気に入りは「人生ゲーム」。綿矢さんらしい書き分けのうまい作品。段々と歳をとるにつれ言葉遣いや漢字の量まで変えている。ただ少しおじいさんの書き方がなんとも不自然というか、それこそ「昔話の登場人物」のような言葉遣いに感じたのが残念。「トイレの懺悔室」も好き。久しぶりにぞっとする話だった。とにかくまだ彼女は若いので「色んな作家の顔」を持ってほしいなぁと思う。さてさて次回作が出たらまた「あれ?これ誰の作品だっけ」というのを楽しみにしますかね。