紙の本
空想歴史イメージ日本図。日本を愛した、日本を見たことがない人が描いた想像力が楽しい
2022/04/08 16:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本を見たことのない外国人(モンタヌス)が、伝聞で聞いたキーワードだけを基に描いた、空想ジパングデッサン。
なるほど、石垣の上に建つお城は、こんなおとぎ話のような城になってしまうのですね…。
ちょんまげも、そんなイメージに…
京都の寺院も、仏教…というより、東南アジア系? いや、東南アジアのイメージともかなり異なるぞ??
写真もない時代、観たこともないものを想像で描くと、こんなことになってしまうのかと思わされるイラストばかり。
もしかすると、西洋の「ドラゴン」や「マーメイド」、「ペガサス」なども、こんなふうに実在するものを伝聞で聞いて描かれたのかもしれないと思わされました。
(マーメイドやドラゴンのモデルとなった生物は実際いますけどね)
当時の西洋人の日本のイメージもわかって面白いです。
また、シーボルトなど実際に日本に訪れた人が描いた絵も載っているので、日本に来たことがない人・来たことがある人の差を見比べても楽しい。
そして、どんなにヘンなイメージ図を描いても、モンタヌスが日本をこよなく愛していたことがわかります(それだけ細部にも力が入っている)。
実際に日本に訪れたら、モンタヌスはさらに魅力的に日本を描いていただろうなぁ…。
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何この日本・・・と言うくらい異色で気色。
幻のジパングとはこういう国だった。
アジアとヨーロッが混合されて出来あがった恐ろしい想像の国のイメージは、見ているだけで楽しい。
現代の情報の豊かさが身にしみる一冊。
まさに伝言ゲームというのはこういうことなんでしょうな。
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17世紀のオランダ宣教師モンタヌスが著した日本紹介本『東インド会社遣日使節紀行』(通称『日本誌』)を、多くの図版と共に紹介した本。メインはモンタヌスの『日本誌』であるが、他にもケンペルが著した『日本誌』など他の日本紹介本の図版も掲載されており、当時のヨーロッパ人から見た日本観を一望できるものとなっている。
本書の見どころは、何といってもその当時のヨーロッパ人が思い描いていた日本の姿である。当時ヨーロッパに入ってくる日本情報は断片的なものであり、またモンタヌス自身は一度も来日経験が無いため、その日本像は空想に多くを依るどこか間違ったものとなっている。地名、服装、風習など、当時の日本でも存在していないものが事実として語られているのは面白い。特に宗教の項目では出自不明の英雄神トランガ、ヒンドゥー教の神ヴィシュヌの化身にしか見えない「観音」やヨーシー・グサルなど興味深いものが数多くあった。
本書は掲載されている図版を眺めるだけでも楽しめる一冊となっている。ただ本書の著者は歴史や文化史の専門家ではないため、考察や解説で至らない点があったのは残念であった。また、モンタヌスが挿絵を描いたのか、また彼が挿絵職人に描かせたのかについて一貫した言及が無かった(本文中では「モンタヌスが描いた」、「挿絵職人が描いた」と両方ある。恐らく正しいのは後者であろうが)のも気になった。
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奇本である。
アルノルドゥス・モンタヌスは17世紀オランダの宣教師・歴史学者である。世界の地理や歴史に関する書物を多数著わしている。日本に関する本は、豊富な挿絵つきの『東インド会社遣日使節紀行』(『日本誌』と称される)が知られている。だが、(ここがポイントだが)本人は一度も来日していない。
本書は、このモンタヌスの『日本誌』に、エッセイストの宮田珠己がひたすらツッコミを入れていくスタイルである。
これは、この時代の西洋に日本がどのように捉えられていたのかを知る感嘆の書であり、それがいかに誤っていたのかを目の当たりにする驚愕の書であり、挙句の果てに何だか感動すら覚えてしまう稀有な書である。
そもそも着物の構造がおかしい。まるでギリシャ神話のようだったり、つんつるてんだったりで、どのように着るのか、描いているものもわかっていないに違いない。
お辞儀は手をぶらんとさせ、まるでラジオ体操の「からだを前後にまげる」運動の前半部分のようである。
仏像はことごとくおかしい。方広寺の大仏は、女性的であるという描写がどこかでねじ曲がったものか、妙に妖艶である。仁王は悪魔の像とされ、狛犬は獅子のようである。
全般に、中国とインドとどこかの南国とヨーロッパのイメージが微妙に加わり、ぐちゃぐちゃっと再構成されたような具合だ。
あらまぁ、これは何がどうしてこうなっちゃったんだかねぇとしばし口を開けて考え込んでしまうくらい、壮大なスケールの支離滅裂さである。
例えば、ちょんまげで裃を着けた武士を見た外国人がいたとする。これを文章で書き表す。そしてそれを何人かの人が間に入り、自分の言葉で言い換え、あるいは人に話し、あるいは書き残す。途中で別の国の別の風俗が混じり込む。何段階かのクッションが入ったそうした伝聞を寄せ集め、それを元に絵に描こうとすると、本来の姿とは似ても似つかぬものになることは何だか想像がつく。大規模で複雑な伝言ゲームである。
しかし、彼らはそうまでしても興味があったのだ。遠い、あこがれの国はどんな国なのかと。そんな情熱になんだか感動してしまう。「これは日本じゃない!」と声を大にして言わねばならないことを一瞬忘れて。
そう思う一方で、遠くに存在するということは理解を困難にするものであり、かつてはこれほどの大きな誤解があったことを思えば、わかり合うまでには、双方の努力が必要なのだ、ということにも思い至る。
鎖国という状況があったにせよ、宗教も社会組織も衣食住もまったく異なるとなれば、なかなか伝わるものではない。
へぇぇと感嘆した後で、何だか考えさせられてしまう、まったく不思議な本である。
*宮田珠己(通称:タマキング)が書く旅エッセイは非常におかしい。しかしそれがどうおかしいのかを説明しようとすると途端におかしくなくなってしまう誠にクセモノの文章である。こればっかりは未読の方は読んで下さいというしかない。タマキングとモンタヌス、いずれが欠けてもこの本は誕生しなかった。二者、よくぞ出会ったり。
*巻末の参考文献はか���り突っ込んだ感じである。本文は軽い筆致だが、著者は相当いろいろな資料に当たっていると思う。
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「思い込みと伝言ゲームで描かれたどこにもない日本」という紹介文で書かれたことそのままだ。
珍妙奇天烈な日本がここに。
モンタヌスというオランダの牧師が、オランダ使節フリシウスの『江戸参府日記』をもとに書いた『日本誌』という本からの引用が大半である。当時、未知の国日本に関する出版物は人気があったそうだから、便乗商法っぽくも思えるが。おそらく西洋文化の人々から見れば、極東の異文化国、しかも長きに渡って鎖国を続けていた日本など、彼らの想像を超えていたのだろう。しかも、文章で書かれたものを読んで何とか絵にしたということらしいから、やむを得なかったのかもしれないが…とにかく笑える。
珍妙すぎる。
明らかに中国、とか、明らかに西欧風、とか、珍奇としか思えないものとか…。なんじゃこりゃのオンパレードです。
楽しむに尽きる。
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日本がその昔、ヨーロッパ文化の人々から大きな誤解の認識を受けていたことはなんとなく知っていたけれど、
まさかここまですごいことになって、しかも印象に残りやすい絵として表現されてしまっていただなんて…
これじゃあ、日本という国には、いつまでもサムライばかりいて、切腹していると思われても仕方がない。
逆のバージョンってないのかな。
日本において、西洋のとんでもない絵が描かれちゃってた書物、とか。
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おもしろいです。「え?これ日本?」という図柄がいっぱい登場します。「どうみても中国じゃないの?」とか、「いや、それはヨーロッパ風でしょ」というような突っ込みどころ満載な絵がいっぱいです。
写真がない時代ですから、絵だけが情報伝達の時代でもあります。む~。こんな感じで日本というものが伝わったら、そりゃ誤解されるだろうな~。と、思いつつ、昔の人の情報を伝達する情熱というものにも触れた思いです。
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松田優作さんじゃなくともつい「なんじゃ こりゃ!?」ってくちからでちゃう本。
久々のショーゲキ。w
これでしか『日本人』を知らんかったら日本人ってみんな体がやわかいんだな って思うかも。
なにあの立位体前屈(爆!
とか笑いながら言ってるけど、文字情報だけ(しかも超曖昧!)であんだけの絵を描いたモンタヌスさん、すごいっちゃぁすごいよね。
お疲れさま。
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とても丁寧に描かれていて、知らない人が見たら本当かと誤解されたであろう不思議の国ジパング!モンタヌスさん、見てもいないのに堂々と描き過ぎです!でもそこが面白い、日本人だから分かる気持ち悪さ、違和感、ありえなさが満載で、ニヤニヤ笑いながら読みました。
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おもろいw
開国前は日本には外国人ってのがすごく少なかったわけなんだけど、その少ない異邦人が帰国して語り伝えたり、書き残したりしたものを元に、ヨーロッパで多くの図版が作られたわけなんだな。
モンタヌスって人が作った図版をメインに、様々面白い絵が解説されています。
又聞きの又聞きだったりするから情報もいいかげんになっているし、上手く想像できずに妙にヨーロッパ風だったりとか、いちいちツッコめて楽しい。
でも、当たらずとも遠からず、みたいなのも、たまにあったりするのは、当時のヨーロッパ人のジパングへの関心の高さか。
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ホルンを吹く楽隊がいる大名行列、世界の創造主を祀る聖堂、謎の王ダイロ、30歳になると魔術を学ぶというハルボレ坊主…そんなの日本にはいませんでしたよ!?
ヨーロッパの絵柄をベースに、空想と、思い込みと、伝言ゲームで描いた珍妙奇天烈なジパング画像を多数収録。冬至のヨーロッパ人は「これがジパング!」と思っていたというんだから…もう笑うしかない!(院生アルバイトスタッフ)
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上質な紙を使った、とてもきれいな本。一見美術書のよう。でも中味はマヌケなんだよね。アハハと笑いながら、自分も、時間的空間的に遠い国や文化についてのビジュアルイメージを絵にしたら、とんでもないものができあがるのではないかしらん、と我が身を振り返ってしまいました。
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突っ込みどころ満載の日本の絵。どう見ても日本ではないけれど、日本に来たことがないままに描いたのなら何とも仕方が無い。建物の形状も服装も、東洋と西洋とでは全く違う。だから、他の人が書いた文章を読んだだけでは想像することさえ難しい。それでもモンタヌスは想像したのだな、と思うと、愉快な気分になる。
今は地球の裏側の国だって、世界地図を見ればどんな形をした国なのかが分かる。多少時間とお金はかかるけれども実際に行くことも出来るし、その国の文化を知る手立てもある。でも、モンタヌスの生きた時代、世界は謎に満ちていたのだ。自分たちとは真逆のようにさえ見える習慣、未知の風俗。遠い海の向こうにはこんな不思議な国があるよ、と伝えようとした人々がいて、知らないことを知ろうとした人々がいる。それはとても嬉しいことだ。
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1600年代に生きたオランダ人のモンタヌスが、聞いたり読んだりしただけで実際に見たことがないまま描いた日本の絵について、著者がツッコミを入れていく。
ツッコミの中では同時代に、「われらにおいては、挨拶は落ち着いた厳粛な顔でおこなわれる。日本人はいつもかならず偽りの微笑でもっておこなう」といった現在にも通じるような文化の違いを指摘したフロイスなどの記述が引用され、興味深く読める。
一番面白いのは日本地図で、西日本しかなかったり、ヒトデ型だったり、いろいろな日本地図を見ることができる。
【著者による解説動画】
https://www.youtube.com/watch?v=7y1_iRgL_9M
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まさしく“伝言ゲーム”で描かれた昔の日本。
ラジオ体操風のお辞儀やなぜか巨乳な大仏、
辛気臭く描かれがちな日本人の顔などなど、いちいち面白い。
モンタヌスがこれを大真面目に書いていたと思うほどに
おかしく、そして愛おしい。
タモリ倶楽部を見ているような雰囲気の本。