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「15歳の寺子屋」と称する中学3年生向けのシリーズ作品の一冊。最近、「森や森林」に興味を覚えていたところなので、ニコルさんへの親近感も手伝って手が伸びた。
このシリーズ、講談社編集部のお眼鏡にかなった「これは」という光るところを持った人に、ご自分の少年少女時代を振り返って、この道を歩こうと決めた頃のことを先輩として語ってもらおうという企画内容である。すでに17冊が刊行されていて、その顔ぶれを見ているだけでも楽しくなる。
自分の中学生時代を振り返ってみても、なかなかこうした人生の先輩からお話を聞く機会というものは少なかった気がする。将来に対する漠然とした不安や期待だけがあった記憶があるので、こんなシリーズを読めるいまどきの中学生がちょっとうらやましい。
さて、本書はニコルさんの生い立ちに絡めて、現在長野県北部の黒姫高原でニコルさんたちが一生懸命手がけている「アフォンの森」の再生の記録が語られている。
ウエールズに生まれ、北極圏やカナダ、そしてエチオピアで自然活動に参画した後、やってきた日本でであった美しい自然林。それが破壊されていく様子に心を痛め、行政や業者による無秩序な開発にストップをかけたのは、世界中を見て回って、四季の変化もあいまって日本の森ほど多様性に恵まれた美しい場所はないというニコルさんの確信だったことが詳細に伝わってくる。
自分たちが再生した森の緑に包まれ、鳥の声に耳を澄ます。いいなあと思う。