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紙の本
第2部以降がアーチャー復活の試金石となる
2013/07/15 22:33
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はアーチャーのいわゆるサーガと呼ばれる大河小説である。本編の文庫版上下2冊は『クリフトン年代記第1部』というサブタイトルが付けられている。ということは、本書はクリフトン年代記の最初の部分ということになる。これで読み切りではないということである。
アーチャーは絶好調の頃、この大河小説であるサーガ、短篇集、痛快冒険小説のサイクルで回していた。ところが、近年の出来は不十分であって、到底読者を満足させるだけの水準に達していなかった。発表作の中身以前の問題で、サイクルなどどこかへ吹き飛んでいた。
以前の傑作を読んでこなかった読者にどう映るかは分からないが、満足させるだけの出来でなかったことは想像に難くない。しかし、本編は欧米ではベストセラーという評判だそうである。
読後は確かに読ませる内容であったと思うし、年代記の第2部、第3部の発表が待ち遠しいと思う。ときは第1次世界大戦が始まる直前である。本編年代記の第1部は英国の少年が主人公で、生い立ちや少年の頃の学校生活が主である。この辺りは英国を舞台にした作品らしいし、少年時代の学校生活といえばあのベストセラーを連想させる。
すなわち、ここまでの内容はこれから起こるであろう主人公にとっての大事件のお膳立てに過ぎないのであろう。そう読むのが普通である。第2部以降の出来が全てを決すると言っても過言ではなかろう。
私にとっては少なくともこの文庫本2冊までは合格である。このあと、如何にして読者を満足させるのか、以前のキレを味あわせてくれるのかが楽しみであるし、現在の作家としてのアーチャーの真価を判断するのは第2部以降であるといえよう。
紙の本
流石ジャフリー・アーチャー
2013/07/24 22:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:八犬伝 - この投稿者のレビュー一覧を見る
展開の緻密さに、いつもはらはらどきどき
紙の本
『ケインとアベル』の興奮ふたたび?!
2017/12/30 05:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
代表作『ケインとアベル』を超える!、という惹句と、全五部構成(のちに七部に延長)、一族の年代記、ときたら昔ながらのジェフリー・アーチャーファンとして素通りできるだろうか。いや、できない。
だが、完結してから読みたい(待たされるのがイヤ)、という理由から、新刊が出るたびに買っておいて積読。この度最終章がめでたく出たので読み始める。リアルタイムで読んで、続きを待っていた人はえらいなぁ。
どうやら主人公はハリー・クリフトン。労働者階級の家に生まれ、父親は自分が生まれる前に死んだようで、裕福とはまったくいえない暮らしだが、聖歌隊ですぐれたボーイソプラノ能力を見い出され、周囲の人々の力を借りて上のレベルの学校に通うことになる・・・というビルディングストーリーの気配は、『チェルシー・テラスへの道』みたい。
しかしクリフトン一家に関わるバリントン家(ここはお金持ちで貴族の血筋あり)の存在・対比が『ケインとアベル』っぽいんでしょうね ケインに対するアベルがハリーにとってはジャイルズ・バリントンのようなんだけど、ハリーとバリントンが上巻の段階で出会っちゃうことにびっくりだ! 内容におけるケインとアベルの比重が1:1だとしたら、ハリーとジャイルズは今のところ7:3くらい・・・愛憎入り混じるというよりも、親友の関係なのではないでしょうか(今後変わるかもしれないが・・・そうなるならすごい怖い展開になっちゃう)。
で、出てくる人数、増えてます。 戦争(第二次世界大戦)もからみます。お家騒動も勃発しそう。投獄問題もあり、と、これまでのジェフリー・アーチャー全部入れ、みたいな雰囲気濃厚。
でも、それが面白い。
最終的にはいい人が報われ、悪いやつは破滅するんでしょ、とわかってはいるのだが、いい人がどん底ぎりぎりまで落とされていく過程にはハラハラしてしまうし、その苦境をどうやって乗り切るのかにもドキドキするし、近くにいた人の意外な救いの手に心打たれ、ダメなやつの悪知恵にものすごく腹が立つ。
ある意味、子供のときに読む『世界名作劇場』みたいな感じ?
もしくは『水戸黄門』のよう、とも言えるかも。 おおよその展開は想像つくけど、やってたら見ちゃって、結局最後まで見るという。
でもそれは、多分しあわせなことなのだ。 こんなにも没頭できる物語があることは。
でも<『ケインとアベル』を超える>というのはさすがに大風呂敷ではないかと思う。